brownsmith_capitol

陽気に誘われ、少し前から再開しているウォーキング。江戸時代に作られた農業用水沿いのサイクリング・ロードから大きな自然公園、『日本むかし話』にも登場した弁天様あたりを回わって1万歩弱のコースなのだが、今日は抜けるような青空に新緑が映えて、めっぽう気持ちが良かった。なので家へ帰って休憩しながら、緑の木立ちが印象的なコレを手に取り…。久々のブラウンスミス。

ブラウンスミスは、アコースティック・ギター/ヴォーカルのドン・ブラウンと、ベース/ハーモニーのギャレット・スミスから成る、シアトルのデュオ。これが唯一のアルバムで、オリジナル・リリースは73年の自主制作。アートワークはモノクロ仕様だった。それがどういう経緯か、キャピトルに買い上げられ、75年に再発売。その時、爽やかなグリーンに同じピンナップをあしらったジャケットに差し替えられた。

収録曲は1曲カヴァーを除いて、すべてドン・ブラウン作。そのどれもが、瑞々しいオーガニックなサウンドと麗しいハーモニーを持っていて、今の時期に聴くのがピッタリ。研ぎ澄まされたアコギと転がるようなエレキ・ピアノの透明感に、心が洗われるようだ。曲によっては、ハワイアン・コンテンポラリーに通じる甘やかなソウル・テイストと、ほんのりジャジーなヴォイシングが楽しめる。青空に舞い立つような<Circus Ride>、センチメンタル・ボッサ<Friends Of Mine>、弾き語りにリコーダーが効いている<Sunrise To Sunset>と、好曲連発。<Forever>でドンとデュエットするのは、のちにボーイ・ミーツ・ガールを組むシャノン・ルビカム。そう、ホイットニー・ヒューストンにヒット曲を提供した、あのシンガー・ソングライター・デュオの女性だ。

参加ミュージシャンにとりわけ有名人はいないものの、実は彼らの周りにシアトルの都会派サウンド人脈が徐々に形成されていく。フランキー・ブルーがいたゲイブリエル、デュオ解消後のドンがソロ契約したFirst Americanのブラジリアン・ジャズ・バンド:パパーヤ、そしてデニース・ウィリアムスに楽曲提供するようになるデイヴ・レイナーなど。更にFirst Americanの傍系レーベル:Music is Medicineからは、マーク・ウィンクラーやダイアン・シューアがデビューしている。

そのシアトル音楽人脈を解き明かすなら、まずはこのブラウンスミスから。現在はオリジナルのモノクロ・ジャケが紙ジャケCDで入手可能。AOR Light Mellow Premium 01 掲載盤でもあります。


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ブラウンスミス (生産限定紙ジャケット仕様)
ブラウンスミス
ヴィヴィド・サウンド
2021-06-30

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