
このところCTI モード。今月中旬に『ALLTIME COLLECTION』と題した再発シリーズが始まり、第1期として60タイトルがCD復刻。それに合わせてレコードコレクターズ誌4月売り号でも特集が組まれ、10作超のレビューを執筆中なのだ。そのため今は、単細胞な自分のアタマが他へ向かない。だからココでは依頼されているアイテムではなく、今回の再発対象になっている他のCTIのクロスオーヴァー/フュージョン名作からチョイス。まずは、ボブ・ジェームスやグローヴァー・ワシントンJr.、シーウインドなど、人気アイテムの原盤権がアーティスト側へと移動していく中にあって、現在の稼ぎ頭とも言えるジョージ・ベンソンを。
A&M傘下の1セクションとしてCTI(=Creed Taylor Issue)が立ち上がった時、スター・プレイヤーとして期待されていたのはウェス・モンゴメリーだった。しかし68年のウェス急逝により、後継としてベンソンに白羽の矢が立って、A&M / CTI 入り。3枚のアルバムを出した後、CTI の独立(=Creed Taylor Incorporated)に伴い、レーベルの看板アーティストに。71年作『BEYOND THE BLUE HORIZON』を先頭にして、『WHITE RABBIT』『BODY TALK』『BAD BENSON』『GOOD KING BAD』をリリース。ジョー・ファレルとの共演盤、ヒューバート・ロウズをゲストに迎えたカーネギー・ホール・ライヴを置き土産に、ワーナーへ移籍して、かの『BREEZIN'』(76年) を大ヒットさせたのだ。
それ以降のベンソンは、歌えるギタリストとして名声を確立。対してこのCTI期は、CTIのイージー・リスニング・ジャズ路線に乗った人気ジャズ・ギタリストという風情で。アレンジャーにはアルバム毎にドン・セベスキー、ピー・ウィー・エリスらを起用。それによって多少カラーリングが異なるが、75年に2度に分けてレコーディングし、76年初めに発表された『GOOD KING BAD』は、ちょうどCTI時代とワーナー時代を橋渡しする内容と言える。
アレンジは、レーベルを去ったボブ・ジェームスの代わりに後期CTIで重用されたデヴィッド・マシューズ。でもジェイムス・ブラウンのバンドで下積みを経験してきた人だけに、ソウルやファンクの取り入れ方に長けている。それが功を奏したか、従来の上品なベンソン・サウンドに少しだけライト・ファンク色を注入。だから『BREEZIN'』以降のファンも、CTI期のベンソンに、より馴染みやすそうだ。マシューズ提供曲以外の収録には、<Feel Like Makin' Love>でお馴染み、ユージン・マクダニエルなんかもいる。参加メンバーは、エリック・ゲイル (g) 、ドン・グロルニック/ロニー・フォスター/ボビー・ライル (kyd) 、ゲイリー・キング (b) 、スティーヴ・ガッド/アンディ・ニューマーク (ds)、ジョー・ファレル (flute) 、ブレッカー・ブラザース (horn)、デヴィッド・サンボーン/ロニー・キューバー(sax)等など。
収録曲はすべてインスト。だけど実はこの時のセッション、他にもいろいろ録られていて。実際過去のリイシューでは、ボーナス・トラックにアイザック・ヘイズ<Hold On I'm Coming>が入っているエディションも。しかもコレ、シッカリとしたヴォーカル曲。『BREEZIN'』の<This Masqurade>でシンガー:ベンソンが開花したと言われるが、その前哨戦的セッションが、このCTI末期にあったことになる。
ついでに書くと、83年に蔵出しされた『PACIFIC FIRE』は、『GOOD KING BAD』の2回の録音と同時、ないしは中間期にレコーディングされた、いわば姉妹作的アルバムで。後に『GIVE ME THE NIGHT』で歌う<Moody's Mood>は、この『PACIFIC FIRE』のベンソン編曲版が初録音。『GOOD KING BAD』収録の<EM>も、より長尺ヴァージョンが入っている。またエディ・フロイド<Knock On Wood>のインスト・カヴァーもあって、マシューズの意図やベンソンの狙いが、より明白に。これを世に出せなかったトコロが、トミー・リピューマとの違いなのかも。
今回の『CTI ALLTIME COLLECTION』では両方復刻されているので、セットで聴いてみることをオススメします。
《Tower Records はココから》
《Tower Records はココから》
それ以降のベンソンは、歌えるギタリストとして名声を確立。対してこのCTI期は、CTIのイージー・リスニング・ジャズ路線に乗った人気ジャズ・ギタリストという風情で。アレンジャーにはアルバム毎にドン・セベスキー、ピー・ウィー・エリスらを起用。それによって多少カラーリングが異なるが、75年に2度に分けてレコーディングし、76年初めに発表された『GOOD KING BAD』は、ちょうどCTI時代とワーナー時代を橋渡しする内容と言える。
アレンジは、レーベルを去ったボブ・ジェームスの代わりに後期CTIで重用されたデヴィッド・マシューズ。でもジェイムス・ブラウンのバンドで下積みを経験してきた人だけに、ソウルやファンクの取り入れ方に長けている。それが功を奏したか、従来の上品なベンソン・サウンドに少しだけライト・ファンク色を注入。だから『BREEZIN'』以降のファンも、CTI期のベンソンに、より馴染みやすそうだ。マシューズ提供曲以外の収録には、<Feel Like Makin' Love>でお馴染み、ユージン・マクダニエルなんかもいる。参加メンバーは、エリック・ゲイル (g) 、ドン・グロルニック/ロニー・フォスター/ボビー・ライル (kyd) 、ゲイリー・キング (b) 、スティーヴ・ガッド/アンディ・ニューマーク (ds)、ジョー・ファレル (flute) 、ブレッカー・ブラザース (horn)、デヴィッド・サンボーン/ロニー・キューバー(sax)等など。
収録曲はすべてインスト。だけど実はこの時のセッション、他にもいろいろ録られていて。実際過去のリイシューでは、ボーナス・トラックにアイザック・ヘイズ<Hold On I'm Coming>が入っているエディションも。しかもコレ、シッカリとしたヴォーカル曲。『BREEZIN'』の<This Masqurade>でシンガー:ベンソンが開花したと言われるが、その前哨戦的セッションが、このCTI末期にあったことになる。
ついでに書くと、83年に蔵出しされた『PACIFIC FIRE』は、『GOOD KING BAD』の2回の録音と同時、ないしは中間期にレコーディングされた、いわば姉妹作的アルバムで。後に『GIVE ME THE NIGHT』で歌う<Moody's Mood>は、この『PACIFIC FIRE』のベンソン編曲版が初録音。『GOOD KING BAD』収録の<EM>も、より長尺ヴァージョンが入っている。またエディ・フロイド<Knock On Wood>のインスト・カヴァーもあって、マシューズの意図やベンソンの狙いが、より明白に。これを世に出せなかったトコロが、トミー・リピューマとの違いなのかも。
今回の『CTI ALLTIME COLLECTION』では両方復刻されているので、セットで聴いてみることをオススメします。