



昨日に続き、ソニーミュージック【Hidden Gems in 60/70s 〜発掘! 洋楽隠れ名盤】シリーズ40タイトルから、自分が解説を担当した7枚のうちの残り3枚をご紹介。今度はヴォーカル物で、ローラ・ニーロの70年代後半作2枚と、バリー・マニロウの出世作となった2ndアルバムになる。
ロー ラ・ニーロと言えば、67年のデビュー作からラベルと一緒に制作した『GONNA TAKE A MIRACLE 』(71年)までに評価が集中する。実際、『MORE THAN A NEW DISCOVERY』『ELI AND THE THIRTEENTH CONFESSION (イーライと13番目の懺悔)』『NEW YORK TENDABERRY』の素晴らしさは天を仰ぐほどで…。でも一方で、そのテンションの高さ故に聴くのに疲れてしまい、気持ちを奮い立たせないと向かい合えない。さらっと聴き流すことを許さない、そんな磁場があるのだ。それに対して、わりかしリラックスして向かい合えるのが、76年の6作目『SMILE』と、ライヴ盤を挟んでリリースされた78年作『NESTED (愛の営み)』。『SMILE』の前には約5年のブランクがあり、結婚と離婚、2度の転居、愛する母親の死を経験。19歳でデビューした天才シンガー・ソングライターも、三十路を迎えてオトナの女性になった。
『SMILE』のプロデュースは、『ELI...』以来のチャーリー・カレロ。ヒュー・マクラッケン(g)、ジョージ・ヤング/ジョー・ファレル(sax) 、ウィル・リー(b)、クリス・パーカー/リック・マロッタ(ds)、ジョン・トロペイ/ジョー・ベック/ジェフ・ミロノフ(g)、マイケル&ランディ・ブレッカー(horn) など、ニューヨークのジャズ・フュージョン系達人がこぞって参加している。中でも、リチャード・デイヴィスの懐の深いウッド・ベースがとびきり印象的だ。楽曲的には、モーメンツのカヴァー〈Sexy Mama〉、唯一のビート・ナンバーでローラ自身のコーラスが見事な〈Money〉、揺らめくヴァイヴとスキャットが耳に残る〈I Am The Blues〉、琴奏者2人を招いてオーガニックなオリエンタル・クロスオーヴァーを聴かせるタイトル曲あたりが聴きモノか。ローラの日本贔屓が現れた一作で、赤いイメージ・カラー、縦書きのジャケット表記は日本文化にインスパイアされたらしい。ジャケットのピンアップも、プライヴェートで来日した時の撮影とか。初期の彼女は自由奔放で、時に何かが憑依したかのような情念の深さを感じさせたが、ここでのヴォーカルはまろやかさを増し、大らかに抑揚をコントロール。心に余裕を持って歌っている。だから繰り返し手が伸びる。ライトメロウなローラといったら、多分コレだな。
その続編たる『NESTED』は、巣作りや巣籠もりの意味で、ローラ自身も妊娠しながらのレコーディング。そのためローラの自宅でセッションが行われ、ウィル・リー/トニー・レヴィン (b)、アンディ・ニューマーク (ds) にジョン・トロペイ (g) ら近しい顔ぶれがサポート。ゲスト的にフェリックス・キャヴァリエと、彼が率いたトレジャーのギタリスト:ヴィニー・クサノ(後にヴィニー・ヴィンセント名でキッスに加入)、ジョン・セバスチャンもハーモニカで。そうした制作だからか、前作よりジャズ・テイストが薄れ、ナチュラルなポップ・フィーリングが沸き立つ。ある意味、母になるための休養宣言でもあって、次は5年後の『MOTHER'S SPIRITUAL』になる。
74年に発表された『BARRY MANILOW II(哀しみのマンディ)』は、邦題通り、バリー・マニロウの2ndアルバムにして、全米チャートを制覇した〈Mandy(哀しみのマンディ)〉、同12位〈It's a Miracle(愛は奇蹟のように)〉を生んだ記念碑的作品。3曲のカヴァー曲を除いたすべての楽曲がバリー自身の書き下ろし(共作含む)で、アートワークでも分かるように、彼のシンガー・ソングライターとしての才能を大きくアピールしている。中にはバート・バカラックの相方ハル・デヴィッドの詞にバリーがメロディを付けた〈Early Morning Strangers〉もあるが、やはり特筆すべきはカヴァー曲だろう。1曲はマーサ&ザ・ヴァンデラスのモータウン・ヒット〈My Baby Loves Me〉。もう1曲の〈Avenue C〉は、カウント・ベイシー楽団のオリジナルをデイヴ・ランバート&ジョン・ヘンドリックスが歌詞をはめ込んでそっくりにコピーしたヴォーカリーズが発想の元。それをバリーは、何と32声の一人多重録音で再現している。そして出世曲<Mandy>は、スコット・イングリッシュが〈Brandy〉のタイトルで歌ったもののリメイク(全英12位)。タイトルが変更されたのは、72年の全米No.1曲であるルッキング・グラス〈Brandy〉と差別化するため。そしてこの曲を持ってきたのが、他ならぬアリスタ総裁クライヴ・デイヴィスで、自作曲中心に歌うシンガーに売れセンの楽曲をゴリ押しするようになる初期成功例、とも言われる。何れにせよ、どんどんエンターテイナー要素が強くなっていくバリー作品の中では、個人的に愛着の深い作品になっているのだな。
これで、【Hidden Gems in 60/70s 】からのライナー担当7作のご紹介は終了。でもそれ以外のタイトルでも気になるのがたくさんあるので、気が向いたら随時書いていきます。
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その続編たる『NESTED』は、巣作りや巣籠もりの意味で、ローラ自身も妊娠しながらのレコーディング。そのためローラの自宅でセッションが行われ、ウィル・リー/トニー・レヴィン (b)、アンディ・ニューマーク (ds) にジョン・トロペイ (g) ら近しい顔ぶれがサポート。ゲスト的にフェリックス・キャヴァリエと、彼が率いたトレジャーのギタリスト:ヴィニー・クサノ(後にヴィニー・ヴィンセント名でキッスに加入)、ジョン・セバスチャンもハーモニカで。そうした制作だからか、前作よりジャズ・テイストが薄れ、ナチュラルなポップ・フィーリングが沸き立つ。ある意味、母になるための休養宣言でもあって、次は5年後の『MOTHER'S SPIRITUAL』になる。
74年に発表された『BARRY MANILOW II(哀しみのマンディ)』は、邦題通り、バリー・マニロウの2ndアルバムにして、全米チャートを制覇した〈Mandy(哀しみのマンディ)〉、同12位〈It's a Miracle(愛は奇蹟のように)〉を生んだ記念碑的作品。3曲のカヴァー曲を除いたすべての楽曲がバリー自身の書き下ろし(共作含む)で、アートワークでも分かるように、彼のシンガー・ソングライターとしての才能を大きくアピールしている。中にはバート・バカラックの相方ハル・デヴィッドの詞にバリーがメロディを付けた〈Early Morning Strangers〉もあるが、やはり特筆すべきはカヴァー曲だろう。1曲はマーサ&ザ・ヴァンデラスのモータウン・ヒット〈My Baby Loves Me〉。もう1曲の〈Avenue C〉は、カウント・ベイシー楽団のオリジナルをデイヴ・ランバート&ジョン・ヘンドリックスが歌詞をはめ込んでそっくりにコピーしたヴォーカリーズが発想の元。それをバリーは、何と32声の一人多重録音で再現している。そして出世曲<Mandy>は、スコット・イングリッシュが〈Brandy〉のタイトルで歌ったもののリメイク(全英12位)。タイトルが変更されたのは、72年の全米No.1曲であるルッキング・グラス〈Brandy〉と差別化するため。そしてこの曲を持ってきたのが、他ならぬアリスタ総裁クライヴ・デイヴィスで、自作曲中心に歌うシンガーに売れセンの楽曲をゴリ押しするようになる初期成功例、とも言われる。何れにせよ、どんどんエンターテイナー要素が強くなっていくバリー作品の中では、個人的に愛着の深い作品になっているのだな。
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