jim photglo_2

書きモノの流れで、久々にジム・フォトグロ2nd。ファースト・ネームなしのフォトグロ名義のデビュー・アルバムは、メロウな感覚が強くシティ・ソウルっぽいAORというイメージがあるが、この2作目はもっと爽やか。クオリティ的には甲乙付け難いものの、オンタイムではこの2枚目の方が夏向きで好きだったかな。でも90年代終盤からのレア・グルーヴ〜フリーソウル隆盛を経て、今は1枚目の方に愛着が湧く。ただ昨今のヨット・ロックの視点に立つと、やっぱり2枚目かしらね?

アルバム・タイトル曲<Fool In Love With You>は、ドゥービー・ブラザーズ<What A Fool Believes>に刺激を受けて書いたらしいが、いわゆるマイケル・マクドナルド・マナーの鍵盤リフの使用はなく、ギターの軽やかなカッティングが曲をリードしていく。でもBメロからサビへの展開がドゥービーっぽくて、なるほどね、と。そう思っていると、アルバム終盤には実際にマイケル・マクドナルドが無名時代にジャック・ジョーンズに提供した<Try It Again>のしっとりカヴァーがあったりして。

やはりアコギのリズムが印象的な<More To Love>、1st寄りのゆったりスロウ<Ruled By My Heart>、キャッチーな<Run To Me>ではビル・チャンプリンがオルガンを弾く。甘美なバラード< I Can't Let Go Of You>は、リチャード・カーとジョン・ベティスの提供曲。<Try It Again>から繋がる<There's Always Another Chance Left For Love>は、ラストを締める好ミディアム。

参加メンバーはカルロス・ヴェガ (ds)、デニス・ベルフィールド (b), フレッド・タケット/ジョージ・マリネリJr (g), ビル・クオモ (kyd) といった実務派ミュージシャンたちで、派手さを抑えた手堅いバッキングで優男フォトグロの甘い歌声を支える。

ところが83年発表の3rdアルバム『THIN MAN』が、あらぬ方向に。契約を失った彼はナッシュヴィルへ赴き、ケニー・ロジャースやエヴァリー・ブラザーズ、ニッティ・グリッティ・ダート・バンド、ジュース・ニュートン、アラバマ、ダスティ・スプリングフィールドらに楽曲提供。その中からいくつかカントリー・ヒットが出て、足場を固めていった。ダン・シールズやロボのアルバムではバック・ヴォーカルとして歌っている。そして90年代に入ってからは、ダン・フォーゲルバーグのツアー・バンドでコーラスを取れるベーシストとして活躍。91年発表のライヴ・アルバムにも参加していた。そういう活動が実ってか、93年にソロ活動を再開。日本制作でニュー・アルバムとセルフ・リメイク・アルバムを、ほぼ同時発売。そのリメイク盤の収録曲の半分は、この2ndからのチョイスだった。

00年代以降もボチボチとポップ・カントリー系のソロ活動を続けながら、ラリー・リーやプロデューサーのジョシュ・レオらとビートルズのオマージュ・バンド:ヴァイナル・キングスを結成。ライヴ中心に活動を続けながら、アルバムを2枚リリースした。これは21年になって日本でもリリース。それを機に再び活動が活発化したか、昨年『BIG NEW LIFE』をデジタル・リリース。これが前の2作より遊び心に溢れていて、はるかに面白いデキだったり…。

ちなみにフォトグロの2枚はまだCDがゲットできるので、どうぞ在庫があるうちに。

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Fool in Love with You
ジム・フォトグロ
Celeste
2001-06-03

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Photoglo
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ザ・ベスト・オブ・ヴィニール・キングス
ヴィニール・キングス
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2021-12-22

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