colored music

YMOのサポート・メンバーを務めたこともある橋本一子と藤本敦夫のユニット:カラード・ミュージックの81年作、ワン&オンリーのアルバムが、先月アナログ・リイシュー。チョッと気分転換に聴いてみた。CD化がつい先日のように思っていたら、もう7年も前になるなのね。マトモに聴くのは、もしかしてそれ以来になっちゃうかも。

こうしたテクノ〜ニュー・ウェイヴとファンクを合体させたサウンドというのは、自分の場合、80年前後にトーキング・ヘッズやザ・ポップ・グループあたりに触れたのが最初だったと思う。その前哨戦としてロキシー・ミュージック『MANIFESTO』も大好きだったな。今でこそ、テクノとダンス・ミュージックを融合させた先駆者としてYMOやクラフトワークの名が出るけれど、そのキッカケとなったアフリカ・バンバータのクラフトワーク使用が82年のこと。それより早く、ココ日本で、こんなエクスペリメンタルな作品が生まれていたコトに改めて驚く。

もっとも当時の評価は極めて限られていて…。YMOがデビュー当初にジャズ・フュージョンの傍流と言われたのと同様、彼らもそうした流れで扱われた。渡辺香津美を成功させた日本コロムビアのBetter Daysから登場したというのも、それを後押し。でもジャズ・フュージョンといっても、その最先端にいた新しいコトにトライして人たちは、決してフォーマットやロジックには捉われず、ジャズの自由なスピリットだけを継承。それを許容するキャパシティを持っていたからこそ、近年再評価されるユニークな作品/ミュージシャンたちがBetter Daysに集まった。清水靖晃、マライア、ペッカー、坂田明、ムクワジュ・アンサンブルなどが、その一端。そしてそれを先導したのが、坂本龍一『千のナイフ』(78年)だったと思う。でもかくいう自分も、当時はレコードを買うには至らず…。足繁く通っていた貸レコード屋でLPを借りてカセットに録り、時折思い出したように聴いた覚えが。正直よく分かっちゃいなかったけど、いくつか気に入ってるトラックもあったのだ。

例えば、<Colored Music>は80年代のニューヨーク産ファンクに結びつくし、リバーブの壁にアヴァンギャルドなピアノが浮遊する<Anticipation>は、ロキシーやデヴィッド・ボウイに直結。<Too Much Money>なんて、Tレックスがニュー・ウェイヴを演ってるようロックン・ロール・チューンでカッコ良い。<Love Hallucination>も初期ジャパンみたいだし。TR-808とロック・ギターによる無機質ビートにご詠歌みたいな歌が絡む<永世楽 Ei Sei Raku>は、後半になって後期キング・クリムゾン的展開を挟み、村上ポンタ秀一の自由なドラムが爆裂。

テクノ色が濃かったり、コラージュのようなサウンドメイクは自分の嗜好とは相容れない部分だけれど、プリミティヴなグルーヴにミニマムな上モノが乗るストラクチャーは面白く、昨今のバレリアック感覚なダンス・ミュージックとは次元の違う面白さを発見したりしているのだな…。






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Tower Records でLP購入