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待望のヤング・ガン・シルヴァー・フォックスのニュー・アルバム『PLEASURE』、5作連続でライナーを書かせてもらっているため、ひと足先にCD&アナログ盤が届いている。結果から言ってしまうと、コレ、彼らの最高傑作と言ってイイかも。もちろんこれまでの4作、どれもドラスティックな路線変更などなく、常に高いクオリティをキープしている。でも初めて聴いた時のインパクトが大きかったせいか、10年前のデビュー・アルバム『WEST END COAST』が、常に彼らに対する判断基準になっているようなトコロがあって。でも今回はそれを更新できると言うか、音楽的な進化を続けながらグルリと大きくひと回りして、元のテイストに戻ってきたような感覚があるのだ。

解説用のメール・インタビューによれば、今作で変わったのは制作スタイル。今まではそれぞれのスタジオで音を作り、それをネットでやり取りして構築していた。それが今作では、ショーン・リーがアンディ・プラッツのホーム・スタジオへ出向き、フェイス・トゥ・フェイスでの共同作業がメインになったそう。彼らの音楽に新鮮さと緊張感を維持するためには必要な措置で、共作した曲はとても早く、有機的にまとまったと言う。

過剰な装飾はなく、必要なものだけをシンプルに組み上げた結果、従来よりもホーン・パートが減少。シンプルになった分、ショーンとアンディの関係性が露わになり、両人の間のケミストリーが強く感じられる。ミッド・テンポのメロウ・チューンが若干増えて、シェイプアップされた音、繊細さを増したサウンドが饒舌に語りかけてくる。

スライ・ストーンとスティーヴィー・ワンダーへのオマージュ<Sly & Stevie>は、ショーンとアンディ、コナー・リーヴスとの共作。アンディが書き下ろした<Born To Dream>は、マイケル・マクドナルド風ピアノ・リフとファルセット・ヴォーカルが印象的。ショーンがお気に入りの<Late Night Last Train>は、「フリートウッド・マックとデレゲイションを組み合わせた曲。トッド・ラングレン的な部分もある」とアンディ。 続いての<Burning Daylight>には、アース・ウインド&ファイアーとアンブロージアの影響が滲む。ショーンが「ちょっとアンドリュー・ゴールドの雰囲気にタッチしている」と語るのは<Put Up Your Dukes>。そうかと思えば、ブレグジット(=EU離脱)を始めたデヴィッド・キャメロン元英国首相への批判を込めた<The Greatest Loser>なんてのも。こういう曲が飛び出してくるあたりが、気骨のある英国人のアンディらしい。

10年間でヨット・ロック・シーンの旗頭に上り詰めた感のあるYGSFだけど、人気が先行したはずの日本での評価が、今はチョッと停滞気味。このニュー・アルバムを起爆剤に、次は2度目の来日公演へと繋がってほしい。発売は来月2日。

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ヤング・ガン・シルヴァー・フォックス
Pヴァイン・レコード
2025-05-02

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