change_embrace

かのルーサー・ヴァンドロスを輩出し、角松敏生がネタ化した、ニューヨーク×イタロ・ファンクの名ユニット、チェンジ。彼らが33年ぶりに復活を遂げたのは2018年のコトだったが、それから実に7年ぶり、唐突に復活第2弾アルバムが届いた。先に書いておくと、キモは、“feat. TANYA MICHELLE SMITH” と付いていること。リリース元がミラノのレーベルで、看板と系譜は受け継いでいるけれど、サウンド的にはビミョ〜。でも悪くない、というか、ちょっと目線を変えればかなり楽しめる、といったところか。

とにかくチェンジといえば、故ジャック・フレッド・ペトラスとマウロ・マラヴァシというイタリア人の制作チームが、ダヴィデ・ロマーニやパオロ・ジアノリオといったミュージシャンを起用して作ったディスコ・サウンドをニューヨークへ持って行き、ルーサーに歌ってもらったのが始まりだったワケで。角松が若き日の青木智仁に聴かせてコピーさせたのは、このダヴィデ・ロマーニの豪放なスラップ・ベースだった。

そのチェンジも全米ヒットが出たことでライヴを演る必要に駆られ、82年の3作目『SHARING YOUR LOVE』あたりからニューヨークに拠点を移し、イタロ・ディスコからブラック・コンテンポラリーへと徐々に変化。新進気鋭のプロデュース・チームとして頭角を現してきたジミー・ジャム&テリー・ルイスに委ねた84年名盤『CHANGE OF HEART』などを出しつつ、85年の6作目『 TURN ON YOUR RADIO』を最後に名前を聞かなくなった。ペトラスは脱税疑惑でイタリアへ逃げ帰り、87年には射殺されてしまうショッキングな事件が発生。実は彼、マフィアに関係していたという噂もあったりして…。

チャンジが18年に『LOVE 4 LOVE』で復活した時は、マウロ・マラヴァシやダヴィデ・ロマーニというオリジナル・メンバーがイニシアチヴを握っていた(当時のレビューはこちらから)けれど、今回はダヴィデ・ロマーニがかろうじて1曲参加しているだけ。マラヴァシはサジェスチョンとサポートでスペシャル・サンクスを贈られたに止まる。代わって主導権を取っているのは、『LOVE 4 LOVE』で2人をサポートしていたステファノ・コロンボ。彼がほぼ全曲の作編曲とプロデュースに関わり、前作でも歌っていたTANYAにを再びフロントに立たせたのが、この『EMBRACE』の実態だ。

だから従来のチェンジ色はだいぶ希薄になっていて。初期チェンジの魅力はブンブン唸る迫力のディスコ・ファンクだったけれど、ここでの音は打ち込みを消化した、いわゆるシンセ・ファンク。それでもオープナーの<Got 2 GEt Up>を聴けばわかるように、メロディの耳馴染みは良好で。それがハッキリするのは、5曲目<The Mood>。これはイタロ・ファンク時代のチェンジではなく、ジャム=ルイスと組んだ時期のチェンジ・サウンド。しかもデキはかなり良く、808を駆使したと思しき後続<Unconditional Love>以後をリードするほどのポテンシャルを秘める。そう…、まるでSOSバンドみたい。初期チェンジじゃなく、末期チェンジのメロウ・ファンク中心なのだな。ダヴィデ・ロマーニのクレジットで一番期待した<For Loving On You>はあっさりコケたが、<The Mood>以後の数曲はそれを補って余りある。

…しても、ちょいとヤバイのは、ラストの<Ocean Drops>。こりゃサンプリングかと思ったら、クレジットがないので、完全にパクリ。メロは違っても、曲調どころか、モワ〜ッとした亜熱帯系のシンセの音色とかソックリで。もちろん大好きなんですケド…

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