tokyo groove joshi

皆さんは、TOKYO GROOVE JYOSHI (東京グルーヴ女子 / 通称:グル女)というレディース・バンドをご存知ですか? 2018年結成で、これまでに複数回のUSツアー、オーストラリア・ツアーを成功させ、台湾やシンガポールのジャズフェスティヴァルに出演、年内には初の中国・ヨーロッパ・ツアーが控えているという、なかなかヤリ手のジャズ・ファンク・トリオなのだが。既に配信でいろいろリリースしているグル女が、今回初めてとなるフル・アルバムを完成。そのライナノーツを執筆させていただいた。実は早くもシンガポールのiTunes Storeで R&B /ソウル・アルバム首位、タイの同チャート2位にランクされたそうで、要するに、海外先行で人気急上昇中なのだ。ライナーは、もう昨日からバンドのSNSで公開中。でも今作もデジタル・リリースのみというので、彼女たちを広く知っていただこうと、ここでも公開することにした。

******************************
TOKYO GROOVE JYOSHI。この名前だけを見たり聞いたりすると、何やらヒップホップやアイドル系のダンス・ポップ・ユニットの匂いが漂ってくる。でも然に非らず (さにあらず)。彼女たちは熱きミュージシャン・スピリットと確かな演奏スキルに裏打ちされた、本格派のスリー・ピース・バンドだ。
2018年の結成から既に6年。1度だけメンバー・チェンジがあったものの、現在はEmi(kyd/vo)、Rina(b/vocal)、MiMi(ds/vo)というラインアップで、積極的なアーティスト活動を展開している。とりわけライヴの動きが活発。これまでに複数回のUSツアー、オーストラリア・ツアーをそれぞれ成功させ、台湾やシンガポールのジャズ・フェスティヴァルに出演。年内には初の中国ツアー、ヨーロッパ・ツアーが控えているそうだ。リリースされたばかりというこの初めてのフル・アルバム『WE ARE TGJ』も、先だってシンガポールのiTunes Storeで R&B /ソウル・アルバム首位、タイの同チャート2位にランクされたとか。
もちろん日本国内でも名のある都内ライヴ・ヴェニューを何度もフルハウスにしているが、自国で人気を確立してからの海外進出ではなく、最初からグローバルに展開し、世界各地のジャズ・ファンク・シーンに火を点けつつ、そのファン・ベースを日本の音楽シーンに落とし込んでいる。彼女たちのYouTubeチャンネルでは、早くも100本近い動画が公開。登録者数は8万人を超え、人気曲「Funk No.1」は2300万回再生をマークしている。こうしたデジタル・コンテンツと生のライヴ・パフォーマンスを活動の両輪としているあたりが、如何にも今ドキのグループらしい。そしてその裾野を大きく広げていくのが、現在のTOKYO GROOVE JYOSHIに課せられたテーマ。従来ファンの皆さんには「何を今更…」なライナーノーツかもしれないが、初めてのフル・アルバムというタイミングは、新たな支持を取り付ける絶好のチャンスなのだとご理解いただきたい。

 TOKYO GROOVE JYOSHI (以下TGJ)のメンバーのうち、Emiこと金指恵美は音楽大学で電子オルガンを専攻し、セッション経験も豊富。日本在住の世界的キーボード奏者フィリップ・ウー(ロイ・エアーズ、メイズなどで活動)に師事し、AMAZONSのメンバーでもある人気セッション・シンガー:大滝裕子からヴォーカル・トレーニングを受けている。MiMiこと川上真裕美も音大卒で、セッション活動の傍ら、ミュージカルに出演。角松敏生が企画・演出・音楽を手掛けた総合音楽エンターテイメント『東京少年少女』にも出演した。セルフ・プロデュースによるソロ活動も行なっている。2代目ベースのRinaこと星野李奈は、音楽学校で学んだ後、2018年からソロ活動をスタート。20年にTGJに参加した。
 こうしたメンバーたちの潜在能力をダイナミックに引き出しているのが、ミュージカル・ディレクターを務める柴田敏孝である。名ドラマー故・村上ポンタ秀一に実力を認められ、彗星の如く、20歳でジャズ・トリオ:NEW PONTA BOXでデビュー、ジャズ・フュージョン・ファンの注目を浴びた。その後もTOKUやakiko、大黒摩季らの音楽監督を務め、現在も第一線で活躍中。その柴田が2020年から全面バックアップし、サウンド・プロデューサーとして先導してきたのが、このTGJである。今回の初フル・アルバム『WE ARE TGJ』でも、全9曲中7曲が柴田のアレンジ。作品全体がバラエティに富んでいるが、その優れたバランス感は柴田の貢献大と言えそうだ。

 アルバムは、TGJきっての人気曲「Funk No1」を更にエネルギッシュにした「Funk Spirit」で、勢いよくキックオフ。今では準レギュラーとも言える今井晴萌のサックスも、艶やかなブロウを響かせる。続く「Hello Mr.Q」は、昨年逝去した大プロデューサー:クインシー・ジョーンズへのリスペクトを込めたアーバン・ミディアムで、さらりと聴かせるコーラス・ワークが隠し味。硬めのトーンでよく転がるエレクトリック・ピアノ・ソロもイイ雰囲気を醸し出す。そしてアルバムをカラフルに彩るのが、ラテン・ダンサー「Latin Modus」。こういうノリのTGJも、なかなかイカしている。
 「Nevada Chill」はドラムMiMiが書き下ろしたヴォーカル・チューン。ポップ・カントリーのゆったりグルーヴが、これまた彼女たちの新生面をムキ出しにする。日本語・英語をミックスしたダブル・ヴォーカルも新鮮だ。Nevadaはラスヴェガスのあるネヴァダ州のことで、彼女たちが現地のパワースポットを訪れた時の体験を曲にしたらしい。
 鍵盤Emiの処女作「E Funk」は、初めて書いたとは思えぬハイ・クオリティに驚愕。得意のファンキーなクラヴィネットが炸裂するのも彼女らしい。3人のソロの繋ぎもお聴き逃しなく。ベースのRinaが書いた「Holic」は、ヨーロッパのクラブで流れていそうなテクノ・ハウス・チューン。TGJにとってはかなり斬新なトラックである。対して「Freedom」は柴田が提供したファンキー・フュージョン。キャッチーなピアノのメロディとコーラスのコンビネーションは、どこか一斉を風靡したシャカタク「Night Birds」を髣髴とさせる。
 そしてアルバムの最後は、TVアニメ『オーイ!とんぼ』のエンディング主題歌2連発でシメ。先に登場するのは、昨年のデジタル・シングル「Let’s Swing」のニュー・ヴァージョンで、声優が歌っていたオリジナルに代わり、MiMiが軽やかなシャッフル・ビートに乗って表情豊かなリード・ヴォーカルを披露する。そしてシーズン2のテーマになった「勝ちたくなっちゃたね (Wanted to Win)」は、主人公の成長をメロディやコード進行に反映させた点に注目。アニメには異色な本格的ジャズ・フュージョン的展開が、そのままTGJの新たなトライアルになっているのが興味深い。

 若手女性ミュージシャンとは思えぬ技巧派の集まりであるTGJだが、決して個人プレイに走ることはなく、あくまで3人+アルファのバンド・アンサンブルで勝負している。そのあたりの一体感、弾けんばかりの勢いが、彼女たちの生命線だろう。既に相応のキャリアや経験を積んできてはいるが、初のフル・アルバムなので、ココでは敢えて「彼女たちの未来は、まだ始まったばかり」と断言しよう。3人にはまだまだ大きな伸びしろがあるし、まだTGJに出会っていない音楽ファンがゴマンと存在する。SNSやAIがこれからいくら進化していこうと、マン・トゥ・マンのコミュニケーションこそベーシック。そこはいつだって変わらない。3人がライヴ活動を大事に活動していく限り、TGJの未来はずーっと輝き続ける。

音楽ライター:金澤 寿和 / Toshikazu Kanazawa
(http://lightmellow.livedoor.biz)

******************************

…というワケなので、もし興味を持たれた方は、こちらからどうぞ。
https://linkco.re/BsHeMMTT
TGJのウェブサイトはこちら。
https://www.tokyogroove.band/