tristan_frou

3人目となる新シンガー:イルマ・ダービーを迎えたトリスタン8作目。
スピードやスケール、エナジー感をアップさせた
ファンキーなバンド・サウンドに乗って、
チャカ・カーンやドナ・サマー、ランディ・クロフォードらのような
魅力を併せ持つイルマが表現力を爆発させる。


寝耳に水のシンガー交代劇だった。若い2代目シンガーが加入してアルバムを2枚作り、ツアーにも出た。傍目からは順調そうに見えていた。が、彼女はプライヴェートな問題で突如脱退。でもメンバーは慌てなかったという。聞けば3代目に収まったイルマ・ダービーは、オリジナル・シンガーのイヴリン・カランシーがコロナの影響でアイルランドへ移住してしまったあと、グループがシンガーを探していた時に、グループにコンタクトした一人だったのだ。

だが時すでに遅し。メンバーは新しいシンガーと共に、早くもレコーディングを開始していた。それでもこの時のやりとりがキッカケで、今度はすぐにイルマの加入が決まり、もうツアーも消化しているという。彼女はオランダを中心にセッション・シンガーとしてキャリアを積み、R&Bやハウス・ミュージック方面ではフィーチャリング・シンガーとして歌ってきた。
「イルマはステージ上でもそれ以外でも、とてもプロフェッショナルなんだ。彼女と仕事ができて良かったよ。タイミングとサウンド面でかなりアップグレードできた。ステージでもすごく安定していて、存在感も抜群なんだ!」(kyd奏者クーン・モールナール)

更にこのタイミングでギターもスイッチ。でもこのメンバー・チェンジにより、デビュー間もない頃のような勢い、新鮮さを取り戻した感覚がある。ファンキーな曲はよりファンキーに、ジャジーな曲はよりジャジーにと、楽曲ごとのフォーカスが定まって、近作では最もメリハリのあるアルバムに仕上がった。先行リード・シングル<Will You Ever Stay>は、イルマの大らかな歌いっぷりが見事。次いでシングル・カットされたアルバム・オープナー<Changes>はキレキレのグルーヴ・チューンで、新ギタリストのシャープなカッティングがアンサンブルをリードしていく。通好みのミッド・ファンク<Call Me>、疾走するファンク・グルーヴ<I Just Can't Stop>、スムーズ・ジャズのニュアンスが強い<Brand New Shoes>、そしてスティーヴィー・ワンダーに触発されたインスト<Contuse Me>など、盛りだくさんの内容。アルバム・タイトル『FROU-FROU』は、輸入盤ジャケットにあしらわれた謎の鳥(らしい…)の名前だそうで、詳細は国内盤の筆者ライナーノーツで解説している。

オランダのインコグニート、そんな形容を授かって久しいトリスタン。だがココ日本では、彼らの実力、ヨーロッパでの人気とは裏腹に、もうひとつ浸透していない。でもこのアルバムを聴けば、ちょっとは認識が変わってくると思うなぁ…。

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フルー・フルー[監修・解説:金澤寿和(Light Mellow)]
トリスタン
Pヴァイン・レコード
2025-04-11

《Tower Records はココから》