marva king

昨日のポストに引き続いてリチャード・ペリー・プロデュース・ワークスであり、尚且つ、現時点でも廉価盤で購入可能な、あるうちに買っときや!の一枚。ペリーが興したプラネット・レーベル発のマーヴァ・キング、81年1stソロ・アルバム。以前、筆者選曲監修『TOUCH OF SOUL』(03年) というコンピレーションに<Who's Right Who's Wrong>をセレクトしたコトがあったが、アルバムとしては、同じく17年の筆者監修『AOR CITY 1000』シリーズに組み込んで再発したのが、確か世界初CD化ではなかったかな。あれからもう8年も経っているので、在庫が掃けてしまうのは時間の問題だろう。

ミシガン州フリント生まれで子供の頃からゴスペルを歌っていた彼女は、ハイスクールを卒業すると、自分の実力を試すべくL.A.へ。すると間もなくスティーヴィー・ワンダーのオーディションを受けることになり、幸運にもワンダーラブの一員として活動することとなった。マーヴァ曰く、「私がこの業界、そしてレコーディング・スタジオを知るキッカケを与えてくれたのはスティーヴィー」だそうだ。

80年にギャップ・バンドのレコーディングに参加。同じ頃、後の旦那ジョン・バーンズ(kyd)と親しくなり、彼主導のプロジェクト:マダガスカルのシンガーを務める。ココにはジョンのほか、エド・グリーン (ds) やジェラルド・アルブライト (sax) なども参加。コーラス陣にはビリー・グリフィン(元ミラクルズ)の名もあった。おそらくこうした人脈からリチャード・ペリーに繋がり、プラネット入りが実現したのだろう。その後もハーブ・アルパート、ジャネット・ジャクソン、ボビー・ウーマック、ライオネル・リッチー、ステファニー・ミルズ、アニタ・ベイカー、フィル・コリンズ、ピーボ・ブライソン、ウィスパーズ、テディ・ペンラーグラス、ジェームス・イングラム、ダイアナ・ロスなど、錚々たる顔ぶれをサポート。その傍ら、男女デュオ・ユニットのアンサード・クエスチョンで活動し、97年からの約4年間、プリンスのニュー・パワー・ジェネレイションの一員を務めた。それで知名度を上げたのだろう、ゼロ年代になって久しぶりにソロ活動に着手、2枚のソロ・アルバムを作っている。

でもこの1stソロは、当時のブラック・コンテンポラリー系実力派シンガーの作品の中でも、かなりAOR寄りの仕上がりだ。それはリチャード・ペリーが人種やフィールドを超越したポップ・アルバムの制作を得意としたこと、プラネットの看板アーティストであるポインター・シスターズの当時の状況を見ればすぐ分かる。レーベル・メイトにもクリス・トンプソンやニッキー・ホプキンスが在籍したナイト、マーク・ゴールデンバーグ率いるクリトーンズ、元ライチャス・ブラザーズのビル・メドレー、クインシー・ジョーンズの懐刀でエリック・クラプトンのバンド、そして最近はまたTOTOのツアーに参加しているグレッグ・フィリンゲインズなどがいた。

プロデュースはもちろんペリーで、アレンジなどの現場は参謀役のトレヴァー・ローレンスが担当。夫バーンズの他に、ドラムがジェフ・ポーカロ/ジョン・ロビンゾン/オリー・E・ブラウン、ギターはポール・ジャクソンJr./デヴィッド・ウィリアムス(g)、ベースはエイブラハム・ラボリエル/フレディ・ワシントン/スコット・エドワーズ、ワンダーラヴからは重鎮ネイザン・ワッツ(b) にお抱えシンセ・プログラマーだったビル・ウォルファー、そしてレーベル・メイトのフィリンゲインズにランディ・ウォルドマン(kyd) 、ドン・マイリック (sax) などが参加。アンドリュー・ゴールドがギターを弾き、ドラムを叩く曲まであったりして…。

一番の注目曲は、ケニー・ロギンズやペイジスでお馴染みの前述<Who's Right ,Who's Wrong>、カントリー・シンガー:エディ・ラビットが79年にヒットさせた<Suspicions>(全米13位)のカヴァーあたりで、本作でも一番AORテイストが濃厚。人気ライター:トム・スノウが提供した<Here We Go Again>、現ゲヴ・モー作<Think It Over>、スモーキー・ロビンソン作でメリー・ウェルズのヒット<Two Lovers>あたりもチェックしたい。

商業的成功は叶わなかったが、それから40年以上、現在の価値がそこにないことは火を見るより明らかだ。大上段から “名盤” と大見得切るような作品ではないけれど、ブラック系AOR作品としてチョッと忘れ難い好盤。どうせなら廉価で手に入るうちに。

《amazon》
フィールズ・ライト(期間生産限定盤)
マーヴァ・キング
SMJ
2017-08-23

《Tower Records はココから》