masaru imada_green024_7186abc1-023e-49f0-afad-9e1c6c76534emasaru imada_andalusian
masaru imadamasaru imada_mlue marinemasaru imada_coral

各方面で和製フュージョンの再評価が進む中、日本のクロスオーヴァー/フュージョンの黎明に大きく寄与したジャズ・ピアニスト:今田勝が、5月30日に逝去。既に近親者で葬儀を済ませたという。原因は老衰で、享年93というから、これは大往生といってイイかな? 大変ご苦労様でした。

今田勝は1932年(昭和7年)東京生まれ。約5年間クラシック・ピアノを学んだ後、学生時代から米軍キャンプ周りを経験。大学卒業後の53年からクラリネット奏者:北村英治のコンボを経て、猪俣毅グループに前田憲男の後任として参加。64年から自身のトリオを率いた。70年に初アルバム発表。Three Blind Miceから75年に出した『GREEN CATERPILLAR(グリーン・キャタピラー)』で渡辺香津美を迎え、エレクトリック・ジャズに初挑戦した。

再び香津美と渡り合った80年作『ANDALUSIAN BREEZE(アンダルシアの風)』以降、加速度的にフュージョン色を務め、翌81年作『CARNAVAL(哀愁のカーニヴァル)』ではブレッカー・ブラザーズと共演。82年『BLUE MARINE(誘われてシーサイド)』では、グローヴァー・ワシントンJr.、トム・ブラウン、スティーヴ・カーン、アンソニー・ジャクソン、スティーヴ・ジョーダンらとレコーディング。83年作『A DAY IN THE PARADISE(コーラルの渚)』には、デヴィッド・サンボーン、スティーヴ・ガッド、ウィル・リー、渡辺香津美らが参加している。84年に若手中心のNOWINを結成し、数枚のアルバムを残した。

今田が上手かった点は、エレクトリック化を取り入れても一気にクロスオーヴァーに走らず、コンサヴァティヴな当時の日本のジャズ・ファンに配慮し、時間を掛け、段取りを踏んで洗練を進めたこと。80年以降フュージョン化が本格化しても、フュージョン作とジャズ・アルバムを交互に出すなど、常に両天秤のバランスを図っていた。個人的には 、ポップ・フュージョン化が顕著になったNOWIN以降、徐々に距離ができてしまったけれど、今般の再評価で、2〜3日前にも80年代初頭の作品を聴き直していたところだった。

ご冥福をお祈りします。