rab noakes

スコットランド出身のフォーク系シンガー・ソングライター:ラブ・ノークスが80年にリリースした第6作『RAB NOAKES』が、 紙ジャケ仕様のCDとして復刻された。『AOR Light Mellow Premium 02』掲載作品。元々はフォーク系で、70年のデビューはデッカから。その後ジェリー・ラファティやジョー・イーガンと近しくなって、スティーラーズ・ホイールを結成。しかしすぐに方向性の違いが表面化し、デビュー前には脱退している。そして再びソロ活動に戻り、A&M、ワーナー、リンゴ・スターのレーベル:Ring-Oなどを経てMCA入り。このアルバムのリリースに至るのだ。

リリースが80年というコトもあって、かつての仲間ジェリー・ラファティが78年に全米ヒットさせた<Baker Street>を意識したのは自明の理。袂を分かつた後のソロ作にも、ラファティ&イーガンの参加があったし、ナッシュヴィルやシスコ録音作、テリー・メルチャー制作のロンドン録音盤もあった。ラファティに遅れを取ったものの、どのアルバムも程よくアメリカナイズされ、駄作はなかった。

再びロンドンで録音されたこのアルバムは、ラブ・ノークス自身のセルフ・プロデュース。レコーディングはトレヴァー・ホーンが本拠としたSARMスタジオで、バグルスやイエス『DRAMA』でもココを使っていた。だから、マーク=マーモンドでも活躍しいていたトミー・アイアー(kyd)やメル・コリンズ(sax)ら、英国の実力派セッション・ミュージシャンを揃えた堅実な音作りが、よりスケールが大きくダイナミックに増量されて鳴っている。個人的にはジェリー・ラファティとジャッキー・ロマックスを掛け合わせたような感覚があって、ほのかにソウルフルかつアーベイン、と感じるな。

イチ押しは、やっぱりサックスが耳に残る<I Can't Get Enough Of You>と、ちょっぴりスティーリー・ダンのセンを狙ったと思しき<Feeling Your Way>。繊細なアコギの3連バラード<Memories>は、75年のワーナー盤『NEVER TOO LATE』からのセルフ・リメイクした名曲。派手じゃあないけど、なかなか美味な作品です。2022年、コロナ・パンデミック下のグラスコーで没。



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