
昨日に引き続きCTI作品から。今日のお題は、カデットやブルー・サムからリーダー作を出してきた職人ギタリスト:フィル・アップチャーチの KUDU唯一作。といっても彼のソロ・アルバムではなく、自身のバンドのキーボード奏者テニソン・スティーヴンスとの共同名義による作品だ。ベース・プレイヤーとしての定評もあるヒトだけに、一歩引いたオトナの作風が特徴。ココでも自分より相方テニソンをフィーチャーし、数曲で彼のソフトなヴォーカルを前面に押し出している。
取り上げているのは、ラルフ・マクドナルドの<You Got Style>と、彼がロバータ・フラックに書いた<I Wanted It Too>、スティーヴィー・ワンダーがルーファス&チャカ・カーンに書いたヒット曲<Tell ME Something Good>、聖歌<Ave Maria>、カーティス・メイフィールドお抱えのパーカッション奏者マスター・ヘンリー・ギブソン作<Don't I Know You?>など。そこに本作のアレンジャーを務めるボブ・ジェームス、テニソン自身の2曲を加えている。また恩師チャールズ・ステップニーの<Black Gold>は、アップチャーチの69年ソロ作『UPCHURCH』の再演曲。その中でテニソンのヴォーカルが聴けるワケだが、ミックスの関係か、ヴォーカルは演奏の一部にすんなり溶け込んでいて、歌にあまり主張がない。改めて聴いて5曲も歌っていたのか!、と驚いたほどで、良くも悪くも存在感が薄いのだ。
もしかしたら、そのあたりがテニソンがで独立できなかった理由なのかも。でも歌入りのクロスオーヴァー・フュージョン作として接すると、ふわふわそよそよと柳腰のような歌が気持ち良く、のちにスムーズ・ジャズのハシリ…みたいな気がしてくる。
一方で本作リリースは75年だから、ジョージ・ベンソン『BREEZIN'』より少し早い。そんなタイミングで、こんなにソフト&メロウなクロスオーヴァー・ヴォーカル・アルバム作っていたのだ。しかもアップチャーチはベンソン・バンドに参加し、『BREEZIN'』でもリズム・ギターやベースをプレイ、楽曲も提供している。歌唱力自体はテニソンよりベンソンが遥かに上手いが、何処かでこの作品の雰囲気を参考していた可能性も。何せプロデューサーのトミー・リピューマは、かつてアップチャートが在籍したブルー・サムのハウス・プロデューサーでもあったワケであるし。
参加ミュージシャンは、アップチャーチとテニソン、ボブ・ジェームスの他に、テニソン以上に印象的なプレイを聴かせているデヴィッド・サンボーン (sax), アップチャーチとギター/ベースを分け合っているエリック・ゲイル、そしてスティーヴ・ガッド (ds) など。KUDU作品にしてはファンキー度が抑えめで、本家のイージー・リスニング・ジャズ作品より更に軽やかな仕上がり。それでもニュー・ソウル周辺の最もマイルドな部分をうっすら剥ぎ取ったようなテイストに、いつも酔わされてしまうのよ。
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《Tower Records はココから》
もしかしたら、そのあたりがテニソンがで独立できなかった理由なのかも。でも歌入りのクロスオーヴァー・フュージョン作として接すると、ふわふわそよそよと柳腰のような歌が気持ち良く、のちにスムーズ・ジャズのハシリ…みたいな気がしてくる。
一方で本作リリースは75年だから、ジョージ・ベンソン『BREEZIN'』より少し早い。そんなタイミングで、こんなにソフト&メロウなクロスオーヴァー・ヴォーカル・アルバム作っていたのだ。しかもアップチャーチはベンソン・バンドに参加し、『BREEZIN'』でもリズム・ギターやベースをプレイ、楽曲も提供している。歌唱力自体はテニソンよりベンソンが遥かに上手いが、何処かでこの作品の雰囲気を参考していた可能性も。何せプロデューサーのトミー・リピューマは、かつてアップチャートが在籍したブルー・サムのハウス・プロデューサーでもあったワケであるし。
参加ミュージシャンは、アップチャーチとテニソン、ボブ・ジェームスの他に、テニソン以上に印象的なプレイを聴かせているデヴィッド・サンボーン (sax), アップチャーチとギター/ベースを分け合っているエリック・ゲイル、そしてスティーヴ・ガッド (ds) など。KUDU作品にしてはファンキー度が抑えめで、本家のイージー・リスニング・ジャズ作品より更に軽やかな仕上がり。それでもニュー・ソウル周辺の最もマイルドな部分をうっすら剥ぎ取ったようなテイストに、いつも酔わされてしまうのよ。
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