smith & liddle

レコード棚から引っ張り出してきた70年代のカタログ物でも、最近になってどこかの片田舎の倉庫から掘り出された自主制作の秘蔵音源でもアリマセン。れっきとしたニュー・カマーのデビュー・アルバムで、2025年の新作。しかも先物買いの早耳音楽好きには、もうチェックされているらしいからオドロく。

出身は英国北部。でもその音は、米国西海岸のような乾いたソフト・ロック・サウンド。ほのかな哀愁味は、バッキンガム=ニックス加入直後のフリートウッド・マックみたい。早い話が『ファンタスティック・マック』とか『RUMOUR(噂)』とかから、こっそり毒気を抜いた感じ。ぶっちゃけ影響を受けてる、なんてモンじゃなく、ハッキリ言って狙ってますな。曲作りが似てしまうのは刷り込みもあるのだろうけど、全体の音作りとかハーモニーの組み立て、ギターのトーンとか、明らかに意識して寄せて来てる。

そのバリエーションとして、もっとルーツのウエストコースト物、例えばママス&パパス、ザ・バーズ、バッファロー・スプリングフィールド、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング、ジョニ・ミッチェル、ポコ、リンダ・ロンシュタットあたりからのインフルエンスをまぶした感覚。デュオなのでハーモニーが特徴的で、マックはもちろん、時々ウィルソン・フィリップスか?と思ったり。ギターはリンジー・バッキンガム愛に溢れているが、曲によってはサザン・ロック風に傾いて、マーク・ノップラーっぽくなったりも…。それでいてヒョッコリと英国テイスト、ビートルズらしいフレーズが覗いたりもする。ま、英国産なので、当然といやぁ〜当然なのだが。

<Dreams>がリヴァイヴァル・ヒットするなど、近年のマック再評価の高まりも影響しているのかな? 海外での彼らは、日本では想像もできないくらいビッグな存在。スティーヴィーのカエル声も、リンジーのエキセントリックな持ち味も、マックをワン&オンリーな存在へと押し上げた重要要素である。でもそういうアクの強さは、ビリー・スミス、エリザベス・リドル、そのどちらにもない。けれど、ちょっとだけサイケな味わいが施してあったり、ヴァイオリン(というよりフィドルか?)やマンドリンをまぶしてカントリー色を忍ばせているのは、ノスタルジーというより、回り回ってアメリカーナを通った今っぽいと言うべきか。

ストレートにリファレンス楽曲が分かってしまうのもあるけれど、それはマックの大ブレイクを同時代的に経験して来た者としての感覚なのかも。マックがどんなグループか、代表曲なら知っている、そんな程度の若い音楽ファンは、まず近いジェネレーションのスミス&リドルを聴いて親しむ、そのあと彼らがリスペクトするマックに至る、と言うのが、若い世代のデフォルトなのかも。

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ソングス・フォー・ザ・デザート
スミス & リドル
Pヴァイン・レコード
2025-10-29

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