


引き続き、チャンプリン・ウィリアムス・フリーステットのジャパン・ツアー@Billboard Live Tokyo day-2。関係者特典?で、東京での2日間4ステージをすべて観せてもらったあと、ひと晩で速攻書いたオフィシャルのライヴ・レポートが公開されたので、ライヴ詳細はまずそちらから。 そしてココではそのあたりをもう少し詳しく掘り下げて。
今回のジャパン・ツアーをざっと総括すると、ライヴ・パフォーマンスは上出来。でもセット・リストやジョセフ・ウィリアムスの出番の少なさはチョッと……、というのが大方の感想だろう。正直なところ、自分もコレには同意せざるを得ない。でも一般リスナーの方々とは違って、CWFというプロジェクトの運営の難しさ、そしてこのツアー実現までの紆余曲折を知っているし、裏事情も多少は分かる。「イヤイヤ、金を出してチケットを買っているんだから、そんな事情は関係ない」という厳しいご意見もおありだろう。ただ自分のような立場でなくても、彼らの情報をつぶさに追っている熱心なファンなら、あらかじめ少しは予測ができた気はする。その反面、筆者自身も再認識をしたり、ちょっとした気づきがあったのも確かだ。
ほぼ決まっていた2020年の来日がコロナの影響で流れてしまったのは、いわば不可抗力。しかし真っ先に活動を再開した新生TOTOが世界中を駆け回り、ジョセフのスケジュールを確保するのが難しくなった。そのため『CWF 3』ではジェイソン・シェフが歌ったり、制作が遅れたり…。そうした中で来日のリスケが進んだため、ジョセフ抜きの来日、という可能性もゼロではなかった。それだけに彼が一緒に来てくれただけで、まずは安堵、という気持ちがある。
しかし、セット・リストをご覧いただくと分かるように、リリースされたばかりの『CWF 3』からは、ビルの<Almost Had Me There>わずか1曲。大阪と東京初日1stのみ、ビル&タマラ夫妻のデュエット<The Last Unbroken Hearts>を演っていて、それでも2曲に過ぎない。アルバム・リリース直後のツアーだから、新作をプロモーションするのは当たり前。だからヴェニューに着いて、事前にこのセットリストを見せられて、「エェぇ〜
」という感じだった。でもレポートにも書いたように、このプロジェクトは北欧勢とUS勢が東京で顔を合わせるのが常だから、全員揃ってのゲネプロは1回こっきり。新曲をたくさん演るのは難しい。
しかも今回ジョセフが歌ったのは、TOTOの<Stop Lovin' You><Pamela><Hold The Line>のみ。 この3曲で熱狂的に盛り上げてくれたことには誰しもが賛辞を惜しまないと思うが、それ以外、CWFのレパートリーにジョセフが一切参加しなかったことを訝しく思った方も少ないないはずだ。
でも自分はむしろ逆で。8年前は<Pamela>のみ。ウィリアムス=フリーステットの時は都内でのリハーサルで<Stop Lovin' You>や<Rosanna>を演っていたのに、諸事情あって、結局本番では<Pamela>だけになってしまった。だから今回はTOTO3曲、特に<Hold The Line>を歌ってくれたコトに、軽い驚きがあった。今回はTOTOを3曲演れるんだ、という思いである。コレはつまり、現行TOTOでのジョセフの存在が、それだけ大きくなっている証拠。もし前2回と同様<Pamela>のみしか歌えなかったら、何とかCWFの曲にトライしたのかもしれない。ではこの二者択一だったら、果たしてどちらが良かったか…?
内容的には、ジョセフはゲスト扱いが妥当なくらいの参加率。でもゲストにしたらCWFの看板はどうなる? その方が見せ方がややこしくなって、問題が大きくなりかねないワケで。両日2ndともフロア総立ちで締めるコトができたのも、ジョセフの存在と<Pamela><Hold The Line>の2曲があったからこそだと思っている。
そこでもうひとつ、ジョセフの気持ちを慮ってみる。おそらく彼は今回の日本行きに対して、「スケジュールは確保するけど、歌うのはTOTOの曲だけ」と条件をつけたのではないか。歌おうと思えばCWFの曲だって歌えるし、前回はシカゴの曲をビルとデュエットした。でも今回は中途半端なコトはしたくない。最大の要因はリハーサルの時間がないコトだけれど、自分はそこに彼のプロとしてのプライドを見る。歌詞をよく咀嚼し、楽曲を完全に自分のモノにしてからでないと歌いたくない。そういう気持ちが強かったんじゃないだろうか。
メンバー全員が顔を合わせたのが日本、というコトで、演奏は自ずと回を追うごとにまとまっていく。ツアー初日の大阪では残念なことにギター・アンプのトラブルがあったと聞くが、パフォーマンスの潮目が変わったのは、東京初日の1st / 2nd の間。1st ではノリが今ひとつだと感じたが、2ndではいきなりそれが解消され、アンサンブルに破竹の勢いが生まれた。だからこそ、2ndはジョセフ登場で大きく盛り上がり、ラストではみんなが立ち上がったのである。そして東京2日目はその好調さを維持。2ndは更に勢いを増した印象だ。全公演を観る、なんてコトは自分でも滅多にないコトだけれど、やっぱりライヴは水モノ。ちょっとしたコトで空気が変わる。オーディンスのリアクションも、その一部なのだ。
アンコールがない、という不満もチラホラ出ていたようだけど、自分が見たスタッフ用セットリストでは、8年前同様、ビルの92年作 『BURN DOWN THE NIGHT』からの<Headed For The Top>が本編ラスト。そのあとがアンコールで、<After Love Is Gone><Pamela><Hold The Line>となっていた。が、時間的制約だろう、<After Love Is Gone>は一度も披露されず、最終日2ndでビルが即興的に弾き語りで歌っただけ。それこそメンバーはステージから引っ込む時間も惜しんで、本編とアンコールをシームレスに繋げ、パフォーマンスの時間稼ぎに当てた。8年前はシカゴやビルのソロから披露された楽曲が、今回はかなり削られている。それでもおよそ75分超え、最終公演は80分を上回っていたのだから、2ショウの基本設定ははるかに超越。CWFとしては、許された範囲で思いっきりサーヴィスしてくれたと思っている。
ならば、普通のホールで1日1ステージで演れば?と思われるヒトもいるだろう。でもそれができないのが、現在の洋楽事情の厳しいところ。AORファンには、引き続きの熱き応援をお願いしたい。
【SET LIST - basical】
1. Nightfly
2. Almost Had Me There
3. Is It You (Lee Ritenour Cover)
4. Between The Lines
5. You Won’t Get To Heaven Alive (from Tarama Champlin Solo)
6. Ocean Drive
7. Stop Loving You
8. Hard Habit To Break / The Last Unbroken Hearts (Osaka 1st / Tokyo day1-1st)
9. 10 Miles
10. Headed For The Top
11. Pamela
12. Hold The Line


ほぼ決まっていた2020年の来日がコロナの影響で流れてしまったのは、いわば不可抗力。しかし真っ先に活動を再開した新生TOTOが世界中を駆け回り、ジョセフのスケジュールを確保するのが難しくなった。そのため『CWF 3』ではジェイソン・シェフが歌ったり、制作が遅れたり…。そうした中で来日のリスケが進んだため、ジョセフ抜きの来日、という可能性もゼロではなかった。それだけに彼が一緒に来てくれただけで、まずは安堵、という気持ちがある。
しかし、セット・リストをご覧いただくと分かるように、リリースされたばかりの『CWF 3』からは、ビルの<Almost Had Me There>わずか1曲。大阪と東京初日1stのみ、ビル&タマラ夫妻のデュエット<The Last Unbroken Hearts>を演っていて、それでも2曲に過ぎない。アルバム・リリース直後のツアーだから、新作をプロモーションするのは当たり前。だからヴェニューに着いて、事前にこのセットリストを見せられて、「エェぇ〜

しかも今回ジョセフが歌ったのは、TOTOの<Stop Lovin' You><Pamela><Hold The Line>のみ。 この3曲で熱狂的に盛り上げてくれたことには誰しもが賛辞を惜しまないと思うが、それ以外、CWFのレパートリーにジョセフが一切参加しなかったことを訝しく思った方も少ないないはずだ。
でも自分はむしろ逆で。8年前は<Pamela>のみ。ウィリアムス=フリーステットの時は都内でのリハーサルで<Stop Lovin' You>や<Rosanna>を演っていたのに、諸事情あって、結局本番では<Pamela>だけになってしまった。だから今回はTOTO3曲、特に<Hold The Line>を歌ってくれたコトに、軽い驚きがあった。今回はTOTOを3曲演れるんだ、という思いである。コレはつまり、現行TOTOでのジョセフの存在が、それだけ大きくなっている証拠。もし前2回と同様<Pamela>のみしか歌えなかったら、何とかCWFの曲にトライしたのかもしれない。ではこの二者択一だったら、果たしてどちらが良かったか…?
内容的には、ジョセフはゲスト扱いが妥当なくらいの参加率。でもゲストにしたらCWFの看板はどうなる? その方が見せ方がややこしくなって、問題が大きくなりかねないワケで。両日2ndともフロア総立ちで締めるコトができたのも、ジョセフの存在と<Pamela><Hold The Line>の2曲があったからこそだと思っている。
そこでもうひとつ、ジョセフの気持ちを慮ってみる。おそらく彼は今回の日本行きに対して、「スケジュールは確保するけど、歌うのはTOTOの曲だけ」と条件をつけたのではないか。歌おうと思えばCWFの曲だって歌えるし、前回はシカゴの曲をビルとデュエットした。でも今回は中途半端なコトはしたくない。最大の要因はリハーサルの時間がないコトだけれど、自分はそこに彼のプロとしてのプライドを見る。歌詞をよく咀嚼し、楽曲を完全に自分のモノにしてからでないと歌いたくない。そういう気持ちが強かったんじゃないだろうか。
メンバー全員が顔を合わせたのが日本、というコトで、演奏は自ずと回を追うごとにまとまっていく。ツアー初日の大阪では残念なことにギター・アンプのトラブルがあったと聞くが、パフォーマンスの潮目が変わったのは、東京初日の1st / 2nd の間。1st ではノリが今ひとつだと感じたが、2ndではいきなりそれが解消され、アンサンブルに破竹の勢いが生まれた。だからこそ、2ndはジョセフ登場で大きく盛り上がり、ラストではみんなが立ち上がったのである。そして東京2日目はその好調さを維持。2ndは更に勢いを増した印象だ。全公演を観る、なんてコトは自分でも滅多にないコトだけれど、やっぱりライヴは水モノ。ちょっとしたコトで空気が変わる。オーディンスのリアクションも、その一部なのだ。
アンコールがない、という不満もチラホラ出ていたようだけど、自分が見たスタッフ用セットリストでは、8年前同様、ビルの92年作 『BURN DOWN THE NIGHT』からの<Headed For The Top>が本編ラスト。そのあとがアンコールで、<After Love Is Gone><Pamela><Hold The Line>となっていた。が、時間的制約だろう、<After Love Is Gone>は一度も披露されず、最終日2ndでビルが即興的に弾き語りで歌っただけ。それこそメンバーはステージから引っ込む時間も惜しんで、本編とアンコールをシームレスに繋げ、パフォーマンスの時間稼ぎに当てた。8年前はシカゴやビルのソロから披露された楽曲が、今回はかなり削られている。それでもおよそ75分超え、最終公演は80分を上回っていたのだから、2ショウの基本設定ははるかに超越。CWFとしては、許された範囲で思いっきりサーヴィスしてくれたと思っている。
ならば、普通のホールで1日1ステージで演れば?と思われるヒトもいるだろう。でもそれができないのが、現在の洋楽事情の厳しいところ。AORファンには、引き続きの熱き応援をお願いしたい。
【SET LIST - basical】
1. Nightfly
2. Almost Had Me There
3. Is It You (Lee Ritenour Cover)
4. Between The Lines
5. You Won’t Get To Heaven Alive (from Tarama Champlin Solo)
6. Ocean Drive
7. Stop Loving You
8. Hard Habit To Break / The Last Unbroken Hearts (Osaka 1st / Tokyo day1-1st)
9. 10 Miles
10. Headed For The Top
11. Pamela
12. Hold The Line


Is It You?という思わぬ曲も嬉しかったです。
大阪〜東京6公演全て楽しみ、Kanazawaさんにお会いすることができたのも嬉しかったです!