レコードコレクターズ誌でめっぽう面白い連載を展開しているスティーヴ・クロッパーの、2年ぶりの新作。御ん歳83になるというのに、新たにバンドなんか組んじゃって、エラく元気ですな。でも実際は今年3月に転倒して腰の骨を折る大怪我を負い、リハビリ中らしいが。それでも、気骨は折れんゾということか。
そんな爺さんがこんなに順調なのは、共同プロデューサーでもあるジョン・ティヴァンのサポートが効いているから。ティヴァンはミュージシャンであり、ナッシュヴィルにスタジオを構えるエンジニアでもある。クロッパーがフェリックス・キャヴァリエと共演作を作った頃から関係が深まったらしく、それからずっと右腕役。引き籠りがちなクロッパーを曲作りに促し、動く時は全面サポート。前作『FIRE IT UP』の時に、オランダのレーベル Provogue を見つけてきたのも彼だそうだ。今回のバンドでもベース、キーボード、サックス、コーラスと、マルチ・プレイで貢献している。
新しいバンドは、ザ・ミッドナイト・アワー。おのずと知れたウィルソン・ピケットの大ヒットで、それを書いたのがクロッパー。このバンド名のハマリ具合だけでも悶絶級です。メンバーは『FIRE IT UP』に参加していた面々。そこにティヴァンの知り合いだったビリー・ギボンズ(Z.Z.トップ)が、「スティーヴの新作をレコーディングしているなら、オレも参加させろ〜」と乗り込んできたのが、バンド結成のキッカケになったらしい。メンバーには、多分ナッシュヴィル界隈で活動している地元ミュージシャンが多いと思うが、前作で発掘されたロジャー・C・リアーレのヴォーカルなんか、激渋でブルージーで滋養たっぷり。そもそもクロッパーだって、ギター・ソロらしいソロなんて弾かず、リズム・ワークと時折挟むオブリの瞬間芸で聴かせちゃうようなヒトだから、そこを分かってないと、彼の作品を良いとは思えないかも知れないけれど。
でも『FIRE IT UP』は、コロナ禍のリモート制作。スティーヴとリアーレは、レコーディングが終わるまで会ったことがなかったという。でもそれがグラミー賞の最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバム部門にノミネートされることに。でも今回は、ビリー・ギボンズ以外のメンバーがスタジオで顔を合わせ、生ドラムに乗っかってのレコーディング。本気の熱気がムンムンしている。
しかもゲストが超豪華で。<Too Much Stress>では、意外にもブライアン・メイをフィーチャー。ブライアンは曲作りから参加し、ビリー・ギボンズとギター・ソロを分け合い、自ら志願して2ndヴォーカルまで担当している。曲タイトルもブライアンからのメールにあったセリフが元らしい。更にフェリックス・キャヴァリエが<Hurry Up Sundown>でオルガンを弾き、<You Can't Refuse>ではビリーと親しいシンガー/ギタリストのティム・モンタナをフィーチャー。 ココで豪快なジャングル・ビートを叩き出すのは、フリー/バッド・カンパニーのドラマー:サイモン・カークだ。
それでも本作一番の魅力は、スティーヴ・クロッパーとビリー・ギボンズのギターの掛け合いだろう。曲によってリード・パートとリズム・バッキングを交代しながら、リアルでご機嫌なロックン・ブルースを聴かせてくれる。熱いスピリットがあって、それをダイレクトに伝えるのに必要な演奏力があれば、延々とソロを弾き倒す必要なんてない。
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《Tower Records はココから》
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でも『FIRE IT UP』は、コロナ禍のリモート制作。スティーヴとリアーレは、レコーディングが終わるまで会ったことがなかったという。でもそれがグラミー賞の最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバム部門にノミネートされることに。でも今回は、ビリー・ギボンズ以外のメンバーがスタジオで顔を合わせ、生ドラムに乗っかってのレコーディング。本気の熱気がムンムンしている。
しかもゲストが超豪華で。<Too Much Stress>では、意外にもブライアン・メイをフィーチャー。ブライアンは曲作りから参加し、ビリー・ギボンズとギター・ソロを分け合い、自ら志願して2ndヴォーカルまで担当している。曲タイトルもブライアンからのメールにあったセリフが元らしい。更にフェリックス・キャヴァリエが<Hurry Up Sundown>でオルガンを弾き、<You Can't Refuse>ではビリーと親しいシンガー/ギタリストのティム・モンタナをフィーチャー。 ココで豪快なジャングル・ビートを叩き出すのは、フリー/バッド・カンパニーのドラマー:サイモン・カークだ。
それでも本作一番の魅力は、スティーヴ・クロッパーとビリー・ギボンズのギターの掛け合いだろう。曲によってリード・パートとリズム・バッキングを交代しながら、リアルでご機嫌なロックン・ブルースを聴かせてくれる。熱いスピリットがあって、それをダイレクトに伝えるのに必要な演奏力があれば、延々とソロを弾き倒す必要なんてない。
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