
日本リリース5作目にしてモンキー・ハウス最高傑作。
従来のスティーリー・ダン偏愛をベースにしながら、
より広範なサウンド・テクスチャーを提示。
ジャズ・ファンクやアコースティック・サウンドへのアプローチに加え、
ホーン使いはドン・ブラウトハウプトがリスペクトする
もうひと組の大物シカゴを髣髴させたりも…
海外より少し遅れて、モンキー・ハウスのニュー・アルバム『CRASHBOX』国内盤がいよいよ今週、筆者監修【Light Mellow Searches】on P-Vine からリリース。当代最高のスティーリー・ダン研究家として知られ、ドナルド・フェイゲンからのお墨付きも得ているリーダー:ドン・ブライトハウプトが、「楽曲、演奏、プロダクション、すべてにおいてこれまでで最高のアルバム」と語っている自信作だ。
何が変わったかといえば、それは多少なりとも作風が広がったこと。例えばアルバム・スターター<Return Of The Mayfly>は、ノッケからブラス・セクションだけが登場。スティーリー・ダンというより、反射的にシカゴを思い出させる。ご存知の方も多いと思うが、ドンはモンキー・ハウスと併行して、シカゴのトリビュート・バンド:ブラス・トランジットに中心メンバーとして参加しており、『BRASS TRANSIT』『BRASS TRANSIT II - The Symphony Sessions』を自主制作で出している。このブラス・トランジットのリード・シンガーだったのが、17年ツアーから御本家シカゴに迎えられているカナダ人ニール・ドネル。言わばジャーニーのアーネル・ピネダと同じようなパターンだ。もっともアソコまで前任ソックリさんではないけれど…
「ジェイムズ・パンコウは、間違いなく僕がアレンジ面で影響を受けた人物の一人に挙げられるね。でもブラス・トランジットとの関連はあまりない。あの曲はピーター・カーディナリ(共同プロデューサー/レーベル・オーナー)のアイディアなんだ」
ドン自身は、直近で書いたオリジナル曲のベストを集めようとしているだけ。でもここ数年、今のバンド・フォーマットで続けてきたので、メンバーの持ち味や強みに合わせたアレンジのカスタマイズができるようになった、というコトらしい。2ndシングル<Sundaying>は、セレーナ・エヴァンジェリンのバック・ヴォーカルが絡むリラックスした曲調。アコースティック・ギターを多用したエピローグ<Feeling You Breathe>も今までになかった作風だ。対して陽気なライト・ファンキー・チューン<What’s Left of This World>は、実は厳しい社会批評を展開している。タイトル曲<Crashbox>も社会風刺を孕んだナンバーで、「ドン・ヘンリーの<Dirty Laundry>の伝統を受け継いだ」そうだ。
<Bring the Stars Down>は、新たに手に入れたグランド・ピアノを弾きたくて書いた瞑想的な楽曲。<You Just Don’t Know It Yet>は何年も前から取り組んでいたバラード系の難曲だったそうだが、リズムのアイディアが浮かんだら、パット・メセニーのようなエナジーが生まれたらしい。美しいピアノ・バラード<Disappear in Plain Sight>は、かのマーク・ジョーダンとの共作。Vocal Cameoというクレジットもある。
日本のみのボーナス・トラック<Moving In Time>は、アルバムのレコーディングが始まる直前に生まれた最新曲。ドン自身のお気に入りだが、差し込む余地が見つからず、今作への収録を見送ったという。それが聴ける日本のファンは、とてもラッキー。そういえば、再編スティーリー・ダンに貢献し、モンキー・ハウスのアルバム常連だったドリュー・ジングが、今年4月に急逝した。どうやらこの『CRASHBOX』が、彼の最後のレコーディング作品になるらしい。
スタジオジブリや大友克洋のアニメを髣髴させるアートワークが印象的だが、このイラストは、モンキー・ハウスと同じカナダ出身の人気デザイナー/イラストレイター:スティーヴ・マクドナルドのポートフォリオから。相変わらず来日公演は実現しないままだけど、ドンによると「日本はストリーミング再生数が最も多い国だから、是非ともライヴをやりたいと思っている」とのこと。是非このニュー・アルバムがジャパン・ツアーのキッカケになりますように…
《amazon》
《Tower Records はココから》
何が変わったかといえば、それは多少なりとも作風が広がったこと。例えばアルバム・スターター<Return Of The Mayfly>は、ノッケからブラス・セクションだけが登場。スティーリー・ダンというより、反射的にシカゴを思い出させる。ご存知の方も多いと思うが、ドンはモンキー・ハウスと併行して、シカゴのトリビュート・バンド:ブラス・トランジットに中心メンバーとして参加しており、『BRASS TRANSIT』『BRASS TRANSIT II - The Symphony Sessions』を自主制作で出している。このブラス・トランジットのリード・シンガーだったのが、17年ツアーから御本家シカゴに迎えられているカナダ人ニール・ドネル。言わばジャーニーのアーネル・ピネダと同じようなパターンだ。もっともアソコまで前任ソックリさんではないけれど…

「ジェイムズ・パンコウは、間違いなく僕がアレンジ面で影響を受けた人物の一人に挙げられるね。でもブラス・トランジットとの関連はあまりない。あの曲はピーター・カーディナリ(共同プロデューサー/レーベル・オーナー)のアイディアなんだ」
ドン自身は、直近で書いたオリジナル曲のベストを集めようとしているだけ。でもここ数年、今のバンド・フォーマットで続けてきたので、メンバーの持ち味や強みに合わせたアレンジのカスタマイズができるようになった、というコトらしい。2ndシングル<Sundaying>は、セレーナ・エヴァンジェリンのバック・ヴォーカルが絡むリラックスした曲調。アコースティック・ギターを多用したエピローグ<Feeling You Breathe>も今までになかった作風だ。対して陽気なライト・ファンキー・チューン<What’s Left of This World>は、実は厳しい社会批評を展開している。タイトル曲<Crashbox>も社会風刺を孕んだナンバーで、「ドン・ヘンリーの<Dirty Laundry>の伝統を受け継いだ」そうだ。
<Bring the Stars Down>は、新たに手に入れたグランド・ピアノを弾きたくて書いた瞑想的な楽曲。<You Just Don’t Know It Yet>は何年も前から取り組んでいたバラード系の難曲だったそうだが、リズムのアイディアが浮かんだら、パット・メセニーのようなエナジーが生まれたらしい。美しいピアノ・バラード<Disappear in Plain Sight>は、かのマーク・ジョーダンとの共作。Vocal Cameoというクレジットもある。
日本のみのボーナス・トラック<Moving In Time>は、アルバムのレコーディングが始まる直前に生まれた最新曲。ドン自身のお気に入りだが、差し込む余地が見つからず、今作への収録を見送ったという。それが聴ける日本のファンは、とてもラッキー。そういえば、再編スティーリー・ダンに貢献し、モンキー・ハウスのアルバム常連だったドリュー・ジングが、今年4月に急逝した。どうやらこの『CRASHBOX』が、彼の最後のレコーディング作品になるらしい。
スタジオジブリや大友克洋のアニメを髣髴させるアートワークが印象的だが、このイラストは、モンキー・ハウスと同じカナダ出身の人気デザイナー/イラストレイター:スティーヴ・マクドナルドのポートフォリオから。相変わらず来日公演は実現しないままだけど、ドンによると「日本はストリーミング再生数が最も多い国だから、是非ともライヴをやりたいと思っている」とのこと。是非このニュー・アルバムがジャパン・ツアーのキッカケになりますように…
《amazon》