yoichi takizawa_boy

奇跡のCD化、なんてセリフは、もはや使い古されてしまった感アリ。しかし、本日リリースとなった滝沢洋一による幻の2nd『BOY』(82年録音)は、奇跡と呼ぶのがジャスト・フィットする。これは、42年の時を超えてやっと日の目を見た、という単純な話だからではなく、蔵出しリリースに至るまでのストーリーを含めて、途轍もなく奇跡的なのだ。早世した滝沢のご遺族は当然ながら、滝沢の音楽にイタく魅せられたプロジェクト推進者の飽くなき情熱と、関わった業界関係者数人の英知や経験が連鎖して一個の輪となり、ココに至ったからである。きっと誰か一人が欠けただけでも、こういう形にはならなかったと思うのだ。

その詳細ストーリーは、是非こちらの記事をご覧いただくとして…
『42年間も封印された“幻のシティポップ”』

幻のアルバム『BOY』に収録されたのは全9曲。78年の1st『レオニズの彼方に』は、佐藤博アレンジによるメロウなシティポップ作品だったが、82年制作のコチラは、よりバラエティーに富んだ内容になった。エアプレイ風スターター<悲しきファイアーマン>、寺尾聰っぽいサウンドに乗せて やまがたすみことデュエットを聴かせる<ビーナスのいた朝 >に始まり、インストの<アネクドート>、先行シングルで無事リリースされた<サンデーパーク>、ビートたけしに提供したロッカ・バラード<シティバード>と進んでいく。そしてハイライト的存在が、本作お蔵入り後に西城秀樹のアルバムに提供されたアーバン・チューン<かぎりなき夏>。これにスケール感のあるスロウ・チューン<海のバラッド>が続いて、本編終了となる。

ベーシックな参加メンバーは、徳武弘文/丹波博幸 (g), 六川正彦 (b), 中西康晴 (pf) など。<海のバラッド>の印象的なソプラノ・サックス・ソロは誰なのか、クレジットはない。

リリースは CD / LP / 配信が同時発売で、CDにはオリジナル9曲に加え、シカゴのシティポップ好きDJ:ヴァン・ポーガムによる<かぎりなき夏>リミックス・ヴァージョン、マスターテープ捜索の過程で発見されたオリジナル・カラオケ8曲(インスト曲を除く)をボーナス収録。どうぞ皆さんも、このミラクル・リリースの恩恵に浴すべし、よ。



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BOY
滝沢洋一
ソニー・ミュージックレーベルズ
2024-12-18

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