interiors_design

先月から断続的に進んでいた某シンガーのレコーディング、年内最後のスタジオ立会い。リッチな歌声に満たされて良い時間を過ごしたが、さすがに耳が疲れたので、1日のシメにはこのニューエイジ〜アンビエントの名盤、インテリアズの87年2nd『DESIGN』を。米レーベル:Light in the Atticより18年にリリースされた日本の環境音楽〜アンビエント系コンピレーション『環境音楽 KANKYO ONGAKU』に1stから<Park>が収録され、世界的話題に。このコンピはグラミー最優秀ヒストリカル・アルバム賞にノミネートされるなど高い評価を受け、アンビエント・ミュージック再興を躍進させる原動力になった。

筆者がこの手の音楽について書くことを、意外に思う方も多いだろう。それもそのはず、もちろん自分は門外漢で、このジャンルには全く詳しくない。それでも(ブライアン)イーノはソロ活動初期から結構好きで、『ANOTHER GREEN WORLD』(75年) や『BEFORE AND AFTER SCIENCE』(77年) はオンタイムで結構愛聴していたし、ロバート・フリップとの『NO PUSSYFOOTING』(73年) や『EVENING STAR』(75年) の世界観も好んでいた。79年作『MUSIC FOR AIRPORT』でアンビエント・シリーズがスタートした時は、「コレは何なの?」ってな感じだったが、イーノが提唱した環境音楽の概念には共鳴する部分が多かったな。

その後この手のスタイルは、ウインダム・ヒルに代表される自然派と、テクノと結びついた細野晴臣や高橋幸宏のYENレーベルのようなエレクトロニクス系の流れに。生音志向が強い自分は完全にウインダムヒル派だったけれど、当然のこと最新機材と生演奏を上手に混在させた中間的な一派もいて。82年にバークリー音楽院出(中退含む)の4人でデビューしたこのインテリア(当初は「ズ」が付かない)も、コンピュータを駆使した斬新なサウンドで話題になり、85年に1stアルバムを再構成したアルバムをウインダム・ヒルから発売してワールドワイド・デビュー。自分が彼らを初めて聴いたのも、そのウインダム・ヒル盤だったと記憶する。そして87年、日向大介 (kyd) と野中英紀 (g) のユニットになったインテリアズが新作発表。それがこの『DESIGN』になる。

ツー・メン・ユニット化にあたって、より分かりやすく有機的になり、楽曲よってはプログレ的要素やエモーショナルな表現を導入。それが自分のような門外漢でも馴染みやすくなった要因だろう。もっともインテリアズはこのアルバムを以て自然解体してしまうのだが…。

小耳に挟んだ情報によると、レコーディングは東京とサンフランシスコ郊外のマリン・カウンティで行われ、シスコの方のスタジオはジェリー・ガルシアの家のすぐ近くだったとか。そこでグレイトフル・デッドやドゥービー・ブラザーズのファミリーだとか、関係者が頻繁にスタジオに出入りしていたらしい。そこ彼らはまだ珍しい機材に触れたり、イナジネイティヴな音を聴いてトリップ感覚を味わったりと、なかなか賑やかな録音だったという。そういう空気感があったから、前作よりも何処かヒューマンな味付けを感じたのかもしれない。

米コンピ盤のように、かつては環境音楽とも呼ばれたニューエイジ〜アンビエント・ミュージック。だからエリック・サティみたいに、日々の生活や暮らし、あるいは風景に溶け込んでしまう音楽こそ本分のはずだ。故に一部の専門家たちを除けば、いわゆるレコード・コレクターたちの蒐集ネタとは、本来一番遠いところにある音楽だと思う。それが今では格好の収集対象。まぁ、レコード・コレクターたちの脳内は、溝に詰まった音楽そのものより、パッケージとしてのレコードそのものが興味の対象なのだろう。それがイイのか悪いのかは別問題だけど、こうして再評価のキッカケになるのなら、それもアリとすべきなのかな。

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