38 special_milestone

80年代前半に大ヒットを連発していた38スペシャルが、約20年ぶりに、スタジオ・レコーディングのニュー・アルバム『MILESTONE』を発表した。「エッ、38スペシャルってまだ演ってたの?」という方が多いと思うが、一応彼らはメンバー・チェンジを繰り返しながらも解散せずに生き長らえ、断続的にライヴ中心の地道な活動を続けていたのだ。直近のオリジナル・アルバムが04年作『DRIVERTRAIN』になるが、当然日本発売もなく…。ハイ、自分も聴いてません その後もライヴ盤を自主制作したりしていたようだけれど、むしろ往年のヒット・アルバムの再発の方が目立っているのが実情だった。

現在のラインアップは2019年からで、結成メンバーであるドン・バーンズ(vo,g)を中心とする5人。でも他の4人は全員90年代以降の加入で、全盛期を経験している人はいない。そのドン・バーンズだって、80年後半から数年間、双頭リーダー的存在だったドニー・ヴァン・ザント(vo)に主導権を渡してバンドを離脱していた時期があった。そもそも38スペシャルは、レーナード・スキナードの看板シンガーだった故ロニー・ヴァン・ザントの弟が参加するバンドとして注目された経緯があり、ギター中心の豪放サザン・ロックをポップに料理して聴かせるのが特徴だった。

ちなみにドン・バーンズの穴を埋めたのは、マックス・カール。本名のマックス・グローネンサル、マックス、そしてマックス・カール名義でもソロ作を出していて、エアプレイでコーラスを取ったり、デイヴ・メイスンやレス・デュデック、ケニー・ロギンズ周辺での活動歴も。現在はグランド・ファンク・レイルロードで歌ってる実力派だ。他にもマイク・ポーカロやスターシップのダニー・ボルドウィン (ds)がレコーディングに参加していたり、フロリダ出身のバンドなのに、意外とAORに近いポジションにいた。

でもって、超久しぶりのこのアルバム。最近のスティクス同様、なかなか見事なカムバック作品になっていて。ギター中心のストレートなアメリカン・ロック・スタイルで、適度にポップな聴きやすい仕上がり。商業ロック的ではあるけれど、迷いが一切なくて、スカッと爽快 「アァ、38スペシャルってこんなだったよな」という、ちょっぴり懐かしくもシッカリ現役の音になっている。

その立役者は、ドン・バーンズと共同プロデュースに立つジム・ピートリック。サヴァイヴァーのオリジナル・メンバーとして知られる御仁だけれど、近年は自分のプロジェクトを率いつつ、往年の商業ロック系大物アクトの再生に、度々貢献している。一番新しいところでは、デニス・デ・ヤングのソロがそうだった。ココでも収録曲の大半をドンや他のメンバーと共作。見事な復活請負人ぶりを発揮している。また<Long Long Train>は、ドンとランディ・バックマンの共作と、こちらも昔馴染みの名前が。でもこうして元気なオッサンの音を聴くと、何だが自分も元気になれます

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