

今日は和モノで、80年代前半に3枚のアルバムをリリースした嶋田衛と嶋田繁の双子兄弟ユニット:NICO。ちょうどリリースされたばかりの『ゴールデン☆ベスト nico』を紹介したい。自分的には、少し前にGuitar Magazine Webに連載していた【シティ・ポップ・ギター偉人伝】で、『椎名和夫の名演が光る名盤10選』として3枚目のアルバム『SHADOW』(未CD化)をセレクト、レビューを書いていた(2023年12月/該当記事はコチラから)。
今回のリリースは『ゴールデン☆ベスト』の体裁を取っているものの、それは大人の事情というもので…。実際はその3枚目のアルバムで、山下達郎絡みでお馴染みのMOON Records へ移籍して出した『SHADOW』に、アルバム未収シングル1曲を追加した『SHADOW +1』的な内容になっている。
元々この編集盤は、今は無きNews Records(松山千春が在籍)からの初期音源もライセンスして収録する目論見だったそうだが、権利上の諸問題でそれが叶わず、こうした形になってしまったらしい。MOON時代には2枚のシングルがあるが、1枚はアルバムからのカットなので、結果的に追加は1曲。それをCDの最後に入れるのではなく、シングル曲を冒頭に立て続けに収めたところに、編集盤だという主張が覗く。ま、それ以外はオリジナル・アルバムの曲順に準じているけど。
82年のデビュー当初は、2枚とも爽快なAOR路線を歩んでいたNICO。だがMOON移籍後は時代の変化に反応し、ニューウェイヴ〜エレ・ポップ風の音へとシフト。兄弟が書く楽曲を、椎名和夫がアレンジ&サウンド・プロデュースしている。ただし、アルバム未収だった<突然の誘惑>のみ、作詞に秋元康、アレンジは大村憲司が手掛けた。
椎名和夫プロデュースということで、演奏陣は当然ながら、青山純・伊藤広規・難波弘之・野力奏一・土岐英史ら、当時の達郎バンドの面々が揃い踏み。更に富倉安生 (b) や中西康晴 (pf) 、ジェイク・H・コンセプション (sax)、浜口茂外也/ペッカー (perc) 、数原晋 (tr)、比山貴咏史/新倉芳美(cho) といった錚々たるセッションメンが参加している。<逃げたりしないで>のエキセントリックなギター・ソロは、やっぱりこの方、北島健二。ただしベスト盤なので、ミュージシャン・クレジットは帯ウラに添え書きしてあるだけだけど…
でも嶋田兄弟が書く楽曲は、デビュー当時から大きく変わるコトなく、ココでもなかなかメロディアス。コンプレッサー掛けまくり、リヴァーヴ盛りまくりの80'sサウンドに捉われず、よく楽曲に耳を傾けるとその本質が見えてくる。バレアリック方面で注目されているらしい<肖像画のモデル>なんて、イーグルス<I Can Tell You Why>をフィル・コリンズがプロデュースしたみたいだし、ピアノ・バラード<黒い瞳のメロディ>なんて、ちょっとした隠れ名曲で。アコースティックな味わいの<Wasted Summer>も美味しくて、全体的にミディアム〜スロウのデキが良い。早い話、バキバキの80' sスタイルで売り出すコンビじゃないんだよなぁ〜。
実のところ、兄弟もその辺に悩んでいたようで、このアルバムを以って一度シーンから撤退。92年にGARDENとして再デビューし、レコード会社を渡り歩きながら、現在もゆる〜く活動を継続している。でもオトナの事情はあるにせよ、こういうニッチなアーティストにもシッカリ光を当ててくれるのはありがたいこと。他のレーベルも見習って欲しいと思わずにはいられません
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《Tower Records はコチラから》
元々この編集盤は、今は無きNews Records(松山千春が在籍)からの初期音源もライセンスして収録する目論見だったそうだが、権利上の諸問題でそれが叶わず、こうした形になってしまったらしい。MOON時代には2枚のシングルがあるが、1枚はアルバムからのカットなので、結果的に追加は1曲。それをCDの最後に入れるのではなく、シングル曲を冒頭に立て続けに収めたところに、編集盤だという主張が覗く。ま、それ以外はオリジナル・アルバムの曲順に準じているけど。
82年のデビュー当初は、2枚とも爽快なAOR路線を歩んでいたNICO。だがMOON移籍後は時代の変化に反応し、ニューウェイヴ〜エレ・ポップ風の音へとシフト。兄弟が書く楽曲を、椎名和夫がアレンジ&サウンド・プロデュースしている。ただし、アルバム未収だった<突然の誘惑>のみ、作詞に秋元康、アレンジは大村憲司が手掛けた。
椎名和夫プロデュースということで、演奏陣は当然ながら、青山純・伊藤広規・難波弘之・野力奏一・土岐英史ら、当時の達郎バンドの面々が揃い踏み。更に富倉安生 (b) や中西康晴 (pf) 、ジェイク・H・コンセプション (sax)、浜口茂外也/ペッカー (perc) 、数原晋 (tr)、比山貴咏史/新倉芳美(cho) といった錚々たるセッションメンが参加している。<逃げたりしないで>のエキセントリックなギター・ソロは、やっぱりこの方、北島健二。ただしベスト盤なので、ミュージシャン・クレジットは帯ウラに添え書きしてあるだけだけど…

でも嶋田兄弟が書く楽曲は、デビュー当時から大きく変わるコトなく、ココでもなかなかメロディアス。コンプレッサー掛けまくり、リヴァーヴ盛りまくりの80'sサウンドに捉われず、よく楽曲に耳を傾けるとその本質が見えてくる。バレアリック方面で注目されているらしい<肖像画のモデル>なんて、イーグルス<I Can Tell You Why>をフィル・コリンズがプロデュースしたみたいだし、ピアノ・バラード<黒い瞳のメロディ>なんて、ちょっとした隠れ名曲で。アコースティックな味わいの<Wasted Summer>も美味しくて、全体的にミディアム〜スロウのデキが良い。早い話、バキバキの80' sスタイルで売り出すコンビじゃないんだよなぁ〜。
実のところ、兄弟もその辺に悩んでいたようで、このアルバムを以って一度シーンから撤退。92年にGARDENとして再デビューし、レコード会社を渡り歩きながら、現在もゆる〜く活動を継続している。でもオトナの事情はあるにせよ、こういうニッチなアーティストにもシッカリ光を当ててくれるのはありがたいこと。他のレーベルも見習って欲しいと思わずにはいられません

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