pointser sisters_special thing

夫婦交代で寝込んだ年の瀬につき、大掃除案件軒並みストップ。明日必要最低限のコトだけやって、あとはとにかく自分のデスク回りのCDの山を何とかしないと、年明けからの仕事がやりづらくて敵わんな。…といワケで、先日のリチャード・ペリー訃報を受けてのポインター・シスターズ。その時も書いたように、ペリーが自分のレーベル:プラネットを立ち上げて真っ先に迎えたのが、トリオになった彼女たちで。その移籍第1弾『ENERGY』(78年・オリジナル通算5作目)からして、スティーリー・ダンやドゥービー・ブラザーズ、フリートウッド・マック、ロギンズ&メッシーナといったポップ・ロックのカヴァー集で、クロスオーヴァー・ヒットを狙ったのが明白だった。そしてそこからブルース・スプリングスティーン提供の<Fire>が全米2位になる。

続く『PRIORITY』も同路線で、再びスプリングスティーンの曲を取り上げ、ローリング・ストーンズやザ・バンド、ボブ・シーガーらのカヴァーにチャレンジするも、そう上手くはいかず。そこでコンテンポラリー路線のオリジナル楽曲中心のアルバム制作にシフト。それが嵌ったのが、この80年作『SPECIAL THINGS』。まさにリチャード・ペリーのポップ手腕健在なり、である。

収録曲のラインアップは、まずバート・バカラック&キャロル・ベイヤー夫妻(当時)が2曲。そのうちピーター・アレンとの3人で書いた<The Love Too Good To Last>は名曲で、夫妻も思い入れが強かったか、後に音楽を担当した映画『NIGHTSHIFT』に採用している。<Evil>はジェフリー・リーブらピーシズ・チームによる楽曲。意外なところでは、ビル・チャンプリンのサンズ・オブ・チャンプリン時代の楽曲<Here Is Where Your Love Belongs>をカヴァーしている。この曲、実はジェイ・P・モーガンやマリア・マルダーも歌っている、隠れ人気曲。またメンバーのアニタ・ポインター自身もペンを振るっていて、滑走するスターター<Could I Be Dreaming>や<Special Things>が彼女作。どうせ作詞だけだろ?なんてタカを括っていると大間違いで、タイトル曲の方は彼女の単独作だ。

それでもトドメをさすのは、やはり<Fire>以来の全米3位をマークした<He's So Shy(内気なボーイ)>で。書いたのは、言わずと知れたトム・スノウと、バリー・マンの奥方で作詞家シンシア・ワイル。マイケル・マクドナルドのヒット・スタイルに通じるリフのこの曲は、トム・スノウにとっても重要なキャリア・ソングになった。

演奏陣は、ネイザン・ワッツ/ジョン・ピアース (b)、ポール・ジャクソンJr. /デヴィッド・ウィリアムス/マルロ・ヘンダーソン(g)、グレッグ・フィリンゲインズ/ジョン・バーンズ/クラレンス・マクドナルド (key)、ジェイムス・ギャドソン/リッキー・ローソン/オリー・ブラウン(ds)、ポウリーニョ・ダ・コスタ (perc) 等など、L.A.の手練れたち。その多くはスティーヴィー・ワンダーのワンダーラヴにも出入りしているミュージシャンで、なるほどそこにもペリーの狙いが透けて見える。

既にジューン、アニタが鬼籍に入ってしまい、そして今度はリチャード・ペリー。時の流れは、あまりに早い…

《amazon》
スペシャル・シングス(期間生産限定盤)
ポインター・シスターズ
SMJ
2016-08-17

《Tower Records はココから》