hiroshi fukumura_hot shot

ベテランのジャズ・トロンボーン奏者、福村博の85年作『HOT SHOT』が、個人的待望の復刻。初回時にアナログとCDが同発される時代だったので、初CD化ではないけれど、リイシューはそれ以来40年ぶりとなる。でも急速に熱が上がってきている和モノ・フュージョン再評価の動きに乗せて聴くと、これがまったくもってフレッシュに聴けるんだよなぁ…。

福村博は、大学卒業後すぐに渡辺貞夫グループに参加して注目され、約2年後に自身のクインテットを率いてアルバム・デビュー。その後米国へ音楽留学した時期もあるが、70年代のほとんどはナベサダと行動を共にし、78年にはナベサダの強力サポートで人気作『HUNT UP WIND』をリリースしている。80年代になると、人気絶頂だったネイティヴ・サンに加入。サックス峰厚介と共に、グループのツー・トップを務めた。その後ネイティヴ・サンを離れ、自分のバンドで活動開始。そのタイミングで制作されたのが、ニューヨーク・レコーディングによるこの『HOT SHOT』だった。

73年の初リーダー作が、タイトル違い/デフ・ジャケで2種類あるので混同しやすいが、ソロ作としてはコレが4作目。キャリアの割にソロ作が少ないのは、トロンボーンという脇役的な楽器のせいかもしれない。でも自分は、その柔らかなトーンが大好きで。福村がしばしばコンビを組んでいる向井滋春もそうだけれど、ボントロ奏者が少し緩めのクロスオーヴァー/フュージョンを演ると、コレがサイコー。あまり主張が強くない日本人的感性が、ボントロの特性に合うのかな? 福村も向井も元は4ビート・ジャズの方たちだけど、彼らがクルセイダーズ的なファンキー・フュージョンを目指すと、ホント堪らん。やっぱり当時はウェイン・ヘンダーソンの存在が大きかったか?

実際このアルバムも、ラリー・カールトンの後釜としてクルセイダースに貢献したギタリスト:バリー・フィナティのプロデュース。ブレッカー・ブラザーズへの参加、マイルス・デイヴィスとの共演があったものの、自身作以外ではほとんど制作ワークなんてしないヒト。だけどココでは両者の思惑が一致したのだろう。バックも、つい先日亡くなったアンソニー・ジャクソン (b), スティーヴ・フェローニ (ds), ケニー・カークランド/マーク・グレイ (kyd), サミー・フィゲロア (perc) 、そして<The Only One For Me>ではシビル・トーマスが歌っている。みんな優れたセッションマン。けれど東海岸の人たちだけあって、聴きやすくも程よく刺激的なプレイでを展開していて、ただのイージー・リスニング・フュージョンでは終わっていない。そのバランスがとてもイイ。ちなみに作曲はすべて福村自身。歌詞のみバリーが書いている。

和製フュージョンというと、ガチガチにアレンジされたテクニカルなバンド・アンサンブルが特徴的。でも、福村サンはサスガにナベサダ譲り。こうしたメロディアスで大らか、軽くファンキーだけれどリラックスして聴ける作品は、もっと知られてしかるべき。

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ホット・ショット
福村 博
STEPS RECORDS
2025-11-26

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