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72〜73年初頭のキング・クリムゾンに参加した前衛打楽器奏者/ドラマーのジェイミー・ミューアが、17日、英国コーンウォールで死去した。享年82。ワン・ツアーと73年発表のアルバム『LARKS' TONGUES IN ASPIC(太陽と戦慄)』のみの参加だったが、もう一人のドラマー:ビル・ブルフォードに革新的意識改革を促すなど、脱退後のクリムゾンにも大きな影響力を残した。後年ロバート・フリップがダブル・トリオや近年のようなドラム3人体制を敷いたのも、ミューアの影があるのかもしれない。
ジェイミー・ミューアは1942年、スコットランドのエディンバラ生まれ。エディンバラ芸術大学在籍中はピアノを学び、ジャズに興味を持ち始めてトロンボーンに転向。すぐにドラムやパーカッションを演奏し始めた。アルバート・アイラーやファラオ・サンダースを通じてフリー・ジャズに傾倒し、打楽器の即興演奏を開始。60年代後半は、ギタリストのデレク・ベイリーと共演したり、ピート・ブラウン&ピブロクトやピート・ブラウン・バタード・オーナメンツにも参加。他にも多くバンドやプロジェクトに名を連ねている。69年には、ローリング・ストーンズがロンドンのハイド・パークで開催したフリー・コンサートに出演したデビュー直後のキング・クリムゾンを目撃した。
72年、後にギルガメッシュやナショナル・ヘルスで名を上げるアラン・ゴーウェンと、新グループ結成を画策。しかしフリップから新生クリムゾンへの参加を打診され、これを受諾。結成ツアーと新生クリムゾン第1弾のスタジオ・レコーディングに参加するも、インドの宗教家パラマハンサ・ヨガナンダの『あるヨギの自叙伝』を読んで感銘を受け、バンドを脱退して仏門へ。この本はイエスのジョン・アンダーソンにも影響を与え、『海洋地形学の物語(Tales from Topographic Oceans)』の元ネタになったが、ジョンにこの本を読むよう勧めたのも、ミューアだったとされている。
フリップは以前からキース・ティぺットを通じてフリー・ジャズに触れていたが、ミューアと知り合ってからは “静と動” を対比させるような前衛的で高度な即興演奏を指向。『太陽と戦慄』はデビュー作にも衰えぬ、プログッシヴ・ロックの金字塔を打ち建てた。80年後半に画家として俗世にカムバック。
「彼はとても素敵な芸術家肌の人で、子供のような優しさを持っていました。おそらく、その裏にはダークな側面もあったのでしょう。それは、雨の木曜の夜にランカシャー州プレストンで、彼がオオカミの毛皮のジャケットを着て、口から血(カプセルから)を流しながら、ステージ上のドラムセットにチェーンを投げつけるためにPAのスピーカーに登った姿から垣間見ることができました。ロバート・フリップによると、彼はもう少しでステージから落ちるところだったそうです。短期間であっても、このような静かな力を持った男と知り合い、その恩恵を受けたことを光栄に思っています。彼は真に美しい人間だったと言える人物の一人だと私には思えました。彼がいなくなるのはとても寂しいです。さようならジェイミー」(ビル・ブルフォード)
Rest in Peace...


72年、後にギルガメッシュやナショナル・ヘルスで名を上げるアラン・ゴーウェンと、新グループ結成を画策。しかしフリップから新生クリムゾンへの参加を打診され、これを受諾。結成ツアーと新生クリムゾン第1弾のスタジオ・レコーディングに参加するも、インドの宗教家パラマハンサ・ヨガナンダの『あるヨギの自叙伝』を読んで感銘を受け、バンドを脱退して仏門へ。この本はイエスのジョン・アンダーソンにも影響を与え、『海洋地形学の物語(Tales from Topographic Oceans)』の元ネタになったが、ジョンにこの本を読むよう勧めたのも、ミューアだったとされている。
フリップは以前からキース・ティぺットを通じてフリー・ジャズに触れていたが、ミューアと知り合ってからは “静と動” を対比させるような前衛的で高度な即興演奏を指向。『太陽と戦慄』はデビュー作にも衰えぬ、プログッシヴ・ロックの金字塔を打ち建てた。80年後半に画家として俗世にカムバック。
「彼はとても素敵な芸術家肌の人で、子供のような優しさを持っていました。おそらく、その裏にはダークな側面もあったのでしょう。それは、雨の木曜の夜にランカシャー州プレストンで、彼がオオカミの毛皮のジャケットを着て、口から血(カプセルから)を流しながら、ステージ上のドラムセットにチェーンを投げつけるためにPAのスピーカーに登った姿から垣間見ることができました。ロバート・フリップによると、彼はもう少しでステージから落ちるところだったそうです。短期間であっても、このような静かな力を持った男と知り合い、その恩恵を受けたことを光栄に思っています。彼は真に美しい人間だったと言える人物の一人だと私には思えました。彼がいなくなるのはとても寂しいです。さようならジェイミー」(ビル・ブルフォード)
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