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言わずと知れたクリストファー・クロスのデビュー・アルバムにしてAOR名盤『CHRISTOPHER CROSS(南から来た男)』の45周年記念エディションが、CD / Vinyl で到着。アナログは2枚組で、1枚目はオリジナル・アルバム9曲に日本のみでシングルが出た<Mary Ann>をボーナス収録。2012年に筆者監修で紙ジャケ再発した時のパターンですね。それを名手バーニー・グランドマンがリマスタリングしている。そして聴きモノは、10曲すべてがデモ音源というアナログの2枚目。CDは全20曲が1CDに収まっている。

そのデモ10曲の内訳は、アルバムに採用された5曲<Say You'll Be Mine><I Really Don't Know Anymore><Ride Like The Wind><The Light Is On><Sailing>5曲と、2ndアルバム『ANOTHER PAGE』に収録される<What Am I Supposed To Believe>、シングル<Mary Ann>の原曲<Say Goodbye To Marry Ann>、そしてほとんどの方が初めて聴く楽曲であろう<Parade><Smiles Of Angels><Passengers>の3曲になる。

ただし<Ride Like The Wind><Sailing><Parade>のデモは、クリスが2020年に自主リリースしたコンプリート・ボックス(13CD+LP)で蔵出し済み。それでも、かの名盤の未発表セッションが数多く聴けるというコトで、ワクワクしていた人は多いだろう。自分も珍しく、CD / Vinyl 両方ともオーダーしてしまいました

マイケル・マクドナルド、ニコレット・ラーソン、ヴァレリー・カーター、ドン・ヘンリー、J.D.サウザー、ラリー・カールトン、ジェイ・グレイドン等など、豪華ゲストが参加したことでも知られるこのAOR大名盤。けれど実はクリスがデビュー前から組んでいたバンド+プロデューサーのマイケル・オマーティアンでベーシック・トラックを録っていて、ゲストはいわゆるダビング参加ばかりと思われ。だから、ほぼ最終段階と思しきのこのデモも、自前のバンドでレコーディングしているはずで、ちょっとしたスタジオ・ライヴ風に聴くことができる。

それでもガッツリ身に染み付いたアルバムだから、微妙なBPMの違いやビートの重さ、アンサンブルの変更などがあったら、すぐに気がつく。その分、面白さも倍増。本チャンでは本物のストリングスが鳴っているところが、デモではストリング・シンセで演奏していたりして…。その上で、デュエットやコーラス陣、ソロイストの剛腕プレイなどが加わり、針の穴を通すような完成度にアップデイトされていく。そのあたりが、マイケル・オマーティアンの采配なのだろう。

未発表の3曲では、ボサノヴァっぽい<Parade>が出色。ただしこの1stにはちょっと合わないかな? 『ANOTHER PAGE』なら良かったかも。<Passengers>もナイーヴなアコースティック・チューン。初めて『ANOTHER PAGE』を聴いた時は、アコギの弾き語りっぽい曲が多くて、 拍子抜けした覚えがあるけれど、クリス自身の元々の指向性がそちら向きだったと分かる。ピアノ系のミディアム・バラード<Smiles Of Angels>はちょっぴりビリー・ジョエル風。普通に良い曲だけど、この名盤の収録曲に比較しちゃうとさすがに分が悪い。こうしてファイナル直前のデモと、完成盤を聴き比べると、プロデューサーやエンジニアの重要性がよく分かる。

発売元はオリジナルのワーナーではなく、熱心で愛情籠った発掘作業を行なっている米Omnivore Records。ナイス・ジョブです。

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