nelson super project

山下達郎の00年前後のツアー・メンバーが、そっくりそのままバンドになったNELSON SUPER PROJECT (ネルソン・スーパー・プロジェクト) の最初のアルバムが、先月末にアナログ2枚組で復刻された。02年の自主制作オリジナルCD、08年にボーナス・トラック+DVDの2枚組で出たデラックス・エディション、それぞれ手元にあるけれど、もちろんアナログはお初。果たしてちゃんと聴いたのは何年ぶりだろう。記憶の中のサウンドは少々古臭くなっていたけれど、実際に聴けば全然そんなコトはなく、アナログの音も瑞々しく臨場感タップリ。やっぱりコレがバンド、ナマ音の醍醐味だよなぁ〜。

メンバーは、以下の9人。
青山純(ds)伊藤広規(b)佐橋佳幸(g)難波弘之 / 重実徹(kyd)土岐英史(sax)
佐々木久美(vo, organ)国分友里恵(vo)三谷泰弘(vo)

タツロー氏のツアー『Performance '98-'99』に召集された敏腕ミュージシャン9人が意気投合して結成。主要メンバーは80年代初めからバックを務めている。結成当初は一夜限りのセッション・ライヴだったはずが、あまりの盛り上がりにバンドに格上げ。定期的なライヴを続けるうち、オリジナル・アルバムを作る話が動き出し、02年にリリースしたのがコレになる。

セッション・ミュージシャンとしての演奏力の高さは今更言うまでもないが、達郎氏のお眼鏡に適った面々ということで、センスや咀嚼度が近く、音楽性にも共通項が多いのだろう。しかもツアーを通じて気心が通じている。こういう人たちが心底楽しみ、バンドとしての一体感が生まれたら、もう鬼に金棒。売れるかどうかは関係なく、大看板もいない。そうした雰囲気も、音楽の面白さを増幅させたのではないか。

クリティカルな聴き方をすれば、楽曲ごとのベクトルは結構アッチコッチを向いていて、取り留めがない。でもバンドとして強力なエネルギーや一体感があって、メンバーたちのニコヤカにプレイする顔が目に浮かぶ。キャリア組がバンドを組むのって、特定の音楽を演るためにメンバーを集める場合が多いけれど、彼らはまずラインナップありき。だからミュージシャンシップに溢れたケミストリーが生まれたのだな。

この顔ぶれでのタツロー・ライヴは、02年『PERFORMANCE 2002 RCA/AIR YEARS SPECIAL』が最後らしく、次のフル・ラインアップによるツアーからドラムと鍵盤一人が交代。NELSON自体も08年にモータウン・カヴァー中心の2作目を出したが、1作目の時のようなケミストリーは生まれなかった。それだけに、バンドのピークのタイミングを捉えて瞬間パッケージしたようなコレのアナログ化は嬉しい。2枚組の内容は、オリジナル・アルバムの11曲をLPのA〜C面に。デラックス盤のライヴ3曲をD面に、という構成。最初期からセットリストに入れていた<Work To do>と、御大<Let's Dance Baby>のカヴァー(オーディエンスのクラッカー入り)もサイコーです。

考えてみたら、現在もタツロー・バンドにいるのは、城北トリオの2人(伊藤広規・難波弘之)と三谷さんだけなんだな…。

nelson super project
《Tower Recordsでanalogを購入》