earl klugh_magic

このところ、フュージョン・シーンに於けるアコースティック・ギターの在り方に思いを巡らすコトが重なって、行き着くところは、やっぱりアール・クルーで。一番最初に聴いたのは、77年の3作目『FINGER PAINTING』。<Dr.Macumba>とか、オーリアンズ・カヴァー<Dance With Me>とかが入っていて、彼の代表作にも挙げられるコトが多い名盤だ。でももっと単純に、一番よーく聴いたのは、その次のコレ『MAGIC IN YOUR EYES(瞳のマジック)』だったかも。

そもそもが、初期のどのアルバムを取ってもバツグンに聴きやすいヒトだけど、その中でもひときわ馴染みやすいのがコレ。TVやラジオ番組のBGMとかに、どれだけ使われていたんだろ? おそらく、現在も使われてる曲、あるんじゃないかな?

ジョージ・ベンソンのバックを務めていた頃は、フツーにエレキも弾いてたけれど、子供の頃、最初に手にしたのがガット・ギターだったらしく、そこに立ち返ってのソロ・デビュー。その前にはリターン・トゥ・フォーエヴァーにも何ヶ月間か居たそうで、しかもビル・コナーズとアル・ディ・メオラの間。そりゃー短期間で抜けて正解でしょ。アールにRTFは似合わない。そこからデビューに導いたのは、GRPのデイヴ・グルーシン&ラリー・ローゼン。でも当時のGRPは、まだ単なる音楽制作会社。アールも2人のプロデュースの下、ブルーノートからソロ・デビューしている。

ナイロン弦の生ギターをチョイスした時点で、他のギター弾きとの差別化ができた反面、音楽的な弱点は甘受した。でもこの時期はまだプラス要素しかなく、人気も絶頂。アルバム3枚でブルーノートを離れたが、それはむしろ音楽面での解放感に繋がった気がする。もっとも日本ではずーっと東芝EMIだったので、移籍した感は乏しかったが。

それより大きかったと思うのは、ブッカー・T・ジョーンズが制作についたこと。メンフィス・サウンドの立役者的イメージがあるので、ちょっと泥臭いと思われるが、自分を支えたスティーヴ・クロッパーがネッド・ドヒニーやロベン・フォード、スタッフあたりを手掛けて注目されてた時期だから、それを横目で見ていたのかしらね? アールの憧れのギタリスト、チェット・アトキンスとの共演が実現したのも、カントリーやナッシュヴィルの音楽シーンに顔が利くブッカー・T だからこそ。しかも演っているのが、エルヴィス・プレスリーやB.J.トーマスも歌ったダニー・オキーフの初期名曲。そういうところにも目がいってしまうな。

名曲のタイトル・チューンはアール自身の書き下ろし。耳馴染みのある<Cast Your Fate To The Wind>はアニメ『チャーリー・ブラウン』から。フュージョン的には、駆け出しのグレッグ・フィリンゲインズの活躍、ソロ作もあるジーン・ダンラップ (ds) も活躍も押さえたい。でもやっぱりこのアルバムは、小難しいことなど考えず、ボケラ〜として聴くのが一番 同じアコギでも、スチール弦だとテンション高めになってしまうんだよな。

ゼロ年代以降のアールは、20数年で3枚ほどしかアルバムを出してなくて、すっかりご無沙汰。やっぱりなぁ〜、と楽器的限界を感じつつ、でも最近はイージー・リスニング的フュージョンに魅力を感じる若い世代が再び現れてきているようなので、何か動きがあってほしいものよ。

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Magic in Your Eyes
Klugh, Earl
One Way Records Inc
1993-09-07



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