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何の気なしにラリー・カールトン。しばらくの間ライヴ活動から離れると発表していたけれど、12月に Billboard Live Yokohama に舞い戻ってきていたな。あれは活動再開なのか、日本だけは特別なのか、あるは長いツアーはやらないけど単発的なら…、という意味だったのか。何れにせよ、代名詞である<Room 335>なんて、もうお約束ごとヨロシク、申し訳程度にしか演らない。最初はファンを喜ばせたクルセイダーズやスティーリー・ダンをテーマにしたショウも、すっかりお馴染みになっちゃったし…。

改めて聴き直してみたのは、00年の『FINGERPRINTS』。スムーズ・ジャズに勢いがあって、「カールトン、お前もか」と言われた時期。でも自分は当時、少し違った感想を持っていた。「誰がやっても大して変わらぬスムーズ・ジャズなのに、カールトンが演るとこんなに良くなるのか」と。それはつまり、よりリッチで説得力のある音になる、ということ。打ち込みだから…、とアタマから否定するんじゃなく、必然性があるなら容認、というのが自分のスタンス。ラリーの場合は、自分らしいギター・プレイを失わないなら新しいチャレンジも積極的に、と考えたんじゃないか。

でもそれができたのは、やっぱりカールトンが自分のプレイを極めていて、どんなサウンドにも動じない確固たる個性を築き上げているから。スムーズ・ジャズにも良いプレイヤーはたくさんいるけれど、その完成されたスタイルに埋没してしまうなら演らない。例えばサックス奏者なんて、ほとんどが70年代に活躍した先達たちのコピーから抜け出せないでいる。でもラリーは逆に、自らスムーズ・ジャズに斬り込み、「何を演っても自分は自分」をさりげなく打ち出した。サックス系だと、かつての自分のスタイルがそのままスムーズ・ジャズに昇華しちゃったトコロがあるけど、ラリーは全盛期にあまりスムーズ・ジャズ的なコトをやっていなかったことが幸いしたのだろう。なので自分は、この『FINGERPRINTS』とか、次の『DEEP INTO IT』は、それなりに高く評価している。ラリーに打ち込みが似合うとは思わないが、それ以上にやってみる価値があったと思うのだ。きっと、その手のシーンのトップ・プロデューサーだったポール・ブラウンにとっても、最高レヴェルの仕事だったんじゃないか。

スムーズ・ジャズに付きもののヴォーカル・チューンは、マイケル・マクドナルドをゲスト・シンガーに迎えて。この頃のラリーの奥様はCCMシンガーのミシェル・ピラーで、前作『THE GIFT』ではリード・ヴォーカルを取っていた。彼女の84年作『LOOK WHO LOVES YOU NOW』はラリーのプロデュース。当時は互いに別のパートナーがいたはずだけど、何処でどうなっちゃったのかしらね… また『FINGERPRINTS』ではもう一人、ヴィンス・ギルがゲスト参加していて。歌えて弾ける彼とラリーは、ギター・デュオをやっている。そのヴィンス・ギルの奥様はエイミー・グラント。何だがみんなCCMにご縁があるようで。

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Fingerprints
Carlton, Larry
Warner Bros / Wea
2000-03-06