benmont tench 2

今日はチョイと渋目の、でも愛すべきモノホンのアーティスト、ベンモンド・テンチのセカンド・ソロ『THE MELANCHOLY SEASON』をピックアップ。それ誰?って人もいるだろうけど、この方は、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズで40年間キーボードを担当してきた名脇役。言い換えれば、ベンモントとマイク・キャンベルあってこそのハートブレイカーズ、なんだな。14年にブルーノートから 『YOU SHOULD BE SO LONELY』という初めてのソロ・アルバムを出していて、実に11年ぶりの第2作。トム・ペティ親分が逝ってから初めてのソロ作になる。

でも11年ぶりでも、基本的には何も変わっていない。ボブ・ディラン風の枯れた歌い口で、彼らしい燻し銀のアメリカン・ルーツ・ロックを聴かせてくれるのだ。ハートブレイカーズ活動中の前作は、少し内省的な仕上がりだった記憶があるけど、今回はロックしている曲があったり、カントリー・ワルツがあったりして、無骨な中に職人のロマンを感じさせる仕上がり。タイトルは "MELANCHOLY SEASON" でも、ペシミスティックな感はない。きっとベンモントのシンガー・ソングライター的側面を、無理なく自然体で表現したものなのだろう。

プロデュースには、ロジャー・ウォーターズのお気に入りギタリスト:ジョナサン・ウィルソンを招き、彼自身がギターやドラムをプレイ。その周辺ミュージシャンだけを集めたようなミニマムなバンド編成で、ゆったりと、でも程よくテンションが効いた作品に仕上がっている。故にドン・ワズが制作した前作みたいに馴染みの名はないのだが、それでも<I Will Not Follow You Down>のネタ出しがグリン・ジョーンズだったりして、思わずニヤリ。ジョナサン・ウィルソンが50歳代に乗ったばかりらしいから、そうした2世代ほども若いミュージシャンたちに囲まれ、ベンモントも気持ちよくプレイしているのが伝わってくる。

そういえばこのアルバム、リリース元はジョージ・ハリスンが興したダークホース・レコーズで。ジョージの死後、息子のダニーが中心になって再興したが、こうしてオヤジ人脈のフォローをしているのが微笑ましい。ベンモントも、「これ以上ないほど嬉しく思っている。私にとって感情に響くレーベルだ」と語っているそうだ。ジャクソン・ブラウンがスタジオを提供したらしく、Very Special Thanks が贈られているのも嬉しいなぁ。

《amazon》
The Melancholy Season
Benmont Tench
Dark Horse Records
2025-03-07

《Tower Records はココから》

《amazon》
The Melancholy Season [12 inch Analog]
Benmont Tench
Dark Horse Records
2025-03-07

《Tower Records はココから》