角松敏生 34年ぶりのギター・インスト・アルバム『TINY SCANDAL』には、昨日のポストでご紹介したラムゼイ・ルイス/ディー・ディー・ブリッジウォーター<Tequila Mockingbird>の他にもう1曲、カヴァー曲が入っている。それが佐藤博のメロウ・チューン<Evening Shadows>。オムニバス収録曲だからか、83年の発表以来あまり注目されないまま長い年月が経っていたけれど、近年のシティポップ・ブームでスポットが当たり、日本よりもむしろバレリアック〜アンビエント方面の人気が高い海外のレコード・マニア垂涎のネタになった。
オリジナル収録は、CBS/SONY(当時)が立ち上げた好企画《SOUND IMAGE SERIES》でリリースされた『SEASIDE LOVERS』。アイランド・リゾートを舞台にした架空のイメージ・ラヴ・ストーリーのサウンドトラックという体(テイ)で、佐藤と井上鑑、松任谷正隆という鍵盤系アレンジャー/サウンド・クリエイターたちが、それぞれに作品を持ち寄っている。元々は、細野晴臣、鈴木茂、山下達郎が78年に制作したオムニバス『PACIFIC』(YMO<Cosmic Surfin>のオリジナル収録)の続編として作られた。
佐藤博といえば、白タマの絶品アコースティック・ピアノを弾く職人プレイヤーとして有名。京都育ちで、最初は上田正樹ら関西のフォーク/ブルース・シーンで頭角を表したところを、『BAND WAGON』のツアー・メンバーを探していた鈴木茂の目に止まってハックル・バックに参加。細野や鈴木茂がいるティン・パン・アレーから松任谷正隆が離れると、その後釜的に重用されるようになり、自然にティン・パン・ファミリーの一員になった。でもその一方で、アマチュア時代から宅録で音楽を創るマニアックな一面も。細野のYMO構想の発端は、キーボードは坂本龍一ではなく佐藤だったのも今や有名な話である。
彼が『SEASIDE LOVERS 』に提供した新曲は、<Evening Shadows><"X's And O's><Sun Bathing>というインスト3曲。代表作とされる名盤『awakening』の翌年なので、ほとんどの演奏は彼自身のキーボード&シンセサイザー、ドラム・マシーン、サンプラー等など。今剛 (g) や林立夫 (ds) の参加はあるものの、やはりココも彼の才気が迸る場となった。『awakening』では Linn Drumでリズム・メイクを行なったが、ココではLinn Drumに加えヤオヤ(通称/ローランド TR-808)を併用。そうしたテクノロジーの進化・導入があってか、静謐なイメージの『awakening』よりもノリの良さが際立っている。米西海岸での武者修行中にLinn Drumに触れ、“オレの時代がきた!” とほくそ笑んで帰国を決めた宅録マニアは、きっと満面の笑みでこの企画に乗ったに違いない。そしてその先に、角松敏生リミックス/プロデュースによる12インチ盤『SWEET INSPIRATION』や、『FUTURE FILE』『AQUA』(87 / 88年)といった好盤がある。
そして上掲左は、2017年に出た佐藤の12インチ・ヴァイナル。近年『SEASIDE LOVERS』はCD /アナログともに復刻を繰り返していて、特に需要が高いアナログ盤は、再発の都度カラーリングの異なる盤が出ている。それを受けて、『SEASIDE LOVERS 』からの佐藤楽曲3曲に、彼が音楽を担当したアニメ映画『七都市物語』のエンディング・テーマ曲<ordinary>(ヴォーカルはCANDEE)を追加し、アナログ化したものだ。タワー・レコード限定ながら、現在も入手可能なので、興味のある方はどうぞお早めに。
前日ポストで<Tequila Mockingbird>が角松新作のハイライトと書いたが、個人的にそれに次ぐのがこの佐藤博カヴァー。久々のインスト作には、メロディが素直に耳へ入ってくるオリジナル曲があまりなく、結果的にカヴァー2曲が際立っているように感じる。アルバムの素材たる曲作りは少々脆弱だけど、その代わりに経験値がモノをいうアレンジ、参加ミュージャンたちの熱演が素晴らしく、それを補完して余りある感じだなぁ。
《amazon》
《Tower Records でCD購入》
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《Tower Records でLP購入 (特典なし)》
《Tower Records 限定》
《EVENING SHADOOWS 12インチ・アナログ》
佐藤博といえば、白タマの絶品アコースティック・ピアノを弾く職人プレイヤーとして有名。京都育ちで、最初は上田正樹ら関西のフォーク/ブルース・シーンで頭角を表したところを、『BAND WAGON』のツアー・メンバーを探していた鈴木茂の目に止まってハックル・バックに参加。細野や鈴木茂がいるティン・パン・アレーから松任谷正隆が離れると、その後釜的に重用されるようになり、自然にティン・パン・ファミリーの一員になった。でもその一方で、アマチュア時代から宅録で音楽を創るマニアックな一面も。細野のYMO構想の発端は、キーボードは坂本龍一ではなく佐藤だったのも今や有名な話である。
彼が『SEASIDE LOVERS 』に提供した新曲は、<Evening Shadows><"X's And O's><Sun Bathing>というインスト3曲。代表作とされる名盤『awakening』の翌年なので、ほとんどの演奏は彼自身のキーボード&シンセサイザー、ドラム・マシーン、サンプラー等など。今剛 (g) や林立夫 (ds) の参加はあるものの、やはりココも彼の才気が迸る場となった。『awakening』では Linn Drumでリズム・メイクを行なったが、ココではLinn Drumに加えヤオヤ(通称/ローランド TR-808)を併用。そうしたテクノロジーの進化・導入があってか、静謐なイメージの『awakening』よりもノリの良さが際立っている。米西海岸での武者修行中にLinn Drumに触れ、“オレの時代がきた!” とほくそ笑んで帰国を決めた宅録マニアは、きっと満面の笑みでこの企画に乗ったに違いない。そしてその先に、角松敏生リミックス/プロデュースによる12インチ盤『SWEET INSPIRATION』や、『FUTURE FILE』『AQUA』(87 / 88年)といった好盤がある。
そして上掲左は、2017年に出た佐藤の12インチ・ヴァイナル。近年『SEASIDE LOVERS』はCD /アナログともに復刻を繰り返していて、特に需要が高いアナログ盤は、再発の都度カラーリングの異なる盤が出ている。それを受けて、『SEASIDE LOVERS 』からの佐藤楽曲3曲に、彼が音楽を担当したアニメ映画『七都市物語』のエンディング・テーマ曲<ordinary>(ヴォーカルはCANDEE)を追加し、アナログ化したものだ。タワー・レコード限定ながら、現在も入手可能なので、興味のある方はどうぞお早めに。
前日ポストで<Tequila Mockingbird>が角松新作のハイライトと書いたが、個人的にそれに次ぐのがこの佐藤博カヴァー。久々のインスト作には、メロディが素直に耳へ入ってくるオリジナル曲があまりなく、結果的にカヴァー2曲が際立っているように感じる。アルバムの素材たる曲作りは少々脆弱だけど、その代わりに経験値がモノをいうアレンジ、参加ミュージャンたちの熱演が素晴らしく、それを補完して余りある感じだなぁ。
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music by 井上 鑑、松任谷 正隆、佐藤 博
ソニー・ミュージックレーベルズ
2024-11-03
《Tower Records でLP購入 (特典なし)》
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《EVENING SHADOOWS 12インチ・アナログ》
佐藤博さんといえば、
かなり昔。テレビ朝日系列で毎週月曜日の夜9時から
放送されていた『食にまつわる情報番組』の
『EAT9(イート・ナイン)』のオープニングテーマを
手掛けていたのを記憶してまして、
そのカッコ良さに舌を巻いた記憶があります。
その音源は恐らくCD化もされてないと思われます。
動画サイトで『EAT9』のオープニングが
もし見つかれば、そのサウンドのカッコ良さを
再確認できるのになぁ、、、と
夢想しちゃうのでした(苦笑)。