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う〜ん、訃報が続きます。今度は英国ハード・ロック〜ヘヴィ・メタル系人気ギタリストのジョン・サイクス。しばらく肺ガンと闘っていたそうで、20日に訃報が公表された。享年65。1959年7月生まれというから、自分とひとつしか変わらないぢゃん…


叔父さんの影響でギターを弾き始めた彼は、その叔父から「凄いギタリストがTVに出るから見ておけ」と言われ、強い衝撃を受けて本格的にギターにのめり込むことになった。それがゲイリー・ムーア。その後サイクスは自分のトリオを率いてサクソンのツアーで前座を務め、その時にタイガーズ・オブ・パンタンにスカウトされてプロ・デビュー。その後、解散を控えてラスト・アルバム制作とツアーの準備に入っていたシン・リジーに加入。最後のスタジオ・アルバム『THUNDER AND LIGHTNING』(83年)とヘアウェル・ツアーの模様をアルバム化した『LIFE LIVE』に参加し、その後すぐにホワイトスネイクに加入している。

当時のホワイトスネイクは、デヴィッド・カヴァーデイルとサイクス、コージー・パウエル (ds), ジョン・ロード(kyd), ニール・マーレイ (b), メル・ギャレイ(g) という最強布陣。しかし当時の彼らは周囲に様々なトラブルを抱えており、レコーディング途中でプロデューサーが変わったり、『SLIDE IT ON』(84年)のUK盤とUS盤を作り替えたり、メンバー交替も常態化していた。実はサイクスもUK盤が先行発売された後に加入したクチ。新たにUSの発売元になったゲフィンは、キース・オルセンによるリミックスを要請し、カヴァーデイルは加入したばかりのサイクスとニール・マレイ(実は出戻り)に、UKエディションの旧メンバーのプレイを差し替えさせた。

だがコトはそこで収まらず。2人の加入と入れ替わるようにコージー・パウエルとジョン・ロードが脱退。結局、デヴィッドとサイクス、ニール・マレイ、エインズレー・ダンバーという布陣で、人気作『WHITESNAKE (SERPENS ARBUS)』(87年) を作ることになる。そこでサイクスは収録された全9曲中、リメイク2曲を除く7曲すべてをデヴィッドと共作。ギター・プレイの凄まじさは当然のこと、<Is This Love>のようなスロウ・チューンで、その作曲の才能を爆発させた。が、デヴィッドとの確執から、アルバム完成後に間もなく解雇。自分のバンドを持つしかないと悟ったサイクスは、カーマイン・アピスとトニー・フランクリンを誘って、ブルー・マーダーの結成に向かうのである。

でも筆者にとってのサイクスはココまで。そもそもジューダス・プリーストの人気上昇と反比例するように、ハード・ロックから徐々に離れてしまった自分だから、タイガーズ・オブ・パンタンもチョッと聴きかじっただけで興味は持たなかった。それこそ80年代に入ってからは、中高生の頃に思い入れのあったアーティストをチェックする程度になっていて…。その流れでシン・リジーやホワイトスネイクに参加したサイクスを知り、「スゴいギタリストが出てきたモンだなぁ〜」と、ややジジ臭く遠いところから見ていただけだ。でもゲイリー・ムーアに憧れて、実際に彼がいたシン・リジーでプレイできたのだから、サイクスはそれなりに幸せな人生だったと思うな。逝ってしまうにはちょっと若過ぎだけど…。

そういう冷めたリスナーではあるのだが、やはり同世代ミュージシャンの訃報には心が疼いてしまうのよ。
Rest in Peace...