70年代的ウエストコースト・ミュージックの良き後継者ジェフ・ラーソンの、10年ぶりとなる新録アルバム『ADOBE HOME』。その国内仕様盤が、拙ライナーノーツ付きでようやく発売された。最初に解説を書き下ろしてからは1年以上が経っていて、CDに入っているのは夏には加筆修正したもの。いろいろオトナの事情が絡まってUSリリースが遅れたのを皮切りに、日本盤もスケジュールが狂ってしまったそうで、輸入盤/デジタル・リリースから半年以上が過ぎている。ウエストコースト・ミュージックのファンにはとても嬉しいニュー・アルバムのはずなので、ココでシッカリとチェックをお願いしたい。
でも10年ぶりの新録作という事実には、驚く人が多いかも。日本での契約が復活した2015年以降、割とコンスタントにリリースが続いていたからだ。でもこれらはいずれも過去リリースの再訪盤、いわゆるリヴィジテッド・エディションだったのだ。その一方で、ビーチ・ボーイズ側近のジェフリー・フォスケット(23年12月没)、サーフ・ロック方面で知られるサンダルズのメンバー:ジョン・ブレイクリー、イーグルスのティモシー・シュミットの愛娘:ジェドラらをパートナーに、それぞれとのジョイント・アルバムをリリース。更にアメリカのジェリー・ベックリーの参謀役を務め、『CAROUSEL』(16年),『FIVE MILES ROAD』(19年),『AURORA』(22年), 『GERRY BECKLEY』(24年) というジェリーのソロ作群でコー・プロデュースやエンジニア、バック・ヴォーカルなどで活躍。近年続々と世に出ているアメリカの編集盤・発掘盤の多くがジェフの手に拠る。
久々に自分のソロ作に取り掛かったのも、ジェリーから「ティム・ハーディングの曲をカヴァーしてみたら?」と提案されたのが最初。これが動き出すと、ジェリーが今作のリリース元となるナッシュヴィルのレーベル:メロディ・プレイスを見つけてくれたそうだ。そこで今まで書き溜めていた楽曲をシェアしてみたところ、このアルバムを作ることになったという。その後コロナ・パンデミックが発生。しかしジェフにとっては、スタジオへ戻って曲を書いて完成させる生活に戻ることができ、自分がリセットされる良いキッカケになったそうだ。
アルバム・タイトル『ADOBE HOME』は、泥のレンガで建てた家のこと。ジェフは2020年にサンディエゴ・エリアに転居し、古き良きカリフォルニアの牧場スタイルを守っているカリヨ・ランチ保護地区のすぐ隣に家を構えたのだが、その保護地区のシンボルがレンガ造りの家なのだという。
収録曲はパンデミック中に書いて録音した30数曲からのチョイスで、過去の楽曲のスタイルと新しい方向性を融合させようと努めた、とのこと。だからココには、パワー・ポップ、ジャズ、ボサノヴァ等など、幅広い要素も。でもプロダクツ的にはほとんどすべてが生演奏。ジェフとジェリーの2人だけでギター、ベース、鍵盤類、コーラスを賄い、そこにドラム&パーカッションでブライアン・ヤング(元ファウンテインズ・オブ・ウェイン)が参加した。だからこの3人がコア・メンバーと言えそう。そしてオーヴァーダビングされたストリングスの響きが良く利いていて、シンプルながらもゆったりふくよかな質感を運んでくれる。ゲスト陣にはジェフ作品常連のロバート・ラムとジェイソン・シェフ。ラムは<A Matter of Time>を共作し、ジェフとこの曲の共同プロデュースに当たっている。元々はジェフが17歳の時に遊びで作ったデモが元になっていて、ボサノヴァ・スタイルだったことからラムに聴かせたところ、すぐさまそのデモ曲をブラッシュ・アップすることになったらしい。
しかしこのアルバムのハイライトは、また別のところに。それがイーグルスやグレン・フライの名曲を書いている伝説的シンガー・ソングライター、ジャック・テンプチンとの再会だ。サンディエゴ在住のジャックは、いわばジェフの新たなご近所さん。以前から面識はあったそうだが、アメリカのサンディエゴ公演のフロントアクトでジャックが演奏したのを機に、深い付き合いが始まった。そして多くの共作曲が誕生し、そのうち2曲をココに収録。初のコラボ楽曲という<The Name Of the Song>がイーグルスっぽいのも、当然の成り行きだろう。ジェフの単独作である<Santa Ana Sunset>も、ジャックとの電話での会話がインスピレーション源とか。今年リリースされたジャックの最新ソロ作『MORE OF LESS』も、実はジェフがプロデュースしている。
加えて日本仕様盤特典として、今はなきジェフリー・フォスケットのコーラスをたっぷりフィーチャーした<Raining In My Heart>が用意され、ダウンロード用QRコードを封入。ジェフの兄貴分みたいな存在だったジェフリーだけに、ジェフには思い出深きトラックだそうだ。
《amazon》
《Tower Records でCDを購入》
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久々に自分のソロ作に取り掛かったのも、ジェリーから「ティム・ハーディングの曲をカヴァーしてみたら?」と提案されたのが最初。これが動き出すと、ジェリーが今作のリリース元となるナッシュヴィルのレーベル:メロディ・プレイスを見つけてくれたそうだ。そこで今まで書き溜めていた楽曲をシェアしてみたところ、このアルバムを作ることになったという。その後コロナ・パンデミックが発生。しかしジェフにとっては、スタジオへ戻って曲を書いて完成させる生活に戻ることができ、自分がリセットされる良いキッカケになったそうだ。
アルバム・タイトル『ADOBE HOME』は、泥のレンガで建てた家のこと。ジェフは2020年にサンディエゴ・エリアに転居し、古き良きカリフォルニアの牧場スタイルを守っているカリヨ・ランチ保護地区のすぐ隣に家を構えたのだが、その保護地区のシンボルがレンガ造りの家なのだという。
収録曲はパンデミック中に書いて録音した30数曲からのチョイスで、過去の楽曲のスタイルと新しい方向性を融合させようと努めた、とのこと。だからココには、パワー・ポップ、ジャズ、ボサノヴァ等など、幅広い要素も。でもプロダクツ的にはほとんどすべてが生演奏。ジェフとジェリーの2人だけでギター、ベース、鍵盤類、コーラスを賄い、そこにドラム&パーカッションでブライアン・ヤング(元ファウンテインズ・オブ・ウェイン)が参加した。だからこの3人がコア・メンバーと言えそう。そしてオーヴァーダビングされたストリングスの響きが良く利いていて、シンプルながらもゆったりふくよかな質感を運んでくれる。ゲスト陣にはジェフ作品常連のロバート・ラムとジェイソン・シェフ。ラムは<A Matter of Time>を共作し、ジェフとこの曲の共同プロデュースに当たっている。元々はジェフが17歳の時に遊びで作ったデモが元になっていて、ボサノヴァ・スタイルだったことからラムに聴かせたところ、すぐさまそのデモ曲をブラッシュ・アップすることになったらしい。
しかしこのアルバムのハイライトは、また別のところに。それがイーグルスやグレン・フライの名曲を書いている伝説的シンガー・ソングライター、ジャック・テンプチンとの再会だ。サンディエゴ在住のジャックは、いわばジェフの新たなご近所さん。以前から面識はあったそうだが、アメリカのサンディエゴ公演のフロントアクトでジャックが演奏したのを機に、深い付き合いが始まった。そして多くの共作曲が誕生し、そのうち2曲をココに収録。初のコラボ楽曲という<The Name Of the Song>がイーグルスっぽいのも、当然の成り行きだろう。ジェフの単独作である<Santa Ana Sunset>も、ジャックとの電話での会話がインスピレーション源とか。今年リリースされたジャックの最新ソロ作『MORE OF LESS』も、実はジェフがプロデュースしている。
加えて日本仕様盤特典として、今はなきジェフリー・フォスケットのコーラスをたっぷりフィーチャーした<Raining In My Heart>が用意され、ダウンロード用QRコードを封入。ジェフの兄貴分みたいな存在だったジェフリーだけに、ジェフには思い出深きトラックだそうだ。
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ジェリーベックリーの今年のアルバムは国内盤なしですか?