
当ブログにマライアが登場するなんて、何年振りでしょ? 05年『THE EMANCIPATIONOF MIMI』を「傑作だぁ!」と書いた覚えがあるから、もしかして20年ぶりか? それ以降のアルバムも、もちろんゲットしてはいるけれど、自分がわざわざ紹介しなくても…、という気持ちと、そもそもCDを買っても現状確認程度の聴き方に留まっていて…。どうも自分が積極的に聴いていた頃のマライアから、ドンドン遠ざかっている感じがしていたのだ。
ところがこの新作は、出てみてビックリ
前作『CAUTION』から7年ぶりのカムバックなのに、このタイミングでメジャー・レーベルを離れて新興インディー・レーベルgammaへ移籍。…というより、自主制作して流通・宣伝をそこに任せた、というカタチなのかな? 導いたのは、ちょいお久しぶり感のあるアントニオ・L.A.・リード。そう、ベイビーフェイスとLa'Face を組み、その後はアリスタ、アイランド/デフ・ジャム、エピックでレーベル・トップを歴任してきた御仁である。L.A.はマライアと共にエグゼクティヴ・プロデューサーとしてクレジットされ、レーベル名には MARIAH/gammaとあるから、きっと彼の手引きでヴェンチャー・レーベルを立ち上げたのだろう。
日本の発売元も、某インディーでこれまたビックリ
どういう経緯でそうなったかは知らないが、突然こんな大玉が降ってきて、喜ぶというより慌てたんじゃ? そして社運を賭ける覚悟で、取り組んでいるのではないか、と思う。でも今度のマライア、久々にメチャクチャ良いんだよォ〜。なので移動の時とか、ウォーキングのお供に、ちょくちょく聴いている。
客観的に見れば、現行ポップ・シーン最前線の音作りから卒業し、素直に現在の自分を表現した、というか。ココ10〜20年くらいのマライア・ファンの間では賛否が割れそうで、「マライアらしくないッ
」と思う人が多いかも。でもデビュー当時の彼女にこそ親しみを持っていたムキは、「帰ってきた!」という感覚を持つに違いない。ポスト・ホイットニー・ヒューストンを探しつつ、ナラダ・マイケル・ウォルデンのプロデュースという輸入CD店情報で、日本デビュー前から1stを手に取っていた自分は、まさにソコ。余計なサウンドメイクや装飾を削ぎ落とし、素材の魅力とシンプルな音だけで創り上げているのに、『HERE FOR IT ALL』(すべてはココに)と言い切ってしまう潔さ。それって近年の彼女には無かったのではないかな…? その心情は、冒頭の<Mi>を始め、収録曲の詞のアチコチに滲んでいる。
もちろん、年齢的なモノはあるだろう。とはいえ、随所にホイッスル・ヴォイスを響かせているから、歌唱力が衰えた感はない。要は、聴き手をねじ伏せるような圧倒的歌唱力で勝負するスタイルから離れ、表現力にひたすら磨きをかけた、ということだ。興味深いのは、大曲のタイトル曲を除くと、すべての楽曲が2〜3分台と異様に短いこと。従来は、いよいよココから盛り上がって…、というトコロで、フウッと曲が終わってしまう。それこそ初聴きでは、挙を突かれて戸惑ってしまったほど。これはプロデューサー:マライアの英断、と言ってよい。先行シングルで既にチャート首位を獲っている<Type Dangerous>のように、R&B/ヒップホップがベースのトラックは確かにある。でもそれも最新というよりは、レイト80'sっぽいメイキング。とにかく全体的にオーセンティックな作りで、ミディアム・スロウを中心に、マライアのヴォーカルをナチュラルに心地良く聴かせる。
その<Type Dangerous>もそうだけれど、ひとつのキー・パーソン的存在になっているのが、Anderson. Paakで。大きく彼らがフィーチャーされているのは<Play This Song>だけながら、ハチロクのバラード<In Your Feelings>、何処かノスタルジックなダンス・チューン<I Won’t Allow It>も、みんな彼らとのコラボレイト。
それでも曲が短くて物足りなさを覚えていると、アルバム終盤にきてジワジワと盛り上がり始める。まずはポール・マッカートニー&ウイングスの超絶名バラード<My Love>のカヴァー。自分世代だと、どーしてまたこんなベタなバラードを、なんて思いがち。だけど若いファンはもうこんな曲、知らないんだよな。そうやって一旦先入観を捨て去ると、改めてこの曲のメロディの魅力がヒタヒタ迫ってくる。それに追い討ちをかけるのが、ゴスペルの大御所クラーク・シスターズとの<Jesus I Do>。
この辺りでマライアがこのアルバムで本当にやりたかったコトが見えた気がする。アルバム最後でもって、ようやくドッカン大曲のタイトル曲<Here For It All>を持ってくるからだ。こうしてサブスク時代のヒット・メイクに対応しつつ、「でもやっぱりアルバムって重要よね
」(by プリンス)とばかりに、アルバム・トータルのソング・フロウを考え抜いている。近年のマライアの作曲パートナー:ダニエル・ムーアIIとのコンビネーションも好調のようだ。
ちなみに国内盤は、そのラストを占めたタイトル曲の後に、<Type Dangerous>のリミックス・ヴァージョン、<Sugar Sweet>のケラーニ&Shenseeaをフィーチャーしたヴァージョンが、ボーナス・トラックとして追加されている。
今月末〜来月にかけては、この新作を引っ提げてのジャパン・ツアーが控えているマライア。今さら大枚を叩いてライヴを観に行くことはしないけれど、ココでのギアの切り替えは大いに評価したいな。
《amazon》
《Tower Recordsはココから》
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《Tower Recordsはココから》
前作『CAUTION』から7年ぶりのカムバックなのに、このタイミングでメジャー・レーベルを離れて新興インディー・レーベルgammaへ移籍。…というより、自主制作して流通・宣伝をそこに任せた、というカタチなのかな? 導いたのは、ちょいお久しぶり感のあるアントニオ・L.A.・リード。そう、ベイビーフェイスとLa'Face を組み、その後はアリスタ、アイランド/デフ・ジャム、エピックでレーベル・トップを歴任してきた御仁である。L.A.はマライアと共にエグゼクティヴ・プロデューサーとしてクレジットされ、レーベル名には MARIAH/gammaとあるから、きっと彼の手引きでヴェンチャー・レーベルを立ち上げたのだろう。日本の発売元も、某インディーでこれまたビックリ
どういう経緯でそうなったかは知らないが、突然こんな大玉が降ってきて、喜ぶというより慌てたんじゃ? そして社運を賭ける覚悟で、取り組んでいるのではないか、と思う。でも今度のマライア、久々にメチャクチャ良いんだよォ〜。なので移動の時とか、ウォーキングのお供に、ちょくちょく聴いている。客観的に見れば、現行ポップ・シーン最前線の音作りから卒業し、素直に現在の自分を表現した、というか。ココ10〜20年くらいのマライア・ファンの間では賛否が割れそうで、「マライアらしくないッ
」と思う人が多いかも。でもデビュー当時の彼女にこそ親しみを持っていたムキは、「帰ってきた!」という感覚を持つに違いない。ポスト・ホイットニー・ヒューストンを探しつつ、ナラダ・マイケル・ウォルデンのプロデュースという輸入CD店情報で、日本デビュー前から1stを手に取っていた自分は、まさにソコ。余計なサウンドメイクや装飾を削ぎ落とし、素材の魅力とシンプルな音だけで創り上げているのに、『HERE FOR IT ALL』(すべてはココに)と言い切ってしまう潔さ。それって近年の彼女には無かったのではないかな…? その心情は、冒頭の<Mi>を始め、収録曲の詞のアチコチに滲んでいる。もちろん、年齢的なモノはあるだろう。とはいえ、随所にホイッスル・ヴォイスを響かせているから、歌唱力が衰えた感はない。要は、聴き手をねじ伏せるような圧倒的歌唱力で勝負するスタイルから離れ、表現力にひたすら磨きをかけた、ということだ。興味深いのは、大曲のタイトル曲を除くと、すべての楽曲が2〜3分台と異様に短いこと。従来は、いよいよココから盛り上がって…、というトコロで、フウッと曲が終わってしまう。それこそ初聴きでは、挙を突かれて戸惑ってしまったほど。これはプロデューサー:マライアの英断、と言ってよい。先行シングルで既にチャート首位を獲っている<Type Dangerous>のように、R&B/ヒップホップがベースのトラックは確かにある。でもそれも最新というよりは、レイト80'sっぽいメイキング。とにかく全体的にオーセンティックな作りで、ミディアム・スロウを中心に、マライアのヴォーカルをナチュラルに心地良く聴かせる。
その<Type Dangerous>もそうだけれど、ひとつのキー・パーソン的存在になっているのが、Anderson. Paakで。大きく彼らがフィーチャーされているのは<Play This Song>だけながら、ハチロクのバラード<In Your Feelings>、何処かノスタルジックなダンス・チューン<I Won’t Allow It>も、みんな彼らとのコラボレイト。
それでも曲が短くて物足りなさを覚えていると、アルバム終盤にきてジワジワと盛り上がり始める。まずはポール・マッカートニー&ウイングスの超絶名バラード<My Love>のカヴァー。自分世代だと、どーしてまたこんなベタなバラードを、なんて思いがち。だけど若いファンはもうこんな曲、知らないんだよな。そうやって一旦先入観を捨て去ると、改めてこの曲のメロディの魅力がヒタヒタ迫ってくる。それに追い討ちをかけるのが、ゴスペルの大御所クラーク・シスターズとの<Jesus I Do>。
この辺りでマライアがこのアルバムで本当にやりたかったコトが見えた気がする。アルバム最後でもって、ようやくドッカン大曲のタイトル曲<Here For It All>を持ってくるからだ。こうしてサブスク時代のヒット・メイクに対応しつつ、「でもやっぱりアルバムって重要よね
」(by プリンス)とばかりに、アルバム・トータルのソング・フロウを考え抜いている。近年のマライアの作曲パートナー:ダニエル・ムーアIIとのコンビネーションも好調のようだ。ちなみに国内盤は、そのラストを占めたタイトル曲の後に、<Type Dangerous>のリミックス・ヴァージョン、<Sugar Sweet>のケラーニ&Shenseeaをフィーチャーしたヴァージョンが、ボーナス・トラックとして追加されている。
今月末〜来月にかけては、この新作を引っ提げてのジャパン・ツアーが控えているマライア。今さら大枚を叩いてライヴを観に行くことはしないけれど、ココでのギアの切り替えは大いに評価したいな。
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ありがとうございます。
>もちろん、年齢的なモノはあるだろう。とはいえ、随所にホイッスル・ヴォイスを響かせているから、歌唱力が衰えた感はない。要は、聴き手をねじ伏せるような圧倒的歌唱力で勝負するスタイルから離れ、表現力にひたすら磨きをかけた、ということだ。
当方も、その通りだと思いました。
肩肘張っていない等身大の、現在(いま)のマライアさんが、歌声に現れている気がします。
ここ、拝見しなかったら、新作出たの知らなかったです。
届くの、楽しみです。