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デビュー45周年目のニュー・アルバム、『EPOFUL』とはよく言った。必ずしも45年間ずーっと最前線で走り続けてきたワケではない、音楽的なギア・チェンジも、ライフ・スタイルの大転換も経てきた彼女だからこそ、のポップ回帰。周年ライヴで図らずも見せてしまった涙のワケ、というか、その理由の一端が、このアルバムを無事にリリースできたコトにあった気がする。

とにかくカラフル、11曲11色。冒頭の<う・ふ・ふ・ふ>のニュー・ヴァージョンがこのアルバムのシンボル的存在で、ヴォーカル・イメージはそのままながら、トラックメイクはドラスティックに変化。テクノ・ハウスとでも呼ぶか、ハイ・エナジーなプログラミング・サウンドで疾走していくから、ちょっと面喰らうのだ。でも次の<泣いてなんかいないか>が、一転、モータウン・スタイルのポップ・ナンバーで。ただし曲調はノスタルジックでも、サウンドメイクは今様。更にノーザン・ソウルのエッセンスたっぷりのミディアム<哀愁のlost love>で、今度はジワジワ盛り上げていく。

最近、ライヴだったり取材だったりで、リアルEPOさんに会って話を聞く機会が何度かあった。すると、制作には結構苦労があったようで。せっかくレコーディングで積み上げ的たトラックをボツにし、イチからやり直した楽曲もあったらしい。曲ごとに指向性が異なり、ロックン・ロールもラテンもあれば、アコースティックなバラードも入っているから、彼女の中にだけあるイメージを楽曲ごとに具現化していく難しさがあったのだろう。でもそれでいて取っ散らかった感はなく、楽曲ごとに自然体の彼女が現れる。見事にEPOの作品として統一感があるから、天然色の彼女が丸ごと楽しめるのだ。ライヴでも披露された<同窓会の知らせが届いた>なんて、ホントに爽快で甘酸っぱくて…。するといきなり景色が変わり、8分もあるアンビエントな大曲<紅茶とケーキと恋の話>が顔を出す。でも淡々とした楽曲だからこそ、EPOのヴォーカルの表情や、チラチラと差し込まれては儚く消えていく様々な楽器の音色が愛おしく感じられ、一瞬も聴き逃せない。CMソングとして土岐麻子に提供した<Gift〜あなたはマドンナ>も、シッカリとイマのEPOを伝えるアレンジになっている。

いま再びシティポップの代表的シンガーの一人として注目されているEPOだけれど、様々なキャリアの変遷を感じさせつつ、今の自分、現在進行形のポップスのカタチに昇華できているアーティストは決して多くない。ライヴは演っていても内容のある新作が作れない人、たとえニュー・アルバムを出していてもノスタルジーにまみれちゃってる人、そんなパターンが多いのだ。そうした意味で、EPOは稀有な存在。Goodbye Aprilのような若手との共演にも無理がないし、これからの動きも見逃せないな。

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EPOFUL
EPO
エポニカレコード
2025-10-01

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