bs&t movie

全米No.1 バンドはなぜ失墜したのか?
国家的キャンセルカルチャーに巻き込まれた悲劇のロック・バンドBS&T。
冷戦下の東欧ツアーと半世紀以上を経て発掘された未発表映像があぶり出す、
アメリカVS 共産主義の不都合な歴史。(公式インフォより)

昨年3月に全米公開されたドキュメンタリー映画『ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか? (WHAT THE HELL HAPPEND TO BLOOD, SWEAT&TEARS?)』が、27日(金)、いよいよ日本公開。僭越ながらパンフレットに、解説+ディスク・レビューで12000字超えの長文を寄稿させていただきました。

どんな映画か?は予告編を見ていただくとして、その前提を書いておくと…。

いわゆる人気アーティストの魅力を吹聴するようなライヴ・フィルムではなく、政治的側面が大きく絡んだ社会派ドキュメンタリーであること。ライヴ・シーンもたっぷり登場するが、丸ごと完奏するような楽曲はないので、BS&Tのライヴ・パフォーマンスそのもののを期待すると、肩透かしを喰らいかねない。でも当時の音楽シーンを取り巻く時代背景を知りたいと思う方々なら、相当に興味深いドキュメンタリーになる。

日本でも「音楽に政治を持ち込むな」という旨が声高に叫ばれたことがあった。最近では、2016年のフジロック・フェスにSEALDsの創設メンバーが出演することになった時がそう。確かに享楽的な態度のままでいられれば平和だが、そうではない勢力が存在する以上、無知なまま、純粋なままでは、何か陰謀に利用されたり、知らないうちに巻き込まれてしまうことだってあり得る。この時のBS&Tはまさにそれ。人気絶頂にあった彼らは、音楽にピュアすぎたため、時の米国政府にも、反体制勢力にも利用されてしまった。そうした気づきのキッカケになれば、と思う。BS&Tファンはもちろんだけれど、もっと広い意味で、社会や政治と音楽の関係性に興味がある方は観ておくべきドキュメンタリー。

もしシアターに足を運んだら、是非パンフレットをお買い求めくださいな。


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