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稀代のメロディ・メイカー林哲司が、自身でペンを取った楽曲を披露する恒例の『SONG FILE LIVE』。その今年の一発目は、間もなくリリースされる、ソロ作品からセレクトされた初めてのベスト・アルバム『Yesterday Alone』のリリース記念ステージ。その1st Showをコットン・クラブで観た。

バンド・メンバーたちが所定のポジションにスタンバイすると、少し遅れて、いつものように少しはにかみながら林哲司先生ご登場。大和邦久が伸びやかに歌う<ガラスのパームツリー>から、ショウが始まった。iCHiHOが歌う<Strangers Dream>は、曲はシッカリ覚えているのに、しばらくの間、誰の楽曲だったか思い出せず…(苦笑)正体を思い出したのは、家へ戻ってからでした

MCを挟んで歌われた<星空>は、『Yesterday Alone』に収められた新曲のうちのひとつで、林自身がヴォーカル。スタジオ版では、コーラスとギターをGoodbye Aprilが担当している。実は彼らも揃って1stを観に来ていて、氏から「飛び入りする!?」なんて振られて、全員苦笑い。<Rainy Saturday & Coffee Break>は大橋純子&美乃家セントラル・ステイション、林さんソロ2nd『BACK MIRROR』でお馴染みだが、シティポップ・ブームの海外でよく聴かれているというコトで、50周年の新ヴァージョンで『Yesterday Alone』に収録された。とはいえ、雰囲気はほとんどのそのままで、だけど。更に和久井映見に書いた<抱きしめたいのはあなただけ>は、氏自身の思い入れが強いらしいが、演奏はごくナチュラルに。この辺りで御大のヴォーカル・ナンバーが連なったあたりが、今回のライヴの見どころと言えた。

SONG FILE LIVEでは割と定番化している “悲しみ3部作” をサラリとメドレーにした後は、シャンソンやミュージカル方面で活躍するシンガー:松城ゆきのがゲストに登場し、個性が滲む声でトリビュート・アルバム『Saudade』で歌っていた<卒業>を披露。続いて富岡美保が隠れ名曲<Like A Seagull>を見事に歌い上げ、終盤〜アンコールのヒット・メドレーになだれ込んだ。

個人的には、せっかく初のソロ・ベスト『Yesterday Alone』が出るというタイミングなのだから、いつも披露するヒット曲を少し削ってでも、ソロ名義の楽曲を増やして欲しかったところ。でもご自分でもおっしゃってたように、シンガー・ソングライターとしてデビューして作曲家になって成功した人だから、何をどうすればリスナーが喜んでくれるか、いつもそれを意識しているのだろう。アンコール<September>にしても、誰もが知ってる竹内まりやヴァージョンではなく、今回は稲垣潤一+EPOのデュエット・ヴァージョンでステージに掛けたあたりに、氏の美学やスタンス、密かなこだわりが現れている気がした。

いつしか SWINGING 1984 と名付けられたレギュラー・バンドのサポートは、みんな手堅く過不足もナシ。自分的には、角松バンドでお馴染み、鈴木英俊のギターがツボで、演奏自体は控えめながら、そのプレイは鳩尾(みぞおち)にグイグイ迫ってきた。大ホールで開催するような演出過多のイベントとも、小ぢんまりとした身内のライヴとも異なる程よいバランスで、楽曲に対する愛情がダイレクトに伝わる。そんな林さんらしい、ステキなライヴでありました。


《1st Show Setlist》
1. ガラスのパームツリー(杉山清貴&オメガトラブ)
2. Strangers Dream(ジャッキー・リン&パラビオン)
3. 星空(新曲)
4. Rainy Saturday & Coffee Break(新録ヴァージョン)
5. 抱きしめたいのはあなただけ(和久井映見)
6. メドレー(悲しみ3部作/杏里〜上田正樹〜林哲司) 
  悲しみがとまらない〜悲しい色やね〜悲しみがいっぱい
7. 卒業(菊池桃子) ※ゲスト:松城ゆきの
8. Like A Seagull(大橋純子&美乃家セントラル・ステイション)
9. 思い出のビーチクラブ(稲垣潤一)
10. 北ウイング(中森明菜)
-- Encore --
11. 真夜中のドア ~ Stay with Me (松原みき)
12. September(竹内まりや)

《Support Member》
〜SWINGING 1984
小川幸夫 [GAAA] (ds), 中村雅雄 (b), 鈴木英俊 (g), 清水永之 (key), 久保田響 (key)
大和邦久・iCHiHO・富岡美保 (vo,cho)

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