queen 1 deluxe

早朝からの予定が意外に早く引けたので、本日発売の『QUEEN I -Deluxe Edition-』を爆音で。クイーンは自分のロック初期体験のひとつで、初めて聴いたのは中学2年の時にクラスメイトから借りた『QUEEN II』。その後リリースされた<Killer Queen>のシングルを初めて買って、それからアルバム『SHEER HEART ATTACK』を手にしたのだった。そこから遡ってこのデビュー盤を聴いたのだけど、『オペラ座の夜』が出る頃には既発3枚は全部揃えていたな。当時はブリティッシュ系のハード・ロックやプログレの ベテラン・バンドばかり聴いていたが、クイーンは世代が少し近い分、ちょっと身近な感じがあった。

クイーンの作品の中でもハード・ロック色が強いことで知られる、この1st。自分も当然愛着があるけれど、この2024年リミックスは、<The Night Comes Down>が先行配信リリースされた時から賛否両論が渦巻いていて。ちなみに6CD + 1LPから構成されるコレクターズ・エディションは、どうしても聴きたくなったらサブスクでチェックすりゃあ充分と思っているが…。

…で、聴いた感覚としては、少し籠り気味だったサウンドがスッキリ、ヴェールが剥がれた感じで、なかなか良好。初聴き時はかなりビックラこきました。でも次第に、果たしてコレでいいのか、という疑問がフツフツと。

キャッチコピーに拠れば、現行メンバーであるブライアン・メイとロジャー・テイラーがリミックス作業に携わり、「これこそが、僕らが皆さんに届けたいと夢見ていたデビュー・アルバムだ」と言ったとか。その言葉には何ら偽りはなく、まさに2人の音がクッキリと前面に出ている。ドラムは音は当時から評判良くなかったけれど、今回は箱鳴り感が凄く、全盛期の音そのものになっている。ギターもセパレーションが効いていて、こんなフレーズ弾いてたのかッという発見が。逆にその割りを喰ってしまったのがベース。リミックスにジョン・ディーコンは立ち会っていたら、これをヨシとはしなかっただろう。

一番驚いたのは、<Liar>の変貌ぶりだ。<The Night Comes Down>公開時も、フレディのヴォーカルにオートチューンかけて修正している、という指摘があったが、あまりにもダイナミックになっていて、オールド・ファンとしては違和感ビシバシ。オリジナル・リリース直前にカットされてしまったという<Mad The Swine>なる曲が、オリジナル・プラン通りのところに収録され、これが今回のリミックス再発のウリにもなっている。まぁ、ロジャーやブライアンのコダワリなんだろうけど、正直大した曲ではなく、「あればあったで嬉しいけど、なくてもイイかな…」という程度の印象だ。

Disc 2は『QUEEN I SESSION-』と謳われ、アルバム本編曲の初期テイクを曲順通り収録。トライデント・スタジオとディ・レーン・リー・スタジオ両方で録音された未発表音源を使い、ラフなガイド・ヴォーカルやメンバー同士の会話もふんだんに聞くことができる。音楽的に興味深いのは、初期ヴァージョンはアコースティック・ギターのリズム中心にプレイされていること。リード・ギターは後からダビングしていて、複雑に構築されたクイーン・サウンドの、もっともネイキッドなカタチが現れている。初期ファンならきっと、このDisc 2のナチュラルなクイーンに惹かれてしまうのではないかな?

…というワケで、原題『QUEEN』が『QUEEN I』に改題されたコトに象徴されているように、ブライアンとロジャーが今ファンに聴かせたいと思い、現在のセンスとテクノロジーで再構築したのがこの2024リミックス。でも時代的にもキャリア的にも、新人バンドのデビュー・アルバムでいきなりこんな分厚いサウンドが作れるハズもなく、まるで別モノだと思う。これは映画『BOHEMIAN RHAPSODY』でクイーンを知ったような新しいファン、デジタル世代のリスナーに対し、“オレたちは最初からスゴかったんだよ” とアピールする作品だ。だからオリジナル盤をよく知り、長く聴き馴染んできた方は、2011年リマスターの方に愛着が湧くだろう。ブライアンとロジャーも、物理的にそれ以上の高音質を望むなら、リマスターではなくリミックスしないと難しい…、という判断があったハズだ。それでもリミックスを決断し、代わりにタイトルを微調整して、別モノであることを示した。

個人的に言えば、このオルタネイト・ミックスも相応に楽しんだ。ただやっぱり違和感は多く、それがあったからこそのニュー・ミックスだと感じる。なので自分的にはコレからも2011年をリマスターを基本とし、時々この2024リミックスを楽しむ、そんな接し方になるかな。






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