久々に風邪を引いてしまいました。50歳代後半になってから年に1〜2度罹患するようになったが、今回は「アレ、風邪引いたか?」と思ったら、翌日にはすぐ発熱。幸いにも物心ついてからインフルエンザに罹ったことがないので、今度もただの風邪だと思われるが、渋谷で予定していたミーティングはリモートに変更。まぁ、便利な世の中になったモンです。
そんなこんなでクリスマスだというのに、ほぼ一日布団被って寝ていた中、ちょっと起き出した時に聴いたのがコレ、ローラ・ニーロの名盤、68年の2nd『イーライと13番目の懺悔 (ELI AND THE THIRTEENTH CONFESSION)』。 先月、SACDマルチ・ハイブリッド・エディションがリリースされたので、SACD4ch、つまり当時のクアドラフォニック盤で聴くのを楽しみにしていたのだ。このクアドラ盤、当時の日本では発売を見送られたそうで、今回が日本初登場になる。
ご存知のように、ローラのデビューは67年にヴァーヴから。しかし制作陣とは音楽的齟齬が大きく、前評判とは裏腹にセールスも低迷。そこに現れたデヴィッド・ゲフィンは、ローラにヴァーヴとの契約を破棄させ、半ば強引にコロムビアへ移籍。1stへの参加が叶わなかったチャーリー・カレロをプロデュース&アレンジに招いて、このアルバムを制作した。前回は多忙で依頼を断ったカレロだったが、ゲフィンに連れられてローラのアパートを訪問。灯りを落とした部屋で用意された曲をピアノの弾き語りで聴かされ、感動で涙を流しながら、「このアルバムは私が作らなければ…」と言ったそうだ。
ローラは当時20歳。メンバーにはヒュー・マクラッケン (g), チャック・レイニー (b), ポール・グリフィン(pf)、アーティ・シュロック (ds), ジョージ・ヤング/ジョー・ファレル/ズート・スムズ (sax) らの名前がある。その多くはジャズ系の手練れだけれど、感情の赴くまま、曲のテンポやリズムの表情を自由に変えてくるローラのこと、付いていくのは大変だっただろうな。イヤ、でもまだクリックなんかなかった時代だから、それも大して珍しいコトではなかったのかも…。
しかし万全の体制で完成させたこのアルバムも、チャートでは最高181位とヒットには程遠い結果に終わった。それでもその評判はジワジワと浸透していったようで、アルバムの売上枚数自体は決して悪くなかったとか。そしてフィフス・ディメンションの<Stoned Soul Picnic>(全米3位)と<Sweet Blindness>(全米13位)、スリー・ドッグ・ナイトの<Eli's Comin>(全米10位)とココからのカヴァー・ヒットが続き、ローラに注目が集まっていくのだ。
クアドラ的な面白さは臨場感、これに尽きる。ローラの歌声をフロントに固定、バックのサウンドの多くはリアから飛び出してくる。音数が少ない時代の録音だから、こうした思い切ったミックスができたのだろう。歌と演奏の間に自分の身を置くことで、生演奏の迫力、それもスタジオの真ん中でミュージシャンに囲まれているような生々しさが味わえる。ふわふわした音像は、きっと発熱のせいではないよな… 新しい魅力が加わったクアドラ盤、ローラ・ファンなら要チェックで。
《amazon》
《Tower Records はココから》
ご存知のように、ローラのデビューは67年にヴァーヴから。しかし制作陣とは音楽的齟齬が大きく、前評判とは裏腹にセールスも低迷。そこに現れたデヴィッド・ゲフィンは、ローラにヴァーヴとの契約を破棄させ、半ば強引にコロムビアへ移籍。1stへの参加が叶わなかったチャーリー・カレロをプロデュース&アレンジに招いて、このアルバムを制作した。前回は多忙で依頼を断ったカレロだったが、ゲフィンに連れられてローラのアパートを訪問。灯りを落とした部屋で用意された曲をピアノの弾き語りで聴かされ、感動で涙を流しながら、「このアルバムは私が作らなければ…」と言ったそうだ。
ローラは当時20歳。メンバーにはヒュー・マクラッケン (g), チャック・レイニー (b), ポール・グリフィン(pf)、アーティ・シュロック (ds), ジョージ・ヤング/ジョー・ファレル/ズート・スムズ (sax) らの名前がある。その多くはジャズ系の手練れだけれど、感情の赴くまま、曲のテンポやリズムの表情を自由に変えてくるローラのこと、付いていくのは大変だっただろうな。イヤ、でもまだクリックなんかなかった時代だから、それも大して珍しいコトではなかったのかも…。
しかし万全の体制で完成させたこのアルバムも、チャートでは最高181位とヒットには程遠い結果に終わった。それでもその評判はジワジワと浸透していったようで、アルバムの売上枚数自体は決して悪くなかったとか。そしてフィフス・ディメンションの<Stoned Soul Picnic>(全米3位)と<Sweet Blindness>(全米13位)、スリー・ドッグ・ナイトの<Eli's Comin>(全米10位)とココからのカヴァー・ヒットが続き、ローラに注目が集まっていくのだ。
クアドラ的な面白さは臨場感、これに尽きる。ローラの歌声をフロントに固定、バックのサウンドの多くはリアから飛び出してくる。音数が少ない時代の録音だから、こうした思い切ったミックスができたのだろう。歌と演奏の間に自分の身を置くことで、生演奏の迫力、それもスタジオの真ん中でミュージシャンに囲まれているような生々しさが味わえる。ふわふわした音像は、きっと発熱のせいではないよな… 新しい魅力が加わったクアドラ盤、ローラ・ファンなら要チェックで。
《amazon》
《Tower Records はココから》