jeff larson_gerry beckley

70年代的ウエストコースト・ミュージックの良き後継者ジェフ・ラーソン、日本では『ADOBE HOME』以来、約1年ぶりのニュー・アルバム。…といっても、前作と違って国内盤がリリースされるワケじゃないんだけど…。でも10年ぶりの新録作だった『ADOBE HOME』も、輸入盤/デジタル・リリースから半年以上が過ぎての国内発売で。そして今回はとうとう国内発売見送り。しかもフィジカルの輸入盤は流通量が極めて少ないらしく、某所ではダウンロード販売のみで、フィジカルは扱いナシ。自分は他で予約していたが、発売から1ヶ月半待ってようやく到着。しかもそこでももう再入荷の予定がないようで、今はオーダー・ストップになっている。西海岸好きには堪らない内容なのに、何だかなぁ…。

…というのもこのアルバム、タイトルを見ての通り、ファンが待ちに待っていたジェフ・ラーソンとジェリー・ベックリーの全面ジョイント作品なのだ。

元々ジェフは、日本でのデビュー作となった02年作『FRAGILE SUNRISE』から、ずーっとジェリーや彼のアメリカでの相方デューイ・バネルをゲストにアルバムを作っていて。中にはアメリカが立ち上げたレーベル Human Natureからリリースしたアルバムもあった。

そういった経緯から、最近のジェリーのソロ作、16年『CAROUSEL』以降の作品群は、いずれもジェフが共同プロデュースやエンジニア、バック・ヴォーカルなどを務めていて、1st『VAN GO GAN』再発盤や21年のベスト盤『KEEPING THE LIGHT ON』にも深く関わっている。イヤそれどころか、近年続々と世に出ているアメリカのアーカイヴ作品、編集盤・発掘盤の多くが、ジェフの手に拠るモノ。今や完全にジェリーの補作役というか、手下状態なのだ。特にオーストラリアに居を構えてからのジェリーは、そちらで過ごすことが増えた分、デューイとは疎遠になっているらしく、もうアメリカとしての活動はない、なんて噂も。だとすれば、これはますます重要なデュオ作品に位置付けられるコトになる。

クレジット上、一応ジェフのソロにジェリーが協力した体になっており、リード・ヴォーカルはほぼジェフ。レゲエ調で始まりラテン乗りに変化していく<Waiting Gane>のみ、ジェリーがメイン・ヴォーカルを取る。曲作りの多くは両人の共作で、ピアノ・バラードの2曲<Oh Diane>と<Amnesia>が
ジェリー、パワー・ポップ調の<Oh Wow!>がジェフの単独作。<Let's Live For Today>はグラスルーツ67年のヒット曲カヴァー(全米8位)になる。そして演奏はほとんどがジェリーで、ギター、ベース、キーボードにドラム、パーカッション、それにもちろんコーラスと、マルチ・プレイヤーぶりを発揮。それこそジェフは、完全にヴォーカルだけに専念している。『ADOBE HOME』で何曲かコラボしていたジャック・テンプチンは、今回は影も形もナッシング。そういう意味では、見事にジェフとジェリーがガップリ四つに組んでいる共演作なのだ。

全体的な印象としては、アメリカっぽい爽やかウエストコースト路線がありながら、ポップでビートを効かせた、ちょっとビートルズちっくな雰囲気の曲が多めかと。<Looking At The Rain>のハーモニーやサビの展開、ロマンチックが溢れそうなイーグルス風の<Sleight Of Hand>なんて、ホント、クラクラしちゃいます。

《amazon music》
Jeff Larson with Gerry Beckley
Melody Place
2025-10-24