ryuichi sakamoto_neo geo

坂本龍一の87年作品『NEO GEO』が、映像付きのアナログ・デラックス・ボックスで再発された。さすがに自分はソコまで追っ掛けてないが、思い出したように09年の紙ジャケ限定CDを引っ張り出し…(今回は単体のCD/LPも同時発売)。恐ろしく久し振りに聴いたけど、発売当時に聴いた感想が急に生々しく蘇ってきた。37年前のアルバムというコトで、記憶の中ではちょっこし古臭い音になっていたのだが、改めて聴いても驚くほどエッジィで、そのエナジー感覚はまったく衰えていなかった。

前作に当たる『未来派野郎』では、パンクの精神とファンクのグルーヴでデジタル機材に挑んだ感。それがココではワールド・ミュージック的、…というより、真にボーダーレスなミクスチャー・サウンドへと昇華されている。

Pファンクのブーチー・コリンズ (b)、ジャズのトニー・ウィリアムス (ds)、レゲエのスライ・ダンバー (ds), そしてパンクの元祖みたいなイギー・ポップ (vo) 。更に沖縄民謡の歌い手や上海語の語りが飛び出し、ガムランやケチャまで織り込まれる。こんな激しい異種格闘技みたいな陣容を、教授とビル・ラズウェルが見事に仕切っていくのだ。

他の参加陣も、元チェンジのジェフ・ボーヴァ (syn) やバーナード・エドワーズに近いエディ・マルチネス (g) といったニューヨーク・ファンク系セッションメンに、デヴィッド・ヴァン・ティーゲム (perc)、連続参加のパール兄弟:窪田晴男 (g) も大貢献。この『NEO GEO』後に、角松敏生が『BEFORE THE DAYLIGHT』や<OKINAWA>入りの『REASONS FOR THOUSAND LOVERS』を出してくるに至って、なるほどねェ〜、と納得したのを思い出した。

おそらくは、教授のグローバルな音楽観と、ラズウェルのハイブリッドなアイディアが共振しあって生まれたアルバム。モダン・グルーヴを追求するのが大きなテーマだったはずだが、それでいて<戦メリ>以降のファンを喜ばせるアンビエントな美ピアノも顔を出す。

正直、ピアノ・ソロやアンビエント作品に向かってからの教授には疎遠になってしまう自分だが、この頃はよく理解もできぬまま、えも言われぬ刺激を受けていたな。教授にとっては、初のワールドワイド・リリースでもあったそーです。

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