sapo

いつの間にか紙ジャケ再発されていました。サンタナを筆頭とするサンフランシスコのラテン・ロック界隈で、70年代に活動していた幻のグループ、SAPOの唯一のアルバム。その周辺では、サンタナの兄弟バンドであるマロ、エスコヴェート兄弟が主導したアステカ、そしてお隣L.A.からはエル・チカーノ、ティエラといった同類バンドが登場し、ウエストコーストのラテン・ロック・シーンは大きく盛りがっていったのだ。

ガマガエルという意味のSAPOは、そのマロの分家バンド。マロにゲスト・ヴォーカル格で参加していたリチャード・ビーンが、自らも共作者に名を連ねたデビュー・シングル<Suavecito(スアヴェシート)>が全米18位の大ヒットになるのを目の当たりにし、自分のリーダー・グループを組もうと画策したのが発端だ。集められたメンバーは、自身含む2パーカッション入りの6人。リハーサルを開始すると、早速アリスタ・レコードの前身であるベル・レコードが彼らと契約を結び、ジョン・サイモンのプロデュースにより本盤制作。74年初頭にリリースされたこのアルバムでは、7人編成の大型ホーン・セクションが迎えられ、マイルス・デイヴィスの薫陶を受けたデイヴ・リーヴマンが鋭いサックス・ソロを披露する楽曲も収められた。ホーンをフィーチャーしているためか、サンタナよりも若干ロック寄りで、尚且つファンキー。そこに耳触りの良いリチャード・ビーンのヴォーカルが乗る。それがSAPOサウンドの特徴だ。

ところが、結果的に<Suavecito>のようなシングル・ヒットが放てず、メンバーは落胆。大きな期待を寄せられていた分、反動も大きかったようで、SAPOは同年末、早々に瓦解してしまう。結果リチャードは、鍵盤のキンシェイド・ミラーと共に、マロを抜けたホルヘ・サンタナに合流。彼のバンドで、有名な『JORGE SANTANA』(79年)と『IT'S ALL ABOUT LOVE』(80年)に参加した。またコンガ担当だったラウル・リコウは、大ボス的存在のサンタナに加入。76年作『FESTIVAL』から亡くなる前の2013年まで、グループの大番頭的ポジションに座っていた。

その後SAPOは90年半ばに再結成され、地道に活動を続けているとか。レア・グルーヴ方面からの再評価機運もあってだろう、このワン&オンリー作は何度かCDやアナログで復刻されてきた。サンタナなどのラテン・ロックが好きで、まだSAPOを知らない方は、この紙ジャケ化のタイミングで是非チェックを。そういえばホルヘ・サンタナ『JORGE SANTANA』も、」少し前に紙ジャケ化されていました。

《amazon》
サポ
サポ
ヴィヴィド・サウンド
2024-05-29

《Tower Records はココから》

《amazon》
ホルヘ・サンタナ
ホルヘ・サンタナ
ヴィヴィド・サウンド
2023-12-27

《Tower Records はココから》