tom browne_love approach

普段からあまりTVを見ない自分だが、自分世代の音楽好きにとって、トム・ブラウンといえば黒人トランペット奏者、かのジャズ・ファンク名曲<Funkin' For Jamaica>で知られるトム・ブラウンであって、断じてお笑い芸人のコンビではない。それこそ初めてその存在を知った時は、「なんちゅー名前付けるんぢゃ!」と憤ったもの。直接の由来は、コミックの登場人物らしいが…。

ミュージシャン:トム・ブラウンのデビューは、1979年のこと。ニューヨーク出身で、映画『FAME』のモデルとなったミュージック&アート・ハイスクールに学び、クラシックに興味を持っていたらしい。が、大学へ通うようになるとジャズに目覚め、在学中からプロ活動をスタートしている。ウェルドン・アーヴィンに目を掛けられたトムは、70年代半ばからソニー・フォーチューンやロニー・スミス (organ)、ファットバック・バンド(後のファットバック)などと共演。自分のバンドでクラブに出演し始めると、ジョージ・ベンソンがトムに目をつけ、一時一緒に活動していたアール・クルーをそのクラブへ連れて行く。するとクルーが自身のプロデューサーであるデイヴ・グルーシン&ラリー・ローゼンにトムのことを話し、2人がクラブを覗きに行く。そんな風にして、トムの噂は瞬く間にニューヨークのジャズ好きの間に広まったそうだ。

79年、グルーシン&ローゼンのプロデュースにより、1stアルバム『BROWNE SUGAR』をリリース。それに次ぐ第2作が、上掲『LOVE APPROACH』である。そしてそこからいの一番にヒットしたのが、<Funkin' For Jamaica>なのだ。ジャケットには、トランペットを持って小型飛行機の操縦席に座るトムが写ってるいるが、これはダテではなく、トムはデビューと前後して実際にパイロット免許を取得。ミュージシャン業が落ち着いている時は、パイロットとして働く二足のワラジを履いていた。

参加ミュージシャンも豪華で、デイヴ・グルーシン (kyd) 以下、マーカス・ミラー (b), バディ・ウィリアムス (ds), バーナード・ライト (kyd), オマー・ハキム (ds) といった、当時のニューヨークの中堅〜若手がこぞって参加。マーカスやオマー、バーナードは実は揃ってトムのバンド出身で、いわばトムの弟分的存在だった。バーナードなんて、まだ若干15歳だったというから驚く。<Funkin' For Jamaica>を歌うのはトニ・スミスという女性シンガーで、小型チャカ・カーンみたいなパンチの効いた歌いっぷりが魅力だった。

その後トムは80年代後半まで、コンスタントにアルバム・リリース。ニューヨーク・スタイルのジャズ・ファンクを主導しつつ、ヒップホップ方面にも積極的に接近して行った。80年代のアーバン・ファンク好きなら、トム・ブラウンはこの人でなくてはなりませんって



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