carla bley_sextet

ブルーノートとECMそれぞれの特集を組んで、いつになくジャズ専門誌のような様相を呈しているレコードコレクターズ誌最新11月号。その中でオッ!を自分の目を引いたのは、ジャズ・ピアニスト/作編曲家カーラ・ブレイの1周忌追悼リリースの告知記事(特集ではなく)だ。日本ではあまり注目されないままの旅立ちだったけれど、多くの作品が手に入れにくくなっている今、カーラの功績を知るにはちょうど良い機会だと思う。(訃報ポストはこちらから)

“フリー・ジャズの才媛” などという称号や奇抜な髪型が相まって、小難しいと受け取られる女性けれど、アルバムを聴けば決してそんなコトはなく、メロディは分かりやすいし、悪戯にテクニカルに走ることもない。ジャズ・オペラに取り組んだり、英カンタベリー系のジャズ・ロック・ミュージシャンと交流したり、ジャック・ブルース・バンドにも参加した活動初期はまだしも、ベースのスティーヴ・スワロウーと公私に渡るパートナーショップを組んでからは、デュオ、トリオ、カルテット、ビッグ・バンドと自由にフォーメーションを変えながら、ポジジティヴな硬派フュージョン・サウンドを構築してきた。

今回リイシューされるのは、以下10枚。

1977 Dinner Music
1978 European Tour 1977
1987 Sextet
1988 Duets with Steve Swallow
1994 Songs with Legs with Andy Sheppard and Steve Swallow
2000 4 x 4 (WATT)
2003 Looking for America
2013 Trios with Andy Sheppard and Steve Swallow
2015 Andando el Tiempo with Andy Sheppard and Steve Swallow
2020 Life Goes On with Andy Sheppard and Steve Swallow

枚数が多いので、このご時世、10枚セレクトは仕方ないと思うが、何故にこのラインアップなんでしょ? 個人的にもっと聴きたい・広めたいのは、80年代の彼女なんだけれどな。でも逆に言えば、90年代以降の彼女にはちょっと馴染みが薄いので、この期に何枚かチェックしたいと思っている。

ちなみに上記からのオススメは、名曲<Lawns>が入った87年発表『SEXTET』。カーラとスティーヴ・スワロウ以下、ハイラム・ブロック (g) 、ラリー・ウィリス (p) 、ヴィクター・ルイス (ds) 、ドン・アライアス (perc) を従え、ゆったりとした耳馴染みの良いリアル・フュージョンを届けてくれる。はっちゃけイメージの強いハイラム・ブロックの、抑制の効いたインテリジェントなギター・プレイも傾聴されたし。

ちなみにカーラは、55年に及ぶECMレーベルの歴史に最も長く関わってきた人で、なんと50年近く関わってきたそう。でも主要アルバムは、マイケル・マントラーと共同設立したWATTからのリリースで、その配給がECMだったという関係性。そうか、だからECMっぽさが希薄なんだな。それでも来月には、ECM創立55周年を記念してのアーティスト・ベスト10選にセレクトされ、『ECM LEGEND BEST SELECTION - Carla Bley -』もリリースされる。これからのカーラ入門者は、まずはココから。

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セクステット (限定盤)(UHQCD)
カーラ・ブレイ
Universal Music
2024-10-16

《Tower Records はココから》

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