sting 3.0 live

9月に来日を控えるスティングのライヴ・アルバム。新作としては21年の『THE BRIDGE』以来になるが、個人的にはあんましお久しぶり感はない。“スティング 3.0” とあるのは、彼の新しい3人組バンドのこと。どうせ3人組ならザ・ポリスを再結成してくれた方が…、なんて声も耳にしたが、それじゃスティングのソロ楽曲ができないじゃん。つまりスティング 3.0は、その両方をバランスよく、今のスタイルで再現するバンドなのだ。

それにしてもビックリしたなぁ。だってスティングの歌声、荒れ放題でキーもだだ下がりなんだもの…。そりゃあ年齢を考えたら仕方がないけど、ハスキーなクセに透明感がある稀有な響きを持った人だから、その艶やかな歌声の印象が滅法強いのだな。新作アルバムは出る都度聴いているから、声の変化には気づいていたけど、今作はライヴなだけに、その落差が衝撃的で。それこそ最初は、これ本人!? と疑っちゃったほど。でも歌っているうちにスティングの喉が開いてきたようで…。一方コチラの耳も徐々に慣れて来て、声質の変化はあまり気にならなくなってくる。それどころか、程よくワイルドでタフな部分が前面に出てきて、コレはコレでカッコ良いではないの、と。

とにかく、トリオ編成による必要最低限の音で再構築された名曲の数々が素晴らしく、ポリス時代の曲も、ソロになってからのヒットも、ごっちゃになってシームレスに展開していく。このスティング3.0でのツアーは、ちょうど1年前の昨年5月からスタートしているらしいが、スティングはその目的のひとつにとして “オーディエンスとのインティメイトな交流” を挙げているという。だからコンサート会場はアリーナではなく、ホール・クラスがほとんど。つまり、原点回帰とは言わないまでも、オーディエンスにロック・バンドの臨場感を届ける、という強い目的意識があるのだろう。3.0のメンバーはお馴染みのドミニク・ミラー (g) と、ルクセンブルグ出身のセッション・ドラマー:クリス・マース。ポリス時代のような怒涛の疾走感は望むべくもないけど、シンプルながらガッチリまとまったソリッドなトリオ・フォーマットの演奏が、実に心地良い刺激を与えてくれる。

ただし気をつけたいのは複数あるリリース形態。オリジナルは9曲入りで、日本盤のみ<I Wrote TYour Name(Upon My Heart)>のライヴ・ヴァージョンをボーナス収録。更に日本では、Record Store Day限定2LP仕様の17曲入り2枚組SHM-CDデラックス・ヴァージョンがある。またアンコールで歌っているらしい<Fragile>は、どうやらサブスクのみのラインアップで、フィジカルには未収の模様。ご購入の際はお気をつけあそばせ。







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