ringo starr

レコードコレクターズ誌最新号のリチャード・ペリー追悼特集に寄稿してから、…というより、昨年押し迫っての訃報を耳にしてから、関連作の中でも何故かちょくちょく手が伸びてしまうのが、このリンゴ・スターの73年ソロ作『RINGO』。通算3作目のアルバムだけど、最初の2枚のカントリー・アルバムはリンゴ自身が別モノ扱いしているので、立ち位置としては1stソロというべきかもしれない。しかも当時は泥仕合を繰り広げていた他のビートルたち、ジョン、ポール、ジョージに声を掛け、曲は違えど全員をアルバムに参加させちゃうあたり、誰からも愛されるマスコット的存在を目指したリンゴの持ち味全開、といったアルバムである。

当時自分は中学生だったから、少ないお小遣いからまずはシングル<Photograph(想い出のフォトグラフ)>を買って、更に<You're Sixteen>を買って、<Of My My>を買って、それからアルバムを買った覚えがある。友達が先にアルバムを買ってて、クラウス・フォアマン(当時はヴーアマンと呼ばれてた)が描いたリトグラフが欲しくて堪らなくなったのだ。

今回、このアルバムをプロデュースしたリチャード・ペリーの周辺を調べていて知ったのだけれど、このアルバムは元々、リチャード・ペリーがリンゴにレコーディングを持ち掛けたのがキッカケだったとか。ペリーは以前、リンゴの初ソロ『SENTIMENTAL JOURNEY』で1曲アレンジを手掛けていて。その後ニルソンが『SON OF SCHMILSSON』のレコーディングでアビイ・ロード・スタジオに来た際、様子を覗きに来たリンゴとペリーが再会。そこでペリーがリンゴに、「映画と連動したアルバムを作ってみたら?」と提案したという。映画の方はいろいろ制約が多くて話が進まなかったらしいが、その名残りが楽曲ごとの豪華リトグラフになったそうだ。

ジョン提供の<I'm The Greatest>、ポール夫妻が持ってきた<Six O'Clock>、ジョージはリンゴと共作した<Photograph>など3曲。当然どれも注目されたけど、今も強く記憶に残るのは<I'm The Greatest>と<Photograph>ぐらいか。ポールのも悪かないけど、彼の楽曲にしては平均的じゃないか。それならむしろ、ニルソンのハーモニーとポールのカズー風マウス・サックスが印象的なカヴァー<You're Sixteen>、リンゴとヴィニ・ポンシアが共作した<Of My My>の方が好きだったな。<I'm The Greatest>は後々ジョン自身の仮歌ヴァージョンが発掘され、今ではちょっと霞んでしまった感あり、だけど。

それにしても、ガース・ハドンソン、ロビー・ロバートソン、レヴォン・ヘルム、リック・ダンコらザ・バンド勢、マーク・ボラン、スティーヴ・クロッパーといったゲスト陣に、ビリー・プレストン、ジム・ケルトナー、ニッキー・ホプキンス、クラウス・フォアマン、トム・スコット、ボビー・キーズといった仲間たち、そしてマーサ・リーヴス、メリー・クレイトンといったコーラス陣など、ペリーの下に豪華な面々が集まっている。ランディ・ニューマンが<Have You Seen My Baby>を提供したのも、ペリーとの関係からかな? そうそう、ジャック・ニッチェも弦アレンジで参加していた。

振り返れば、ロックを聴き始めて間もなかった自分にペリーの名がインプットされたのは、この『RINGO』がキッカケ。その訃報を聞いたから、とはいえ、今このアルバムがシックリくるのは、何処かで自分が癒しを求めているから、なのかも?

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リンゴ
リンゴ・スター
ユニバーサル ミュージック
2016-08-31

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