
爽やかデュオ:アメリカのジェリー・ベックリー、2年ぶりのニュー・アルバム。前々作のベスト盤から日本盤が出なくなって輸入盤国内仕様になり、前作『AURORA』はとうとう輸入盤のみ。そして今回の『GERRY BECKLEY』は、アナログ中心の流通に移行したのか、 CDはルートが限られているようで、価格も妙にexpensive。本人サイトでポチるのが一番確実だけど、円安の今は送料だってバカにならない。洋楽好きにはイロイロと困った状況になってきているな。
アメリカといえば、とにかくアコースティック・サウンドと風通しの良いハーモニーが売りで、ジェリーのソロ作も、永遠の青少年的なイメージだったんだが、このところはちょっと内省的な作りで、アートワークも暗め。ご覧のように今回もそうだけれど、何回か聴いているうちに、だんだん印象が変わってきた。やっぱり歌声にはジェリーらしい人懐っこさがあるし、メロディラインもホンノリ甘い。アコギ中心のアンサンブルなのは言わずもがなだけど、基本は今回もジェリー自身のワンマン・プレイ。オルガンやクラヴィネット、アコーディオン、メロトロンに、ハーモニウム、チェレステといったヴィンテージ・キーボードのチョイスには、彼の思いが滲んでいるように感じる。そして曲によってはトロンボーンを呼んだり、ハーモニカ奏者を入れたりして、ホントにジックリ、時間を掛けてアンサンブリを煮詰めているみたいだ。
「僕には、物事を何層にも重ねて行なう傾向があってね。“ウォール・オブ・サウンド” の世界に戻って、より多くのエコーを使い、それを更に大きくしたんだ。最初はそう聴こえないかもしれないけど、ヘッドフォンで聴くと、曲に功を奏している些細な事に気づくよ」
何でも、トム・ペティ『WILDFLOWERS』を聴いてインスパイアされたりもしているようで。暗いというよりは、一人遊びを楽しんでいるような感覚。何処かビートルズを思わせる懐かしい響きがあるな。ウォール・オブ・サウンドと言うにはかなり音数が少ないけれど、その組み立て方は、鳴っている楽器の少なさの割に立体的かもしれない。ジェリーのいうように、ヘッドフォンで聴いたワケじゃないけれど。考えてみりゃ、今更セルフ・タイトルっていうのも、何か意味深。
全12曲中2曲は、現在はデューイ・バネル以上にジェリーの相方的存在になっているジェフ・ラーソンとの共作。当然ラーソンはほとんどの曲でバック・ヴォーカルで参加している。ジェイソン・シェフ(元シカゴ)もベースで数曲。個人的には、アメリカっぽく始まって次第にビーチ・ボーイズ色が濃くなっていく<Crazy>、<うわさの男 (Everybody's Talkin')>(フレッド・ニール、ニルソン)のカヴァーあたりが、何とも味わい深く。ルーラルな<Red and Blue>のフェイド・アウト近くで、ハーモニカが<Over The Rainbow>のフレーズを吹いちゃうあたりも、また涙ぐんでしまうな…
《amazon》
《Tower Records はココから》
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「僕には、物事を何層にも重ねて行なう傾向があってね。“ウォール・オブ・サウンド” の世界に戻って、より多くのエコーを使い、それを更に大きくしたんだ。最初はそう聴こえないかもしれないけど、ヘッドフォンで聴くと、曲に功を奏している些細な事に気づくよ」
何でも、トム・ペティ『WILDFLOWERS』を聴いてインスパイアされたりもしているようで。暗いというよりは、一人遊びを楽しんでいるような感覚。何処かビートルズを思わせる懐かしい響きがあるな。ウォール・オブ・サウンドと言うにはかなり音数が少ないけれど、その組み立て方は、鳴っている楽器の少なさの割に立体的かもしれない。ジェリーのいうように、ヘッドフォンで聴いたワケじゃないけれど。考えてみりゃ、今更セルフ・タイトルっていうのも、何か意味深。
全12曲中2曲は、現在はデューイ・バネル以上にジェリーの相方的存在になっているジェフ・ラーソンとの共作。当然ラーソンはほとんどの曲でバック・ヴォーカルで参加している。ジェイソン・シェフ(元シカゴ)もベースで数曲。個人的には、アメリカっぽく始まって次第にビーチ・ボーイズ色が濃くなっていく<Crazy>、<うわさの男 (Everybody's Talkin')>(フレッド・ニール、ニルソン)のカヴァーあたりが、何とも味わい深く。ルーラルな<Red and Blue>のフェイド・アウト近くで、ハーモニカが<Over The Rainbow>のフレーズを吹いちゃうあたりも、また涙ぐんでしまうな…
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