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大変な被害が広がっているL.A.の山火事。メル・ギブソンやパリス・ヒルトンなど、ハリウッド著名人の自宅や有名な建物が多数焼失。当ブログで馴染みのあるところでは、世界的エンジニアのボブ・クリアマウンテンのスタジオ、ジェフ・ローバーやマイケル・ランドウ(そのためスティーヴ・ガッド・バンドとの来日公演には代役が立てられた)の自宅兼スタジオが被害に遭っている。そんな大規模火災の被害者を支援するチャリティ・コンサート:FireAidが、現地時間1月30日(日本時間31日)、カリフォルニア州イングルウッドにあるインテュイット・ドームとキア・フォーラムの2ヶ所で同時開催。その模様は各プラットフォームでオンタイム配信され、日本からも観ることができた。長時間に及ぶライヴなので、自分は日にちが変わってから、youtubeで拾い見しているのだけど…。

最終的な出演者は上掲の27組。スティーヴィー・ワンダーやロッド・スチュワート、アース・ウインド&ファイアーのような超大物から、レディ・ガガやビリー・アイリッシュ、ケイティ・ペリー、レッド・ホット・チリ・ペッパーズら現行トップ・アーティスト、意外なところで昨年 活動再開したばかりのノー・ダウトまで、よくもまぁ、短期間にこれだけ集めたなぁ、と感服。ラッパーとかカントリー系とか、よく知らんのもいるが、そこはまぁ、チャリティー目的なので。でも契約とかしきたりとか、やたらと杓子定規で制約の多い日本のエンタメ界と違って、海外はアーティスト本位。新人はともかく、あくまで本人の意思が最大限尊重され、ビジネス面の整理は後から追随する。でなきゃこんなビッグ・イベントを短期間で準備し、実現できるワケがない。

…とは言いつつ、どうしても自分の興味はベテラン勢の方へ。豪華な椅子に座って呟くように歌うジョニ・ミッチェルは、それだけで充分すぎる存在。スティーヴン・スティルスのステージにグラハム・ナッシュが登場して一緒に歌うと、あぁ、クロスビーは旅立っちゃたんだな…、と往年の姿を思い出す。ロッドは<Forever Young><Maggie May><People Get Ready>を披露。声はあまり出てなかったが、ツアーの合間だったか、バンドはバッチリで。スティーヴィー・ニックスも同様で、バンマスのワディ・ワクテルにすっかり剥げ頭のカルロス・リオス、リッキー・ピーターソンらを従え、<Stand Back><Landslide><Edge Of Seventeen>を妖艶に。来日を控えたアース・ウインド&ファイアーは、<That's The Way Of The World><Shining Star><September>のメドレー。前の来日で観た時より少し全盛期のアレンジに戻した感があったが、今そのサウンドを支えているのは、ジュニア世代のサポート・メンバーたちだ。

圧巻だったのはアコースティック・ギター1本抱えて登場したジョン・メイヤーで、共演予定だったデイヴ・マシューズの出演キャンセル(家族が急病とか)も何のその、卓越したギター・スキルと伸びやかな歌声で、スタジアムを静まり返らせた。オリヴィア・ロドリゴに呼び出されたスティングは、<Message In a Bottle>や<Fragile>をプレイ。最初は荒れ気味だった喉も、次第に調子を取り戻した。近年は精彩を欠くスティーヴィー・ワンダーだって、こういう場は手慣れたもの。<Love's in Need of Love Today>をやや静かに歌い始め、徐々に大きく盛り上げていく。続く<Superstition>では、「Come On Sting!」のコールでスティングが再登場。<Higher Ground>に突入すると、レッチリのフリーも乱入気味に入ってきて、ド派手なスラップ・ベースをカマした。やっぱりこの手のイベントは、こういう奇跡的な顔合わせがなくっちゃ

メディア的には、おそらくニルヴァーナの元メンバーがジョーン・ジェットやデイヴ・グロールの娘ヴァイオレットたちをヴォーカルに迎え、ニルヴァーナの楽曲を演ったあたりがハイライトだと書き立てるだろう。ビリー・アイリッシュ兄妹でのアコースティック・セットも沁みた。でもオヤジ世代の洋楽ファンは、歌や演奏自体は若干ヨレていながらも、そこにいるだけで圧倒的プレゼンスを見せつける大物に目が行ってしまうのだ。

こうした大規模チャリティー・イベントによる募金活動には、いつだって賛否の声が集まる。そう、ライヴ・エイドの時もそうだった。でもコンサート中継の随所に挟まれる悲惨な状況を見てしまうと、理屈よりも行動だと思わざるを得ない。ホント、災害というのは、明日は我が身なんだよな。