soultrend orch


ジャンルを問わず様々なスタイルでモダン・ミュージックを切り取り、
抜群のセンスで同時発信しているイタリアのプロデューサー/
ソングライター/キーボード奏者ネリオ・“パピック”・ポッジの
最新ワークスは、メロウ・グルーヴ志向のジャズ・ファンク・プロジェクト、ザ・ソウルトレンド・オーケストラとのコラボレイト第3作。
レイト70’s感覚のクロスオーヴァー・サウンドが、
いま何よりフレッシュに響く。


ネリオ・“パピック”・ポッジは、09年のデビュー以来、ローマを拠点にアルバムごとにスタイルやテーマを変えながら、次々と作品をリリースし続けてきた。2024年に“PAPIK presents”とクレジットされて世に出たプロジェクト数は、何と10組以上。多くはシンガーを立てたデジタル・シングルだが、フル・アルバムに発展した、もしくは近々そうなる予定のプロジェクトもいくつか。これはどう考えても、ネリオひとりで消化できる仕事量ではない。そう考えていたら案の定。現在のパピックは、ネリオとピーター・デ・ジローラモのプロダクションを指すらしい。体制が変わったのは、コロナ・パンデミックの頃から。今の2人はすべてのプロジェクトを一緒にプロデュースしていて、50/50の協力関係にあるそうだ。

ピーター・デ・ジローラモは才能あるマルチ・インストゥルメンタリストで、ネリオとはそれなりのジェネレーション・ギャップがある。にもかかわらず、すぐに互いを理解し合えるミラクルな間柄だそうだ。そしてソウルトレンド・オーケストラは、そのジローラモの活動母体に位置するプロジェクトらしい。彼らは元々2011年に “ソウル・トレンド”名義でアルバムを出し、英国で結構な人気を得ていたそう。現在のパピック周辺の常連シンガーたちは、既にこの時から共に活動していたようだ。そんな時にネリオとジローラモが出会い、彼をソウル・トレンドに引き入れてプロジェクトを強化。ソウルトレンド・オーケストラへとグレード・アップさせたという。この新作『NOW IMAGINE』は、ソウルトレンド・オーケストラになってからの3作目。パピックの関連プロジェクトとしては、ソウルやディスコ・ファンク、ジャズ・ファンクに特化しているのが特徴だ。

彼らがインフルエンスを受けているのは、ロイ・エアーズやドナルド・バード、80年代初頭のブリティッシュ・ジャズ・ファンク、インコグニートやブラン・ニュー・ヘヴィーズらアシッド・ジャズ勢。そしてもちろんアース・ウインド&ファイアー、ジョージ・ベンソン、デレゲイション、ウィスパーズ、クール&ザ・ギャング、メイズ等など。これまでにもギャップ・バンド、オリバー・チーザム、ファット・ラリーズ・バンドのカヴァーに取り組んできた。そして新作『NOW IMAGINE』では、ナイル・ロジャース&バーナード・エドワーズが手掛けてシスター・スレッジが歌った<Lost In Music>、クール&ザ・ギャング<Summer Madness>をチョイスしている。しかもアレンジ、楽器のトーン、フレイヴァーまでオリジナルのテイストを取り入れ、敬愛の籠ったマジカルなトラックに仕上げてきた。

とりわけ、これまで以上に多彩なヴォーカリストをキャスティングしているのが注目点で。常連シンガーたちに加え、19年に当Light Mellow Searchesから日本デビューした実力派フィリップ・ペーバリーニ、マリオ・ビオンディの弟スティーヴィー・ビオンディ、現在レコーディング中というラウラ・ランジーロとエリカ・シャーリンのスウィート・キャンディーズらが新たに参加している。これまでで一番デキがイイのは間違いない。

ちなみに、ソウルトレンド・オーケストラより先に発売される予定だったAOR志向のプロジェクト;シーブリーズの新作は、5月ごろまで延期になるとか。実のところ、この両方のプロジェクトのラインアップはかなり重なっていて、後から作り始めたのに完成が見えやすかったソウルトレンド・オーケストラを優先して仕上げた、というコトらしい。こちらも楽しみだけど、ますはこのソウルトレンド・オーケストラのニュー・アルバム『NOW IMAGINE』をご拝聴されたし。








《amazon》
ナウ・イマジン[監修・解説:金澤寿和(Light Mellow)]
パピック&ザ・ソウルトレンド・オーケストラ
Pヴァイン・レコード
2025-03-05

《Tower Records はココから》