マルチ・サックス奏者トム・スコットの、79年クロスオーヴァー/フュージョン名盤『STREET BEAT』。基本的に60年代から活躍するジャズ・プレイヤーだけれど、L.A.を地盤としていたため各種スタジオ・セッション、映画音楽やTVドラマの劇伴など、ハリウッド界隈の需要も多く、作編曲やバンド・リーダーとしても活躍。ビートルズの面々のソロ活動でも常連で、特にジョージ・ハリスンとはL.A.エキスプレス(ロベン・フォード入り)を率いてツアーに出ている。
リーダー作では作品ごとにニューヨーク勢とL.A.勢を使い分けていたが(混成アリ)、この『STREET BEAT』はガッツリL.A.寄りのポップ・ロック・アプローチで、躍動感のあるサウンドを展開。メインのリズム・セクションにはジェフ・ポーカロ (ds) を中心に、ニール・スチューベンハウス (b)、カルロス・リオス (g) という気鋭の若手を起用し、曲によってジェリー・ピータース (kyd) やヒュー・マクラッケン (g)、ラルフ・マクドナルド (perc)といったザ・ライターズの面々やドン・グルーシン (kyd) を合流させている。ジェフ・ポーカロのフュージョン系スタジオ・セッションでは、ラリー・カールトン『夜の彷徨 (LARRY CARLTON)』と共に忘れ難い作品だ。
一方で<Car Wars>は、『AMERICATHON』という映画に提供した楽曲で、ラッセル・フェランテ (kyd)、ジミー・ハスリップ (b) にカルロス・リオス+ドラマーという陣容。イエロージャケッツの前身というには早過ぎるけれど、リオスに取ってはジノ・ヴァネリに大抜擢された直後の仕事であり、おそらくそこで超絶ベースを弾いていたハスリップが連れてきたのではないか。そしてそのギター・ワークをトムが気に入り、アルバム・セッションに呼んだ、という推察が成り立つ。そしてこの後リオスはクインシー・ジョーンズから声が掛かり、日本公演でスティーヴ・ルカサーの代役を果たすのだ。ちなみにこの曲、日本では人気レスラー:ダイナマイト・キッドの入場曲として知られているかも。
また<We Can Fly>というメロウ・チューンで活躍しているのは、ラーセン=フェイトンの名コンビ。ちょうどニール・ラーセンの2ndソロ『HIGH GEAR』、彼らが実質的に仕切ったラニ・ホール『DOUBLE OR NOTHING』と同時期というコトで、トムもトミー・リピューマやハーブ・アルパートと同じように彼らに目を付けていたに違いない。このコンビにリック・マロッタ (ds) を当てるあたりも、サスガのセンス。
<Greed>のヴォーカルを担当しているデニス・トファノは、ブラス・ロックの元祖と言われるザ・バッキンガムズの中心人物。グループ解散後は元同僚とのデュオ:トファノ&ジャマリースを組んで、3枚のアルバムを発表。トムとはルー・アドラーが主宰するオードでの元レーベル・メイトで、デュオの最終作『THE OTHER SIDE』(77年)はトムがプロデュースを務めた、という間柄だった。
こうしたキャスティングのトライの傍ら、トム自身もサックス・シンセの走りに当たるリリコンを多用。前作『INTIMATE STRANGERS』でも吹いていたけれど、楽曲の色彩感を増幅される狙いか、より重きを置いた使用法を試みている。何より収録曲すべてがトム自身の楽曲というところに、このアルバムに対する彼の意気込みが見えるようだな。
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《Tower Records はココから》
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一方で<Car Wars>は、『AMERICATHON』という映画に提供した楽曲で、ラッセル・フェランテ (kyd)、ジミー・ハスリップ (b) にカルロス・リオス+ドラマーという陣容。イエロージャケッツの前身というには早過ぎるけれど、リオスに取ってはジノ・ヴァネリに大抜擢された直後の仕事であり、おそらくそこで超絶ベースを弾いていたハスリップが連れてきたのではないか。そしてそのギター・ワークをトムが気に入り、アルバム・セッションに呼んだ、という推察が成り立つ。そしてこの後リオスはクインシー・ジョーンズから声が掛かり、日本公演でスティーヴ・ルカサーの代役を果たすのだ。ちなみにこの曲、日本では人気レスラー:ダイナマイト・キッドの入場曲として知られているかも。
また<We Can Fly>というメロウ・チューンで活躍しているのは、ラーセン=フェイトンの名コンビ。ちょうどニール・ラーセンの2ndソロ『HIGH GEAR』、彼らが実質的に仕切ったラニ・ホール『DOUBLE OR NOTHING』と同時期というコトで、トムもトミー・リピューマやハーブ・アルパートと同じように彼らに目を付けていたに違いない。このコンビにリック・マロッタ (ds) を当てるあたりも、サスガのセンス。
<Greed>のヴォーカルを担当しているデニス・トファノは、ブラス・ロックの元祖と言われるザ・バッキンガムズの中心人物。グループ解散後は元同僚とのデュオ:トファノ&ジャマリースを組んで、3枚のアルバムを発表。トムとはルー・アドラーが主宰するオードでの元レーベル・メイトで、デュオの最終作『THE OTHER SIDE』(77年)はトムがプロデュースを務めた、という間柄だった。
こうしたキャスティングのトライの傍ら、トム自身もサックス・シンセの走りに当たるリリコンを多用。前作『INTIMATE STRANGERS』でも吹いていたけれど、楽曲の色彩感を増幅される狙いか、より重きを置いた使用法を試みている。何より収録曲すべてがトム自身の楽曲というところに、このアルバムに対する彼の意気込みが見えるようだな。
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私はピンクフロイドを知ったのも、坂本龍一のYMO以外の作品を知ったのもソッチ方面でした。
因みにトム・スコットを知ったのはタクシードライバーのサントラでした。