baun_beginnings

デンマークはコペンハーゲン出身の、
若きスティーヴィー・ワンダー・フォロワー。
歌声は如何にもヨーロッパのヤング・ガイながら、
その音楽のアチコチにスティーヴィー的要素が潜んでいる。
ビートルズ、アントニオ・カルロス・ジョビンから
ファレル・ウィリアムズまで、
ポップな曲をジャズやソウルにして披露してきた実力が、
いまゲーム・チェンジを目指す。


デンマーク・ジャズ界ではアレンジャー/ミュージシャンとして活躍し、多くのシンガー/アーティストと共演、ビッグ・バンドのソリストとしても注目される一方、4人組のアコースティック・ラウンジ、トリオのバウン・オン・ビートルズという2つのレギュラー・グループを牽引してきたサラン・バウンの、これは初めてソロ・アルバム。その作品からは、ソウルやR&Bからの影響、特にスティーヴィー・ワンダーやスティーリー・ダンへの敬愛が強く感じられる。

「その通りだ。僕は彼らの大ファン。生きる伝説であるスティーヴィーは、ポップ、ジャズ、ソウル、ファンクなどを融合させたシンガー、ピアニスト、ソングライターで、僕は本当に多大な影響を受けてきた。そしてスティーリー・ダンは特別な存在! 初期の荒削りなものから完璧主義的な傑作『GAUCHO』まで、すべてね。スティーリー・ダンおたくと言ってもいいよ。双方に共通するのは、独創的でオリジナルなハーモニーの使い方だ」

ブラジル音楽やラテン・ミュージックからのインフルエンスが覗くのは、10代の時にアイアートのアルバム『NATURAL FEELING』(70年)を聴き、エルメート・パスコアールの4/7拍子の楽曲<Mixing>を知ったから。他にもミルトン・ナシメントやアントニオ・カルロス・ジョビン、そしてスタン・ゲッツとウェイン・ショーターというサックス奏者たちによるブラジル音楽との美しいコラボレイションにも影響を受けているそうだ。

加えてココ10年ほどは、実力派のヴォーカル・ジャズ・アンサンブル:Toucheのアレンジャーを務め、ツアーをサポート。併行して2組のゴスペル・クワイアにピアノ奏者として名を連ね、定期的に演奏している。また世界的ハーモニカ奏者であるマティアス・ハイゼとも共演を重ねているとか。まさに驚異的な才能だ。

そんな彼が心掛けているのは、自分自身のこと、ライヴで演奏することに集中して、楽しみ続けること、今あるもの、これから生まれてくるものに感謝することだそう。そして伝統的なジャズやソウルに影響を受けつつも、現代のミュージシャンらしく、ネットが才能とインスピレーションで溢れているのを見るのが大好きだという。

「このアルバムはプロデューサーのクリストル・ブロズガードのスタジオで録音したんだけど、そこにはジュノ60、モーグ、プロフェットV、オーバーハイムなど数多くのヴィンテージ・シンセがあった。どれも独自の個性を持ったアナログ楽器だ。まるで生き物みたいに、1時間おきにチューニングが必要なのもあったよ。スティーヴィー、ハービー・ハンコック、そしてウェザー・リポート、僕が聴いてきたたくさんのレコードでは、間違いなくその音が鳴っているんだ。でも今を生きるプロ・ミュージシャンとして、僕はデジタルのNord Stage 3だって大好きなんだ!」

オリジナル11曲に加え、日本向けのボーナス・トラックにはオアシスのカヴァー<Wonderwall>が。
「ノルウェーのパーティのギグで取り上げたことがあるんだ。何の気なしに歌っていると、僕の指が新しい進行とベース音を弾き始めた。それをそのままメモして、アレンジがどうなるか確かめた。最終的には、ジャジーなコードと、ホーン、ストリングズ、ヴォーカル・パートをたくさん重ねた野心的な作品になっちゃった。でもそれがとても楽しくて、ダンスっぽい仕上がりになったんだ」

いつか訪れたい国の筆頭が日本、というバウン。ホラー映画『リング』と『仄暗い水の底から』を観てゾクゾクし、最初のキーボードがカシオSK-1だった頃からの日本贔屓らしい。最近も、友人から高中正義とカシオペアを教わって、日本への想いが強くなったという。どんなシチュエーションでも楽しめる全方位型ハイブリッド・アーバン・ポップスを、まずは皆さんも要チェック。

※試聴はウェブサイトから→https://sorenbaun.dk/baun

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ビギニングズ【監修・解説:金澤寿和(Light Mellow)】
バウン
Pヴァイン・レコード
2025-07-30

《Tower Records はココから》